第12回 アリエス「子どもの誕生・アンシャンレジーム期の子ども」
発達科学の先人たち
第12回 アリエス「子どもの誕生・アンシャンレジーム期の子ども」
子どもとは何歳ですか
3才から12才 年齢で考えるのは最近です。
子どもという概念は16~17世紀にかけて誕生した!
それまで子どもという存在は特別に考えられていなかったらしい。
「乳飲み子を2,3人亡くし、痛恨の思いがなかったわけではないが、
不満は感じなかった」(モンテーニュ)
フィリップ・アリエス『<子供>の誕生-アンシャン・レジーム期の子供と家族生活』
目次:
日本語版への序
序文
【第一部 子供期へのまなざし】
第一章 人生の諸時期
第二章 子供期の発見
第三章 子供の服装
第四章 遊びの歴史に寄せて
第五章 淫らから嗜みへ
結論 子供期への二つのまなざし
【第二部 学校での生活】
第一章 中世における幼い生徒と大人の学生
第二章 新しい制度:学寮
第三章 学級の起源
第四章 生徒たちの年齢
第五章 規律の進化
第六章 通学学校から寄宿学校へ
第七章 「小さな学校」
第八章 生徒=子供の粗暴さ
結論 学校と子供期の長さ
【第三部 家族】
第一章 家族の肖像
第二章 中世の家族から現代の家族まで
結論 家族と社交性
【結論】
訳者あとがき
原注
変化は一七世紀頃にあらわれる。子供の肖像が一般的になり、単独で子供自身のために描かれるようになった。家族の肖像も子供を中心とする構図を取るようになり、子供独特の表現が日記や芸術作品のなかにあらわれ、服装や遊びも大人のものとは区別される子供に特有のものに変わっていく。子供期は特別のまなざしで見られるようになり、子供を慈しむという意識が生まれてくる。まさに「子供の誕生」であった。
【アンシャンレジーム期】
アンシァン・レジーム
フランス革命以前の16~18世紀ごろの絶対王政の社会を指す。
近代以前、ヨーロッパには子どもの教育という概念も、
子ども時代という概念もなかった。
子どもに対する思い入れは、現代と比べると非常に希薄だった。
【中世芸術では、子どもは認められていず、】
中世の絵画には子どもの姿はなかったが、それは子どもの場所がなかったからだ。と言う
モンテーニュ「私はまだ乳呑み児であった子どもを二、三人亡くした。痛恨の思いがなかったわではないが、不満は感じなかった。」
モリエール「小さいものは数のうちに入らない」というのがある。
【学級ができてから】
アンシャンレジーム期の子どもたちは年齢によらずひとまとめに
扱われていた。学校ができてから、幼児期と少年期が区別された。
伝統的な古い社会においては、子供は「小さい大人」として認知され、〈子供〉をはっきり表象していなかった。子供期に相当する期間は乳幼児期に限定され、身体的に大人と見なされると、早い時期から大人たちと一緒にされ、仕事や遊びを共にしたのである。
【兵役ができてから】
兵役によって若者の訓練が必要になったことから、子どもと青年の
区別が生まれた。
【家族】
家族意識の変化が子どもを「家の名誉」「家系」よりも重要な存在
とするようになった。→親子の関係の強さ
聖ヨゼフの養子とは、イエス・キリストのことである。
【教育的配慮】
近世の初頭、ヨーロッパ社会において子どもに対する教育が必要だ
という考えが現れ、大人とは異なる保護されるべき存在だと認められる
ようになった。
教職につかなかった著者の個性的自伝。子供・教育・死などをテーマとするアリエス史学の背景。
発達科学の先人たち
目次
1 発達科学と先人の足跡
2 アリストテレス:『心とは何か』
3 貝原益軒:『和俗童子訓』
4 ダーウィン:『人及び動物の表情について』
5 ヴント:『民族心理学』
6 デュルケム:『道徳教育論』
7 シュタイナー:『子どもの教育』/『教育術』
8 モンテッソーリ:『子どもの発見』
9 バートレット:『想起の心理学』
10 ピアジェ:『思考の心理学』
11 ハーロウ:『愛のなりたち』
12 アリエス:『〈子供〉の誕生 アンシァン・レジーム期の子供と家族生活』
13 清水義弘:『試験』
14 土居健郎:『「甘え」の構造』/『続「甘え」の構造』
15 先人たちと現代社会
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