第15回 錯覚とメタ認知 錯覚とよいつきあいを築くために 自分自身の認知を適切にモニターし、さらにそれを制御しようとする過程は、メタ認知と呼ばれる。このメタ認知は、偏りのない良質の思考であるクリティカル・シンキングの重要…
第14回 自己の錯覚 錯覚は、客観的には誤った認識であっても、必ずしも有害なものとは限らない。健康な精神の持ち主は、現実を自分に有利に歪めて認識する傾向を持っており、これはポジティブイリュージョンと呼ばれる。こうした自己…
第13回 科学的思考と錯覚 実際には科学としての要件を備えていないのに科学的主張のように見える言説は、疑似科学と呼ばれる。多くの疑似科学には、科学の方法論やデータ解釈に関する錯覚が複合的に生じている。血液型性格学など、現…
第12回 原因と結果をめぐる錯覚 出来事の原因は何であるかを考える心の働きが、原因帰属推論である。この推論は、人の心理にとって、私たちが思っている以上に重要な役割を果たしている。この帰属推論が、人の動機づけを左右し、対人…
第11回 錯覚の光と影 エンターテインメントと悪質商法 私たちの認知プロセスにおいて情報の取捨選択を行う機能が「注意」である。 この注意が持っている性質を利用した錯覚は、マジックをはじめとしたエンタテイメントに利用される…
第10回 身近な情報の錯覚 私たちは、身の回りの出来事からさまざまな情報を読み取って解釈し、判断や意思決定の材料としている。その際に、情報が持つ統計的な性質を見落とすと、そこに誤った因果関係を発見してしまうことがある。 …
第9回 自己の一貫性と正当化が引き起こす錯覚 心理学の古典的な理論として知られる認知的不協和理論は、一貫性への動機づけが無意識のうちに認知や行動を変容させる仕組みを体系的に説明している。その理論が応用できる範囲は、身近な…
第8回 ヒューリスティックと行動経済学 人の日常的な思考は、論理的な厳密さよりも、効率性と一貫性を優先した簡便な方法で行われる。こうした思考はヒューリスティックと呼ばれ、日常生活の中で広く見ることができる。こうした思考が…
第7回 思考の錯覚と認知バイアス 客観的に正しく考えているつもりでも、人は誤った思い込みに陥ることがある。そこには、私たちの情報処理に生じる認知バイアスが働いている。人が備えているバイアスが、どのような思考の錯覚をもたら…
第5回 視覚芸術と錯覚 ゼウクシスの逸話からオプ・アートまで、西洋絵画史はまさに錯覚の歴史であるが、そもそも板や画布という物体を「絵画」とみなすこと自体、錯覚の最たるものかもしれない。この回ではとくに遠近法の展開に着目し…
第4回 知覚心理学と絵画芸術の接点 恒常現象は、人の知覚がもっている性質をよく表している。この現象には、物理的に正しい認識よりも、対象の同一性を保持し、世界を安定して知覚する働きが優先されることがよく現れている。こうした…
第3回 錯視の世界を体験する 視覚で生じるバラエティ豊かな錯視現象の数々を実際に体験しながら、人の視覚系が外界の情報をもとに知覚像を再構成する仕組みを理解する。 【キーワード】 幾何学的錯視、坂道勾配錯視、エイムズの部屋…
第2回 視覚の錯覚 見ることは考えること 人の眼はカメラとほぼ同じ仕組みを持っているが、人はカメラのように世界に忠実に正確な像を写し取るわけではな い。ヘルムホルツが、知覚は「推論」することだと指摘したよう…
うずまきを指でたどってみてください。中心までたどりつけましたか? 中心まではたどりつけないのです。なぜなら、うずまきではなく、同心円だからです。 錯視をおこしているのは、円の模様です。よくみてみると、白と黒のパターンが、…