第15回 錯覚とメタ認知

第15回 錯覚とメタ認知
錯覚とよいつきあいを築くために

自分自身の認知を適切にモニターし、さらにそれを制御しようとする過程は、メタ認知と呼ばれる。このメタ認知は、偏りのない良質の思考であるクリティカル・シンキングの重要な要素である。本科目で学んだ錯覚についてのメタ認知を、今後の生活や社会にどう活かすべきかを総括的にふりかえる。

【キーワード】
錯覚の適応的意義、メタ認知、クリティカルシンキング


1.錯覚の積極的な意味

(1)適応的な錯覚

限られた能力を生かして環境に適応していこうとする認知の高度な働きが、いわば副作用的に錯覚として表れている。

(2)錯覚が生み出される背景にあるもの

・生存のために、より的確に、そして素早く世界を認識する必要がある

・できるだけ処理資源を節約して、最小の努力で認知を働かせようという性質

・人は単なる情報処理機械ではなく自己概念と感情をもって日々を能動的に生きること

(3)文化や社会にとっての錯覚

予言の自己成就

予言の自己成就」とは、根拠のない噂や思い込みであっても、人々がその状況が起こりそうだと考えて行動することで、事実ではなかったはずの状況が本当に実現してしまうこと。 アメリカの社会学者ロバート・K・マートンが提唱しました。 同じくアメリカの社会学者W・I・トマスが説いた「もし人がその状況を真実と決めれば、その状況は結果において真実である」という定理を基に展開された理論です。

2.メタ認知とクリティカル・シンキング

(1)メタ認知の重要性

(2)クリティカル・シンキングのススメ

(3)錯覚とのつき合い方

ナイーブ・リアリズム  「ナイーブリアリズム」とは、自分は客観的に物事を見ていると考えている状態 を指します。 結果、 自己中心的な意見にたどり着いてしまいます 。 人は誰でも、「自分は他人と違って、物事を客観的に偏見なしに捉えている」という思い込みをしています。 その思い込みが、「自分の考えや好みなどは、こうした冷静な判断に基づいている」という信念になります。 以上が「ナイーブリアリズム」が発現することについての、社会心理学的見解です。 ナイーブの意味は、世間知らず、幼稚などです。 リアリズムの意味は、写実主義や現実認識です。 写実主義とは、現実をなるべく正確にとらえようとする主義です。 つまり 「ナイーブリアリズム」は、「幼稚な写実主義」となり、当人の現実認識が不完全だということを意味しています。

 

 

Pocket
LINEで送る