第6回 記憶の錯覚

第6回 記憶の錯覚
人の記憶は確実なのか

想起された記憶とは過去の情報が再生されたというよりも、さまざまな記憶手がかりをもとに再構成されるものととらえられる。そのため、実際には存在しなかった事項が、あたかも真実の記憶のように思い出される虚偽記憶という錯覚が生じる。

【キーワード】
虚偽記憶、ソースモニタリング、目撃者証言


1.記憶のインプランテーション

記憶のインプランテーション

『トータル・リコール』で描かれた「記憶インプランテーション」

1994年10月5日付けのニューズウィーク(日本語版)に「『偽りの記憶』のメカニズム」という記事が出ました。

フォールスメモリー  【虚偽記憶】のことで、 「実際にはないものまであったかのように  【錯覚】してしまう記憶のエラー」のことです。

リアリティ・モニタリング

ソース・モニタリング

2.記憶の仕組みと記憶の錯覚

記銘、保持、想起

DRMパラダイム 虚記憶とは,実際には起こっていない事柄を起こったこととして誤って思い出すことである。虚記憶を検討する実験手法として,DRMパラダイムと呼ばれる手法が確立されている。本研究では,DRMパラダイムで見られる虚再認が,漢字一字の刺激に対しても見られるかについて検証を加えた。ルア項目1項目とルア項目の関連項目15項目で構成されるリストを12種類作成し,DRMパラダイムに用いた。その結果,6種類のリストにおいて,関連項目が学習時に提示されると,関連項目が提示されない場合に比べて,後のテストにおいて学習時に提示されていないルア項目についても,学習時に提示されたという偽りの既知感を高めることが示された。この結果は,漢字一字の刺激に対してもDRMパラダイムによって虚再認が生成されることを示すものといえる。今後,本研究で虚再認が示されたリストが頑健なものであるかについてはさらに詳細な検証が必要である。

3.記憶の錯覚は何をもたらすのか?

 

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