第15回 生殖・発生と老化の仕組み

人体の構造と機能(’22)-人体の構造と機能及び疾病A-

Structure and Function of the Human Body (’22)

主任講師名:坂井 建雄(順天堂大学特任教授)、岡田 隆夫(順天堂大学特任教授)

【講義概要】
私たちの健康は正常な構造が正常に機能して初めて可能となる。看護師などの医療職に就くためには私たちの身体の正常な構造を知り、それがどのように機能しているかを理解しておく必要がある。私たちの身体の中には胃や腸、心臓、筋肉等々さまざまな器官・組織があるが、これらは互いに独立して働いているわけではなく、筋運動をすると心拍が速くなることからもわかるように、相互に密接に関連しながら機能している。このような機能の調節をも含めて、トータルとしての人体の構造と機能を理解することを目標とする。

【授業の目標】
人体の構造をマクロ・ミクロの両面から系統的に学ぶ。
人体の各器官系の機能を調節系も含めて系統的に学ぶ。

【履修上の留意点】
限られた時間内で全てを講義することは不可能であり、教科書による自己学習が必須である。予習をしてあることを前提として授業を展開する。疑問の点、わからない点は積極的に質問するよう、心がけてほしい。
「動物の科学」「生命分子と細胞の科学」(いずれも学部開設科目)を学んでおくと理解しやすい。また、発展・応用科目としての「健康長寿のためのスポートロジー」の受講もお薦めする。
※この科目の通信指導問題の解答および提出はWebのみとなります。通信指導問題冊子は送付されませんのでご注意ください。

第15回 生殖・発生と老化の仕組み

男性生殖器の構造と機能、女性生殖器の構造と機能、妊娠の成立と発生の仕組み、そして老化のメカニズムを概説する。

【キーワード】
男性生殖器、女性生殖器、月経、初期発生、老化


問題 17 生殖器に関する①~⑤の文章のうちから、正しいものを一つ選べ。

① 男性ホルモンは精巣上体で作られる。
② 前立腺は尿道海綿体の一部である。
③ 女性ホルモンのエストロゲンは子宮で作られる。
④ 女性ホルモンの分泌は下垂体のホルモンにより刺激される。 正解です。
⑤ 子宮の壁は骨格筋からできている。

フィードバック 正解は④です。

【解説/コメント】

①男性ホルモンは、精巣の精細管上皮のセルトリ細胞で作られます。
②前立腺は膀胱のすぐ下で男性の尿道を取り巻き、尿生殖隔膜より上にあります。尿道海綿体は尿生殖隔膜の下で始まります。
③女性ホルモンのエストロゲンは、卵巣の排卵前のグラーフ卵胞から、プロゲステロンは排卵後の黄体から分泌されます。
④下垂体の前葉から、2種類の性腺刺激ホルモンが分泌されており、1つは黄体化ホルモン(LH)でもう1つは卵胞刺激ホルモン(FSH)で、卵巣からエストロゲンの分泌を刺激します。
⑤女性生殖器の卵管、卵巣、腟の壁は平滑筋からできています。


問題 18 生殖と発生に関する①~⑤の文章のうちから、正しいものを一つ選べ。

① 女性の性染色体はXが2本である。 正解です。
② 精子は卵巣のグラーフ卵胞に進入して卵子と受精する。
③ 胞胚の外細胞塊から胎児ができる。
④ 中胚葉から神経系が生じる。
⑤ 胎盤の絨毛は母体側の細胞からられる。

フィードバック正解は①です。

【解説/コメント】

①人の染色体は、常染色体が22組(44本)と性染色体が1組(2本)です。性染色体は男性ではXとY、女性ではXが2本です。
②卵子が卵巣のグラーフ卵胞から排卵され、卵管の中に取り込まれて、卵管膨大部のあたりで精子と出会って受精します。
③受精卵は細胞分裂を繰り返して、胞胚になって子宮粘膜に着床します。胞胚の外を覆う外細胞塊は子宮壁との間で胎盤を作り、内細胞塊は胎児そのものを作ります。
④胎児の外胚葉からは表皮と神経系、中胚葉からは骨格、筋肉、真皮、さらに泌尿器と生殖器が作られ、内胚葉からは消化管の粘膜が作られます。
⑤胎盤は母体側の脱落膜と胎児側の絨毛膜からできています。絨毛は胎児側の絨毛膜からできます。

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