第15回 まとめと展望

神経・生理心理学(’22)

Neuro- and Physiological Psychology (’22)

主任講師名:髙瀬 堅吉(中央大学教授)

【講義概要】
神経・生理心理学では、心の生物学的基礎についての学びを主題とします。講義では、知覚、記憶、学習、感情、意識などの心の働きを担う脳の機能を中心に学びます。また、睡眠、生体リズム、遺伝子と行動、心の発達、心の病気についても、その生物学的基礎を紹介します。これらの知見に加えて、心の生物学的基礎を明らかにするための研究手法についても触れ、神経・生理心理学の総合的理解を目指します。講義内容は、公認心理師試験出題基準(ブループリント)の項目を網羅し、臨床の現場に関連する話題も扱います。

【授業の目標】
神経・生理心理学の基礎的知見、考え方を身につけることを目標とします。具体的には、1)心の諸機能の生物学的基盤、特に神経系、内分泌系のつくりと働きを理解し、2)知覚、記憶、学習、感情、意識などの心の働きが、神経系や内分泌系の働きによってどのように営まれているかを学びます。そして、1、2の知見を明らかにするための研究手法も学び、神経・生理心理学の総合的理解を目指します。

【履修上の留意点】
心理学の概論的講義を履修済みであることが望ましいです。また、数学、物理学、化学、生物学の知識が受講者に備わっていると、講義の理解は容易になります。しかし、これらの予備知識については、放送授業や印刷教材で、そのつど説明します。

第15回 まとめと展望

これまで学んできた内容を振り返りつつ、これらがどのような研究手法によって解明されてきたのかを学びます。そして、神経・生理心理学の今後の発展についても紹介します。

【キーワード】
脳機能計測技術、生物心理社会モデル


次の①~④のうちから、脳の活動を捉える技術として誤っているものを一つ選べ。

① EEG
② PET
③ MRI
④ fMRI

フィードバック
正解は③です。

【解説/コメント】

脳の活動を捉える方法として、古くからある非侵襲的方法に脳波(brain wave)の測定があります。脳波は脳電図(electroencephalography;EEG)とも呼ばれます。PET(positron emission tomography)は脳の機能、つまり活動を画像によって提供する方法です。活動的な神経細胞がしばしば血管拡張因子である一酸化窒素を放出するため、脳の活動的な部位には血流の増加が見られるという前提で放射性の水を投与して脳機能を知ることも利用法の一つです。よく利用される方法として脳のエネルギー源であるグルコースと類似の放射性2-デオキシグルコースを頸動脈から投与し、それを脳の活動している部位に取り込ませて脳機能を知る方法があります。磁気共鳴画像(magnetic resonance imaging;MRI)は水素原子が磁場内で高周波により活性化された際に放出する波を測定することで脳の構造に関する高分解画像を得る方法です。MRIでは脳の活動を捉えることはできません。MRIにおいて水素原子が磁場内で高周波により活性化された際に波を放出する現象は「核磁気共鳴現象」と呼ばれています。fMRIはMRIの特長とPETの特長を合わせた方法で、脳の構造と機能の両方を見ることができます。また、PETと異なり、血流中酸素の増加を画像にすることから、何も投与しなくて良いため、有用な研究手段として広く用いられています。

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