第1回 感情と人格

感情・人格心理学(’21)

Psychology of Emotion and Personality (’21)

主任講師名:大山 泰宏(放送大学教授)、佐々木 玲仁(九州大学大学院准教授)

【講義概要】
本講義では感情心理学および人格心理学について論ずる。ここで取り扱う感情とは「そのときどきの気持ち」のことであり、人格とは「それぞれの人がら」のことである。これらのことについて、どのような概念なのか、あるいはどのように測定するのか、そしてどのように発達していくのかなどについてそれぞれの観点から述べる。また、感情については、その種類や表し方、記憶との関連など、人格については、それをどのように記述するのか、環境との関連、心理療法との関連など、様々なテーマで論じていく。また、感情と人格の繋がりや日常生活との関連についても取り扱う。

【授業の目標】
感情および人格という日常でも出会う概念について、心理学上の様々な論点から考察できるようになること、また、学術的な理解を得るだけでなく、その理解が日常生活とどのような繋がりがあるのかかについての知見を得ることを目標とする。

【履修上の留意点】
人間に対する率直な知的好奇心があれば、予備知識等は特に必要としない。

第1回 感情と人格

感情と人格について論ずるための準備として、まずは日常用語と学術用語の違いについて論じる。また、感情、人格をそれぞれ心理学として論じるとはどういうことかについて述べつつ、各章で何を扱うかについて説明することで本講の全体の見通しを立てる。

【キーワード】
感情、人格、専門用語、日常用語


乾燥食品を水でもどすような作業を可能な限り行っていきたいと考えている。

筆者は心理学の中でも臨床心理学を専門としているので、自己規程を「乾燥食品の製造業者」ではなく「乾燥食品を使った料理をどれだけおいしく食べられるようにするかという料理人」においている。


第1回 感情と人格

感情と人格について論ずるための準備として、まずは日常用語と学術用語の違いについて論じる。また、感情、人格をそれぞれ心理学として論じるとはどういうことかについて述べつつ、各章で何を扱うかについて説明することで本講の全体の見通しを立てる。

【キーワード】
感情、人格、専門用語、日常用語

第2回 感情はなぜあるのか

そもそも感情というものはなぜあるのかについて、それが自分自身について及ぼす影響と、他の人とのつながりに及ぼす影響の観点から論じる。

【キーワード】
感情の機能、感情が及ぼす影響

第3回 感情を表す

感情が人に伝わるとき、その主要なルートの一つは顔の表情である。この表情について、それをどう分類し、どのように扱うのかについて論じる。また、顔の表情に留まらず、さまざまな形の感情の伝達ルートについて論じていく。

【キーワード】
表情、観察可能性、身体動作、文脈

第4回 感情の発達

感情は生まれたときから成人に至るまで、同じような様相を呈するわけではない。出生時からどのような感情が生まれ、どのように変化していくかについて、いくつかの観点から論じていく。

【キーワード】
発達、一次感情、二次感情、分化

第5回 感情と記憶

感情は記憶に影響を与え、また記憶は感情に影響を与える。記憶の分類を踏まえつつ、それらが感情とどのように関連しているかについて、その研究手法に触れつつ論じていく。

【キーワード】
記憶、記銘、保持、想起

第6回 感情の生理的基盤

感情が生じるという現象について、脳神経系およびその他の身体との関係がどのようなものであるかについて論じる。脳神経系は感情との関連が深いが、それ以外の身体部分も感情とのかかわりは深い。これらについて、その研究方法にも触れつつ論じていく。

【キーワード】
感情の起源、脳神経系、身体

第7回 感情の障害

感情がうまく働かず、何らかの意味で生活に問題が出るとき、我々はそれを感情の障害と呼ぶ。これについて、障害とは何かについて触れつつ論じる。

【キーワード】
感情の不調、障害、診断

第8回 感情の測定

感情を学術的に論じる時には何らかの意味で測定を行わなければならない。これについて自己報告、観察などの具体的な方法を取り上げつつ論じる。

【キーワード】
測定、自己報告、観察、自己表現

第9回 人格の概念

ある人の人柄を表すには、さまざまな用語が用いられる。それらの用語のそれぞれの意味するところとその関係について述べる。また、我々はなぜ人柄ということを考えるのかというそもそもの問いについても考えていく。

【キーワード】
人格、気質、性格、特性

第10回 人格の記述

人格について学術的に論じるとき、その方法は類型論と特性論に大別される。それぞれの論理について説明するとともに、これまでに論じられてきた具体的な人格理論についても論じる。

【キーワード】
類型論、特性論

第11回 人格の測定

感情と同様、人格もそれを学術的に論じるには何らかの意味で測定を行わなければならない。その具体的な方法について、心理アセスメント法の文脈から具体的な技法に触れつつ論じる。

【キーワード】
質問紙法、投映法、測定可能性

第12回 人格の発達

人格はその性質としてある程度変化しないものが想定されているが、年齢を経るごとに人格が変化していくと考えるのもまた自然なことである。この人格の時間的変化について、さまざまな観点から論じていく。

【キーワード】
ライフサイクル、段階、時間的変化

第13回 人格と環境

我々は人格を論じるとき、それを周囲の環境や状況から切り離された、独立したものと想定して扱うことが多い。しかし実際には人格は環境や状況から大きく影響を受けるものでもある。この影響を踏まえつつどのように人格を論じるべきかについて述べていく。

【キーワード】
環境、文化、状況、一貫性

第14回 人格と心理療法

人格を理論として論じるときにはその共通性や分類を対象として論じるが、心理療法ではその個別性について焦点を当てることが多い。その心理療法の観点から改めて人格の概念を見直し、論じていく。

【キーワード】
心理療法、個別性、変化

第15回 感情・人格と日常

ここまでそれぞれ論じてきた感情と人格について、その関連について述べるとともに、これまで論じてきたそれぞれの観点を感情と人格の関わりにおいて振り返り、講義全体のまとめを行う。

【キーワード】
感情と人格の関わり、測定、発達、記憶


 

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