第12回 人格の発達

感情・人格心理学(’21)

Psychology of Emotion and Personality (’21)

主任講師名:大山 泰宏(放送大学教授)、佐々木 玲仁(九州大学大学院准教授)

【講義概要】
本講義では感情心理学および人格心理学について論ずる。ここで取り扱う感情とは「そのときどきの気持ち」のことであり、人格とは「それぞれの人がら」のことである。これらのことについて、どのような概念なのか、あるいはどのように測定するのか、そしてどのように発達していくのかなどについてそれぞれの観点から述べる。また、感情については、その種類や表し方、記憶との関連など、人格については、それをどのように記述するのか、環境との関連、心理療法との関連など、様々なテーマで論じていく。また、感情と人格の繋がりや日常生活との関連についても取り扱う。

【授業の目標】
感情および人格という日常でも出会う概念について、心理学上の様々な論点から考察できるようになること、また、学術的な理解を得るだけでなく、その理解が日常生活とどのような繋がりがあるのかかについての知見を得ることを目標とする。

【履修上の留意点】
人間に対する率直な知的好奇心があれば、予備知識等は特に必要としない。

第12回 人格の発達

人格はその性質としてある程度変化しないものが想定されているが、年齢を経るごとに人格が変化していくと考えるのもまた自然なことである。この人格の時間的変化について、さまざまな観点から論じていく。

【キーワード】
ライフサイクル、段階、時間的変化

段階、時間的変化、アイデンティティ、愛着、自己意識、自我体験


問題 7 人格の発達に関する概念のうち,次の①~④の中から適切でないものを一つ選びなさい。

自己意識が成立するのは 2 歳前後と推測されている。
② 乳幼児期に形成された愛着が青年期や成人期に影響を与えるという研究がある。
③ 「私について考えているこの私とは誰なのか」と気づく瞬間の体験を自我体験と呼ぶ。
④ 我々は幼少期から一貫した人格を持っていると仮定すると,人間の人格についてのほとんどの現象が説明できる。 正解です。

フィードバック 正解は④です。

【解説/コメント】

①②③適切な記述である。

人格については必ずしも一生を通じて一貫しているという仮定は成り立たない。発達という現象によって,それぞれの段階に区切られたり,変化を起こす現象が確認されている。しかし,一貫性と変化はどちらか一方の概念で人間の人格を説明することはできない。

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