第06回 記憶のしくみ:教育心理学

心理と教育へのいざない。
第06回 記憶のしくみ:教育心理学

教育心理学は、教育や学習に関する心理学的事実や法則を明らかにし、教育をより効果的に行うことを目的とする学問分野である。第6回では、学習の基盤となる記憶を取り上げ、記憶の働きやしくみ、記憶の内容について概説する。また、どうすればよりよく記憶できるのかについて考察する。

【キーワード】
短期記憶、長期記憶、ワーキングメモリ、手続き的記憶、宣言的記憶、記憶方略

向田 久美子(放送大学准教授)
進藤 聡彦(放送大学教授)


1.記憶とは
2.記憶の内容
3.記憶方略


1.記憶とは
(1)記憶の働き
展望記憶:未来のことを記憶する。具体的には将来をイメージして、予測や計画を立て、それらを記憶に留めておく。
記憶のプロセス
1)符号化(記銘ともいう、情報を取り入れること)
情報が省略されることもある。
2)貯蔵(保持ともいう、情報を蓄えること)
時間とともに変容したり、消失していることもある。
3)検索(想起ともいう、情報を取り出すこと)

(2)記憶のしくみ
アトキンソン 3段階モデル


三つの記憶貯蔵庫
記憶の多重貯蔵モデル :感覚記憶、短期記憶、長期記憶という3つの貯蔵庫(登録器)によって構成される記憶のメカニズムのこと。
(3)ワーキングメモリ(Wiki)

ワーキングメモリ Workingmemory
感覚器官から得られた情報を保持しながら処理を行う概念

2.記憶の内容
(1)手続き型記憶
手続き記憶 Procedural memory
技能や習慣など、体で覚えた記憶
(2)宣言的記憶
【図解あり】宣言的記憶と非宣言的記憶(手続き記憶)
図解も交えて、長期記憶の下位概念である、「宣言的記憶と手続き記憶」についてまとめてます。それぞれの位置付け記憶は、身近なテーマであるため、比較的理解しやすいと思う。

(3)スキーマとスクリプト
スキーマ・スクリプトを解説|使いやすさにつながる認知心理学の知識
私たちは普段、記憶を頼りに様々な判断や行為を行います。
そのなかでも長期記憶はスキーマ・スクリプトと呼ばれる記憶の構造を持ちます。

3.記憶方略
(1)リハーサル
(2)体制化
(3)干渉の最小化
(4)検索手がかりの活用

認知と記憶のメカニズムを解説!ユーザーを理解するための認知心理学の基礎
普段、私たちは生活する中で様々な認知特性に支えられていることをご存知ですか?

 


心理と教育へのいざない。

目次

1 教育とは
2 教育と社会
3 教育と行政:教育の政策、法・制度、管理・経営
4 学校教育
5 大人が学ぶ理由:生涯学習
6 記憶のしくみ:教育心理学  ← 今回
7 赤ちゃんの心:発達心理学
8 対人認知:社会心理学
9 「見える」から「見る」へ:心理学と臨床心理学
10 臨床心理学と心理療法
11 イメージを用いた心理療法
12 教育現場におけるカウンセリング
13 医療における心理臨床
14 あいだの臨床心理学
15 課題と展望

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“第06回 記憶のしくみ:教育心理学” への2件の返信

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