第8回 ヒューリスティックと行動経済学
第8回 ヒューリスティックと行動経済学
人の日常的な思考は、論理的な厳密さよりも、効率性と一貫性を優先した簡便な方法で行われる。こうした思考はヒューリスティックと呼ばれ、日常生活の中で広く見ることができる。こうした思考が引き起こす、特有の錯覚を認知心理学と行動経済学の知見から考察する。
【キーワード】
ヒューリスティック、確率推論、プロスペクト理論
1.人の直感とヒューリスティック
(1)誤理的思考と思考の近道
ヒューリスティック(heuristic)
アルゴリズム(algorithm)
ダニエル・カーネマン
(2)代表性ヒューリスティック
ヒューリスティックのなかでも、ある事象が、典型例とどの程度、似ているかや、当該のカテゴリーの代表的な特徴をどの程度、備えているかといったことをもとにして、その事象の生起頻度や生起確率を判断する方法は、代表性ヒューリスティックと呼ばれています。
連言錯誤
シミュレーション・ヒューリスティック
ギャンブラーズ錯誤
(3)利用可能性ヒューリスティック
(4)アンカリングと調整のヒューリスティック
現状維持バイアス
(5)ヒューリスティックをいかに理解すべきか
二重過程モデル
2.行動経済学とプロスペクト理論
(1)経済活動における合理的な思考
期待効用理論
(2)プロスペクト理論と価値関数
感応度逓減(期待効用理論では限界効用逓減)
損失回避性
保有効果
リスク感度の非対称性(鏡映効果)
参照点依存性
フレーミング効果
(3)確率の重み付け
決定荷重関数