第13回 老年期の発達:喪失とサクセスフル・エイジング

第13回 老年期の発達:喪失とサクセスフル・エイジング

老年期は、心身の衰えや、それまで担ってきた役割からの引退、近親者との別れなど、喪失体験が増えてくる。一方で、認知能力の向上や、肯定的感情の増加といった獲得的変化も生じている。老年期の発達とサクセスフル・エイジングについて解説する。

【キーワード】
喪失、老化、知能、英知、SOCモデル、サクセスフル・エイジング、インテグリティ


1.高齢化と老年期

(1)高齢化の進展

老年期をいかに生きるか、またいかに支えるか

(2)老年期の区分

人によっては人生の中で最も長い時間を過ごす可能性のある時期である。

(3)老化

健康に留意した生活を送ることで、身体機能を維持したり、疾病を予防したりできることや、

加齢とともに心理面にも肯定的な変化が見られることが明らかになっている。

2.認知能力の発達

(1)流動性知能と結晶性知能

流動性知能・・・心理学者キャッテルにより提唱された知能因子の2分類の一つ(もう一つは「結晶性知能」)。流動性知能は新しい場面への適応に必要な能力であり、具体的には、計算力・暗記力・思考力集中力などがある。IQ(知能指数)はこれにより計られる。結晶性知能が経験を元にした知能であり60代頃にピークを迎えるのに対し、流動性知能は18~25歳くらいにピークを迎え、その後次第に衰えて40代以降で急激に低下するとされている。

結晶性知能・・・過去の学習経験を高度に適応して得られた判断力や習慣

正式には結晶性一般能力と呼びます。人生を通じて培ってきた知識や経験に基づく判断を意味します。結晶性知能があると、これまで経験してきた事象を正確かつ効率よくこなすことができます。

(2)SOCモデル

SOC(補償を伴う選択的最適化)モデル・・・人は目標を達成することでポジティブな感情や幸福を感じることができる。選択最適化補償理論は人が幸福に生きるための方略だと考えられている。バルテス(Baltes, 1997)は,目標達成のための一連の過程を,目標の選択,資源の最適化,補償の三つの要素に分けた。. この理論では,加齢に伴う喪失を三つのプロセスを動員することで元の状態に近づけようとし,幸福感の低下が抑えられると考えられる(権藤ら,2017)。. 目標の選択は,①自らによる選択と②喪失による選択との二つに分けられる。.

(3)英知の獲得

「人生にかかわる重要だか不確かな出来事に対するよい判断」

単に年齢とともに増加するとは言えず、自らの過去を振り返り、人生経験を内省することにより、英知を高めると示唆されている。

3.サクセスフル・エイジング

(1)サクセスフル・エイジングとは、

(2)加齢に伴う肯定的な変化

4.人生の統合

(1)インテグリティと知恵

(2)時代と老い

 

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