第12回 ストーカー犯罪

司法・犯罪心理学(’20)

Forensic and Criminal Psychology (’20)

主任講師名:廣井 亮一(立命館大学教授)

【講義概要】
公認心理師法における「司法・犯罪分野」の要点を踏まえて、少年事件、刑事事件、家庭紛争事件の3部で構成する。
第1部は、司法における犯罪心理学、非行臨床をもとに少年事件を取り上げる(第1回~第4回)。第5回では犯罪者・非行少年の更生に関わる専門家の活動を紹介する。
第2部は、児童虐待、高齢者虐待、離婚と面会交流などの家庭紛争事件、さらに体罰問題など学校に関わる問題への対応を解説する(第6回~第9回)。
第3部は、攻撃性をもとに犯罪の4類型を理解したうえで、ストーカー犯罪、凶悪事件の精神鑑定例、犯罪被害者への贖罪を取り上げる。また、司法における心理臨床家の活動も紹介する。最後に現在の司法の潮流である司法臨床、治療的司法、加害者臨床をもとに、司法・犯罪心理学の展望と課題を解説する(第10回~第15回)。

【授業の目標】
公認心理師法における「司法・犯罪分野」の要点である、少年事件、刑事事件、家庭紛争事件の3部門を学ぶ。そのうえで司法の枠組みを踏まえた、少年への非行臨床、成人への加害者臨床、家庭事件への家族臨床の展開を理解することを目的とする。

【履修上の留意点】
新聞等で少年や成人の事件、家庭での虐待事件等の報道を読み、現代の少年非行、成人犯罪、家庭事件の特徴を考えておく。さらに、講義で関心をもったテーマを各自でさらに深く学ぶこと。

第12回 ストーカー犯罪

・ストーカーとは何かについて、ストーカー行為等の規制等に関する法律によって解説する。
・ストーカー対策の現状と課題について、警察が対応した100ケースの質的分析をもとに検討する。
・ストーカーの「怨み」と「恨み」の違いを踏まえたうえで、それぞれのストーカー行為への対応を説明する。

【キーワード】
ストーカー、ストーカー行為等の規制等に関する法律、つきまとい等、ストーカー行為、「怨み」と「恨み」



「ストーカー行為等の規制等に関する法律」「つきまとい等」の行為に該当しないものを次の①~④から一つ選びなさい。

① 卑猥な画像を送ったりネットに掲示したりする行為

② 被害者をいつも監視していると告げる行為

③ 被害者と交際できるように願をかける(神仏にあることの成就を祈り願うこと)行為

④ 汚物,動物の死体などを被害者に送付して不快感,嫌悪感を与える行為

フィードバック
正解は③です。

【解説/コメント】

「つきまとい等」とは,「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で,当該特定の者又はその配偶者,直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し,次の各号のいずれかに掲げる行為をすること」(法 2 条)です。

・つきまとい・待ち伏せ・見張り・押し掛け・うろつき
・監視していると告げる行為
・面会や交際などの要求
・粗野,乱暴な言動
・無言電話,連続した電話・E メール・SNS 等
・汚物などの送付
・名誉を傷つけること
・性的羞恥心の侵害

「願をかける」とは,神仏に願いごとをすることですからストーカー規制法の対象ではありません。

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