第12回 教育場面のアセスメント

心理的アセスメント(’20)
Psychological Assessment (’20)

主任講師名:森田 美弥子(中部大学教授)、永田 雅子(名古屋大学教授)

【講義概要】
心理的アセスメントとは何をすることなのか? 心理的支援実践においてアセスメントは必須の行為である。クライエントがどういう人であるのか、どのような問題を抱えているのか、といったことを把握しないことには支援の方針計画をたてようがない。では、具体的にどのような方法があるのか、そこで何に留意するとよいのか概説する。

【授業の目標】
本講義を通じて、心理支援における心理的アセスメントの基礎知識を得ることを目標とする。

第12回 教育場面のアセスメント

スクールカウンセリング等におけるアセスメントの内容、対象、留意点などについて紹介する。特に環境(場)、集団の関係性を見立てる視点について解説する。

【キーワード】
学校システム、環境(場)の見立て、参与観察、多職種連携


環境をアセスメントする
(1) 学校を見立てる
(2) 集団を見立てる
(3) 支援の段階を見立てる
アウトリーチ
(1) 授業観察
(2) 家庭訪問
個別面接でのアセスメント
(1) 児童生徒
(2) 保護者
(3) 教員
教員との連携
(1) 情報共有
(2) コンサルテーション
(3) ケース(事例)会議
外部機関との連携
(1) 知能検査への対応
(2) 教育支援センター(適応指導教室)


児童生徒との心理面接で,両親から暴力や厳しい叱責を受けていると相談されたスクールカウンセラー(SC)が行う対応として,誤っているものを次の①~④の文章のうちから一つ選べ。

① 集団守秘義務に基づいて両親が子どもを虐待している可能性を担任教員,管理職教員に伝え,連携して事実確認を行う。

② 担任教員やスクールソーシャルワーカー(SSW)とともに当該児童生徒の家庭を訪問して,生活状況や保護者の様子をアセスメントし,子どもと保護者双方に必要な支援を検討する。

③ 「誰にも言わないでほしい」という児童生徒の気持ちを尊重し,守秘を徹底した心理面接を継続し,SC には何でも話せるように信頼関係を深める。

④ 保護者からの暴力があるので児童相談所や警察と情報共有して,児童生徒に深刻な危害が及ばないよう未然防止を行う。

フィードバック
正解は③です。

【解説/コメント】

虐待を知り得たときは,教員と情報を共有して具体的な支援方法を検討します。このとき,伝えるべき内容と誰に伝えるかを判断する必要があります。

印刷教材の第 14 章にも虐待について取り上げているので参照してみてください。

②保護者の性格や行動,養育態度などをふまえて慎重に関わることが重要です。SC が保護者の心理面接を担当し,SSW が外部の専門機関と連携を行うなど,それぞれの専門性を活かして関わります。

印刷教材の第 12 章を参照して,理解を深めてください。

③これが「誤っているもの」です。児童生徒と SC の間だけで虐待の問題を共有している限り,その子どもの被害について必要な支援がなされず,虐待が繰り返される悪循環に陥ります。SC が児童生徒を抱え込むことは支援を妨げる結果となります。

暴力から殺傷のような犯罪に至る可能性を考慮する必要があります。児童相談所で一時保護するなど,子どもの生活環境の改善に多職種で取り組みます。

印刷教材の第 14 章も参照して,理解を深めてください。

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