第11回 身体の支持と運動
人体の構造と機能(’22)-人体の構造と機能及び疾病A-
Structure and Function of the Human Body (’22)
主任講師名:坂井 建雄(順天堂大学特任教授)、岡田 隆夫(順天堂大学特任教授)
【講義概要】
私たちの健康は正常な構造が正常に機能して初めて可能となる。看護師などの医療職に就くためには私たちの身体の正常な構造を知り、それがどのように機能しているかを理解しておく必要がある。私たちの身体の中には胃や腸、心臓、筋肉等々さまざまな器官・組織があるが、これらは互いに独立して働いているわけではなく、筋運動をすると心拍が速くなることからもわかるように、相互に密接に関連しながら機能している。このような機能の調節をも含めて、トータルとしての人体の構造と機能を理解することを目標とする。
【授業の目標】
人体の構造をマクロ・ミクロの両面から系統的に学ぶ。
人体の各器官系の機能を調節系も含めて系統的に学ぶ。
【履修上の留意点】
限られた時間内で全てを講義することは不可能であり、教科書による自己学習が必須である。予習をしてあることを前提として授業を展開する。疑問の点、わからない点は積極的に質問するよう、心がけてほしい。
「動物の科学」「生命分子と細胞の科学」(いずれも学部開設科目)を学んでおくと理解しやすい。また、発展・応用科目としての「健康長寿のためのスポートロジー」の受講もお薦めする。
※この科目の通信指導問題の解答および提出はWebのみとなります。通信指導問題冊子は送付されませんのでご注意ください。
第11回 身体の支持と運動
骨の構造と機能、骨の連結、筋の構造と収縮メカニズム、上肢と下肢の運動を解説する。
【キーワード】
破骨細胞、骨芽細胞、関節、ミオシンフィラメント、アクチンフィラメント、上肢、下肢
体重の配分を見てください。それによって、肥満の人は膝、腰、股関節、およびその他の慢性的な痛みを発症する可能性が高くなります。
体重をコントロールしよう。
問題 8 骨格に関する①~⑤の文章のうちから、正しいものを一つ選べ。
① 骨の表面は海綿質からできている。
② 骨組織のハバース管には血管が通っている。 正解です。
③ 骨の感覚神経はおもに緻密質に分布している。
④ 黄色骨髄では造血が盛んに行われる。
⑤ コラーゲン線維は骨細胞の中に含まれる。
フィードバック 正解は②です。
【解説/コメント】
①骨の表面は緻密質という固い骨質で作られ、内部は隙間の多い海綿質からできています。
②骨組織は円柱状の骨単位が集まってできており、骨単位の中心にあるハバース管には血管が通っています。
③骨の感覚神経はおもに骨膜に分布しています。骨膜は骨の表面を覆う特殊な結合組織です。骨折をすると激しい痛みがあるのは、骨膜の感覚神経が刺激されるからです。
④骨髄には赤色骨髄と黄色骨髄の2種類があります。赤色骨髄には造血組織が含まれ、血球が盛んに作られます。黄色骨髄はおもに脂肪からできています。
⑤コラーゲン線維はカルシウムとともに骨組織の主要な細胞外基質です。コラーゲン線維は細胞外にあるタンパク質の線維で、細胞の中に含まれることはありません。
骨層板は,コラーゲン線維などの蛋白質が枠組みを作 り,そこにリン酸カルシウムの結晶が沈着したものであ る。 コラーゲン線維は骨単位の層板の中でラセン状に配列 し,隣り合う層板ではほぼ直交する。 れ外環状層板,内環状層板と呼ばれる。 海綿質には血管を通すハヴァース管がなく,骨層板は骨 単位を形成しない。
問題 9 骨の連結に関する①~⑤の文章のうちから、正しいものを一つ選べ。
① 靭帯は関節を補強する補助装置である。p162
② 滑膜は関節腔に向かう骨の表面を覆う。 不正解です。
③ 球関節は一軸性で一方向の運動を行う。
④ 関節軟骨は関節包の一部である。
⑤ 頭蓋の縫合は軟骨性結合の一種である。
フィードバック 正解は①です。
【解説/コメント】
①関節をまたいで骨をつなぐ強靱な結合組織は靭帯と呼ばれ、関節を補強したり運動を制限したりする働きをもちます。
②関節腔を包む関節包は、丈夫な結合組織からなる外がわの線維膜と、その内面で滑液を分泌する滑膜からできています。
③一方向の運動を行う一軸性の関節には蝶番関節と車軸関節があり、二方向の運動を行う二軸性の関節には鞍関節と楕円関節があり、あらゆる方向に運動する多軸関節には球関節があります。
④関節軟骨は、関節に向かう骨の表面を覆っていて、関節の動きを滑らかにし、骨が接触して磨り減るのを防ぎます。
⑤頭蓋の骨の間の結合はノコギリ状に噛み合って縫合と呼ばれ、結合組織の線維でつながれている線維性の結合の一種です。