第11回 成人初期の発達:大人への移行
第11回 成人初期の発達:大人への移行
成人初期は、活動の場が学校から職場に移行し、親元を離れて自活したり、結婚を考え始めたり、新しい家庭を築くなど、役割や責任、ライフスタイルが大きく変化する。この時期の心理的発達について概説する。
【キーワード】
ライフコース、ライフサイクル、キャリア形成、恋愛と結婚、社会的役割
1.終わらない青年期
怒髪天 「オトナノススメ」
産業構造の変化による知識や技術の専門化・高度化に伴って、教育を受ける期間が長期化している。
その結果、就職が20歳代半ば以降にずれ込むことも珍しくなくなっている。
この変化に対応するかのように晩婚化が進行している。しかし、日本の成人年齢は20歳から18歳へ引き下げられた。
「大人とは何か」
2.職業人になること
(1)社会的役割と自己形成
人間は、社会的役割を遂行しながら、自分自身を形成し、変化させていく存在だと言える。
(2)キャリア発達という見方
自己概念の発達(自分はどのような人間か、何をなりたいのか等、自分に関する意識)を踏まえて生きること。
それは、職業が決定すれば、それで変化が止まるわけではなく、職業経験を積み重ねていくことで、さらに発達し続けていくものである。
「個々の人が生涯にわたって遂行する様々な立場や役割の中で、自己と働くことを関係づけ、意味づけながら、自分の知的・身体的能力や情緒的な特徴、価値観などを一人ひとりの生き方として統合していくプロセス」をキャリア発達と呼ぶ
ミニ・サイクル・・・「成長⇒探索⇒確率⇒維持⇒解放」
マキシ・サイクル・・「探索⇒確率⇒維持⇒解放」
(3)成人期初期のキャリアをめぐる問題
リアリティ・ショックとバーンアウト
リアリティ・ショック・・・就職前に抱いていた自分の期待・夢と就職後に仕事・組織の実現に直面して感じるギャップのことである。
バーンアウト・・・燃え尽き症候群とも呼ばれる。以前は精力的に仕事をし、まわりの人たちからも一目置かれる存在だった人が、急に「燃え尽きたように」意欲を失い、休職、ついには離職してしまうような現象を指す。主症状として情緒的消耗感、副次的に脱人格化、個人的達成感の低下の結果だとしている。
「燃え尽き症候群」が起きる原因や兆候となる症状、それらへの対処策とは? – GIGAZINE
3.他者と親密な関係を築くこと
(1)進む未婚化と晩婚化
現在では、未婚化と晩婚化が顕著になってきており、結婚は必ずしも成人初期の発達課題とはみなされなくなっているようである。
(2)恋愛行動に見られる男女差
収入の問題や出会いの少なさに加え、自分をまず充実させたいという思いが強いことがある。
4.複数の役割を担っていくのが人生
(1)ゆらぐ伝統的性役割観
社会的役割が増えれば、それらの役割の間での時間やエネルギーの調整が必要となる。
(2)ライフ・ロールとライフ・キャリア・レインボー