第1回 イントロダクション 細胞・組織障害と再生・修復
疾病の成立と回復促進(’21)
-人体の構造と機能及び疾病B-
Pathogenesis of Diseases and Promotion of Recovery (’21)
主任講師名:岡田 忍(千葉大学大学院教授)、佐伯 由香(愛媛大学大学院教授)
【講義概要】
疾病によって引き起こされる様々な身体内部の変化と生活への影響、疾病の回復過程とそれを促進する要因についての知識は、疾病を予防し、疾病に対して適切な医療、看護を提供するために不可欠なものである。本講義では、看護師が疾病の成立と回復促進を理解することの必要性、疾病の原因とそれによって細胞や組織に生じる変化、基本的な病変の成り立ち、疾病に対して提供される医療についての講義を行ったうえで、生命活動や生活にどのような障害をもたらすのかという視点から、様々な疾病について解説する。
【授業の目標】
疾病の原因とそれによって生じる変化、基本的な病変の概念について細胞、組織のレベルで理解できること、様々な疾病がもたらす身体内部の変化と生活への影響、疾病の回復過程とそれを促進する要因について理解できることを目標とする。
【履修上の留意点】
「人体の構造と機能(’22)」「疾病の回復を促進する薬(’21)」と合わせて履修することが望ましい。
※この科目は、2016年度以降のカリキュラムの方においては生活と福祉コース開設科目ですが、心理と教育コースで共用科目となっています。
第1回 イントロダクション
細胞・組織障害と再生・修復
・超高齢化における看護の役割
・疾病の予防における看護の役割
・専門職として生活を整えるとは? -Aさんの事例-
肺炎の原因
超高齢化、生活を整える
2.疾病の原因
内的要因:元々その人に備わった疾病になりやすい素質(遺伝的要因)
外的要因:病原微生物、毒物などの科学物質、紫外線、外傷
①遺伝的要因
②外的要因
③生活習慣要因:食事、運動、喫煙、飲酒といった後天的な要因
ヘルニア、嵌頓(かんとん)、慢性硬膜下血腫
・専門職として生活を整えるとは? -Aさんの事例-
肝硬変は程度により、「代償性」と「非代償性」に分けられます。
線維芽(せんいが)細胞 →産生→ 膠原(こうげん)線維
膠原線維: コラーゲン線維の最小単位であるコラーゲンは、おもに線維芽細胞で合成され、前駆体のプロコラーゲンとして細胞外に分泌される. その後、余分な部分が酵素により切断されてコラーゲン分子となり、互いに規則正しく会合し、さらに架橋形成してしだいに細い線維となる.
トロンボポエチン:トロンボポエチンは最近発見された血小板産生を調節する造血因子である. トロンボポエチンは巨核球系前駆細胞に作用し,巨核芽球への分化を誘導し,さらに巨核球の成熟を促す作用がある. トロンボポエチンの産生部位は肝細胞と腎の近位尿細管細胞である.2008/06/12
門脈循環
門脈系循環は泌尿器系を除く腹部器官から静脈血を肝臓に集める循環系です。 通常の循環 では心臓を出た動脈は抹消で微小循環系に入り、毛細血管が集まって静脈となって心臓に 還流されます。
脾臓のうっ血(うっ血性脾腫)
側副循環。 動脈または静脈の一部に管腔の閉鎖,狭窄が起って血行が妨げられた場合,たまたまその部分の前後を結ぶ通路 (吻合枝) があると,血液はその通路を通って血行障害を軽減し,ついには吻合枝を拡張して,血行状態を回復する。
静脈瘤は、胃の上部で食道がつながっている場所の近くにできることもあります。これは胃静脈瘤と呼ばれ、同様の症状を引き起こします。
肝硬変による出血傾向のメカニズム
肝硬変では胆汁を作ったり、排泄する力が落ちてきます。 肝硬変が進み肝機能が著しく低下すると血液中のビリルビンが上昇して、皮膚や白目の部分に黄疸が認められるようになります。 血小板減少や、血液を固める因子(凝固因子)の低下を認めると血が止まりにくくなります(出血傾向)。
アルブミン
栄養状態、解毒機能の低下
看護の専門性の基盤:疾病の成り立ちを理解することで、心身の悪化を防いだり、回復を促進する生活の仕方を導き出す。
各回のテーマと授業内容
第1回 イントロダクション 看護師にとって疾病の成立及びその回復過程を理解することの意義について事例を用いて解説する。疾病の原因が加わることによって生じる細胞・組織の変化、障害された組織の修復過程について学ぶ。 【キーワード】 執筆担当講師名:岡田 忍 |
第2回 基本的な病変の発生機序 各器官系に発生する様々な疾病を理解する上で基礎となる基本的な病変とその機序について学ぶ。 【キーワード】 執筆担当講師名:岡田 忍 |
第3回 健康状態を脅かす微生物と生体防御 人に感染症をおこす細菌、ウイルス等の微生物の種類と特徴、微生物が感染症をひきおこす過程、微生物に対する生体防御のしくみについて学ぶ。 【キーワード】 執筆担当講師名:岡田 忍 |
第4回 疾病に対する医療 感染症を防ぐ手段である予防接種、疾病の診断のために行われる様々な検査、疾病に対して行われる手術療法、薬物療法といった治療、疾病によって障害された機能の回復や維持を目的としたリハビリテーションなど、疾病に対して行われる医療の概要について学ぶ。 【キーワード】 執筆担当講師名:田城 孝雄 |
第5回 神経機能の障害 身体に入力される情報を収集・統合して、各器官系のはたらきを調節する中枢神経系(脳、脊髄)および末梢神経系(体性神経系、自律神経系)、感覚器系の障害を引き起こす主な疾患とそれによって生じる機能障害について学ぶ。 【キーワード】 執筆担当講師名:山内 豊明 |
第6回 呼吸機能の障害 生命活動に不可欠な酸素を取り込み、二酸化炭素を排出する機能を担う呼吸器系(気道、肺、胸腔)の主な疾患とそれによって生じる呼吸機能の障害について学ぶ。 【キーワード】 執筆担当講師名:佐伯 由香 |
第7回 循環機能の障害 生命活動に不可欠な酸素や栄養を全身の組織に送るための仕組みである循環器系(心、血管)の主な疾患とそれによって生じる循環機能の障害について学ぶ。 【キーワード】 執筆担当講師名:佐伯 由香 |
第8回 造血機能の障害 血液を産生する機能を営む造血器(骨髄)の主な疾患、造血機能の障害の結果おこる血球の減少や増加、凝固系の異常などによって引き起こされる疾患について学ぶ。 【キーワード】 執筆担当講師名:佐伯 由香 |
第9回 免疫機能の障害 本来人を感染症から守る仕組みである免疫系の異常によって発生する自己免疫疾患や、アレルギー性疾患、免疫機能の低下を示す疾患について学ぶ。 【キーワード】 執筆担当講師名:岡田 忍 |
第10回 消化機能の障害 摂取した食物から必要な栄養素を取り入れる消化機能を担う消化器系(口腔、食道、胃、腸、肝臓、膵臓、胆道系)の主な疾患について学ぶ。 【キーワード】 執筆担当講師名:田城 孝雄 |
第11回 栄養バランスの障害 生活習慣や加齢による諸臓器の機能低下によって栄養バランスが障害され、栄養素の過剰や不足をきたした結果発生する主な疾患・病態について学ぶ。 【キーワード】 執筆担当講師名:山内 豊明 |
第12回 排泄機能の障害 尿をつくり、老廃物を排泄する機能を担う泌尿器系(腎、尿路)の主な疾患とそれによっておこる尿排泄機能の障害と排便の障害について学ぶ。 【キーワード】 執筆担当講師名:長嶋 洋治 |
第13回 内部環境調節機能の障害 人の内部環境の恒常性を維持する機能を担う内分泌系(下垂体、甲状腺、副甲状腺、副腎)の主な疾患、自律神経系の機能障害、体液の調節障害について学ぶ。 【キーワード】 執筆担当講師名:山内 豊明 |
第14回 運動機能の障害 姿勢を保ち、運動機能を担う骨、関節、筋肉、神経筋接合部の主な疾患、活動や行動の制限によっておこる運動機能の障害について学ぶ。 【キーワード】 執筆担当講師名:長嶋 洋治 |
第15回 生殖機能の障害 子孫を残すための生殖機能に関係する生殖器系(子宮、卵巣、乳腺、精巣、前立腺)の主な疾患、生殖行動の障害である性機能障害について学ぶ。 【キーワード】 執筆担当講師名:長嶋 洋治 |