「ゼロ・ポイント・フィールド」

右脳 と 悟り〔脳科学者 ジル・ボルト・テイラー博士の気づき〕|森海人 (note.com)

Jill Bolte Taylor/1959年、アメリカ・ケンタッキー州生れ。神経解剖学者。インディアナ州立大学で博士号取得後、ハーバード医学校で脳と神経の研究に携わりマイセル賞を受賞。また、精神疾患に関する知識を広めるべく全米精神疾患同盟(NAMI)の理事を務めるなど活躍する中、37歳で脳卒中に倒れる。その後、8年を経て機能を回復させた。現在は、ハーバード大学脳組織リソースセンター(ハーバード・ブレインバンク)のナショナル・スポークスマンとして、重度の精神疾患の研究のために脳組織を提供することの重要性について、啓蒙活動を行っている


いわゆる「天才」と呼ばれる人々は…

(仮説ですが)

「ゼロ・ポイント・フィールド」という「場」に…

右脳経由で繋がることのできる人々のようです。

そのため彼らは「自分の頭で考え抜いて、思いついた」とはあまり表現せずに…

「どこかから降りてきた」「天啓のごとく与えられた」といった表現をします。


【解説】

(注)ここから先の内容につきましては、30分間のお時間をいただきます。そのうち冒頭の18分間の動画視聴が必要になります。


まずはハーバードの神経解剖学者であるジル・ボルト・テイラー博士の2008年のTEDスピーチをご供覧ください。

18分のスピーチですが、特に15分〜18分の3分間は鳥肌が立ちます…

ジル・ボルト・テイラー博士は2008年に【奇跡の脳-脳科学者の脳が壊れたとき】という自身の体験談を出版され、世界的なベストセラーになったのですが…

今回13年ぶり(2021年)に【whole brain living】という著書を「右脳と左脳の使い方の実践編」として出版されました。

そして、2022年にNHK出版さんが【whole brain 心が軽くなる「脳」の動かし方】というタイトルで邦訳を出版してくれました!

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*左右の大脳皮質(考える脳)と左右の辺縁系(感じる脳)の合計4人(脳神経細胞群)の自分がいる。

キャラ1→左脳の大脳皮質(左考)

キャラ2→左脳の辺縁系(左感)

キャラ3→右脳の辺縁系(右感)

キャラ4→右脳の大脳皮質(右考)

私たちは意識してトレーニングすることで一瞬一瞬でキャラ1〜4を切り替えることができるようになる。

・キャラ1〜2(左脳)が主人公の時はキャラ3〜4(右脳)を抑制している。

・キャラ3〜4は意識して前面に出さない限り、キャラ1〜2に抑制されている。

・特にキャラ2は突発的に前面に出てくる。

・自分と相手のキャラ2同士がぶつかり合うと【絶対に】事態は解決しない。

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*キャラ1(左脳の大脳皮質)はざっくり言うと…

・すべて整理整頓

・きっちり分類

・生まれつきメカに強い

・身だしなみが良い

・計画性がある

・権威主義

・正しい/誤り、良い/悪いの白黒をはっきりつける

・細部にこだわる

・すべて数える

・防御的(人を「私たち」と「あの人たち」とで区別し、他人である「あの人たち」から仲間の「私たち」を守る)

*さらにキャラ1は、感情が伴わないときに発生する「ソフトなキャラ1」と、左脳の辺縁系(キャラ2)が発する警報に反応して生じる「ハードなキャラ1」とに分けられる。

「ソフトなキャラ1」

・親切で思慮深く、相談しやすく、チーム作りがとても上手(チームリーダー、羊飼い)

「ハードなキャラ1」

・まるで緊急事態に対処しているかのような感覚ではたらく(司令官、カウボーイ)

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*キャラ2(左脳の辺縁系)はざっくり言うと…

・怒り/悪口を言う

・騙す

・恥を内に秘める

・条件付きで愛す

・ネガティブな自己評価

・不安

・泣き言を言う

・自己中心的

・他者を責める

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*キャラ3(右脳の辺縁系)はざっくり言うと…

・寛容

・畏敬の念がある

・遊び心がある

・共感力がある

・創造性がある

・好奇心旺盛

・自分のスタイルがある

・経験的

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キャラ4(右脳の大脳皮質)はざっくり言うと…

・気づき

・広がり

・つながり

・受け入れる

・変化を受け入れる

・本物

・寛容な精神

・明晰さ

・意図を持って

・弱さを受け入れる

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マインドフルネス瞑想は…

放っておくと、キャラ1、2という左脳に支配されてしまう脳を、

意識的にキャラ3、4の右脳に切り替えることを繰り返すことで…

自然にキャラ3、4が主役となれることを目指している。


ここまでの理解はよろしかったでしょうか…?

では、ネクストステップになります。


この宇宙は、138億年前の量子真空のゆらぎから始まっています。

その瞬間、この量子真空が極微小の宇宙を生み出し、それが急激に膨張しました【インフレーション宇宙論(佐藤勝彦、アラン・グースら)】

そしてその直後、この宇宙の萌芽がビッグバンを起こし、現在の宇宙が誕生しました【ビッグバン宇宙論(ジョージ・ガモフら)】。


ここで、量子真空の中には、この壮大な宇宙を生み出せるほどの莫大なエネルギーが潜んでいるのですが、この量子真空は、いまも私たちの身の回りに(この宇宙のすべての場所に)普遍的に存在しています。

つまり、私たちの生きているこの世界の背後には、量子真空と呼ばれる無限のエネルギーに満ちた世界が存在している、ということになります。

この量子真空内に存在する莫大なエネルギーのことを、量子物理学では「ゼロ・ポイント・エネルギー」と呼んでいます(ノーベル物理学賞を受賞したリチャード・ファインマンの計算によれば、一立方メートルの真空に潜むエネルギーは、地球のすべての海の水を沸騰させるほどの量であるとされています)。


よろしいでしょうか…?

ついてこられてますか?笑

ここまでは現代の科学が認める「事実」なのですが、ここからは最先端科学が提示する「仮説」になります。


【ゼロ・ポイント・フィールド仮説】

この宇宙に普遍的に存在する量子空間の中に「ゼロ・ポイント・フィールド」と呼ばれる「場」があり、この「場」にこの宇宙開闢以来のすべての出来事のすべての情報が、波動情報としてホログラム原理で記録(記憶)されている…という仮説。


どうですか?

ぶっとびませんか…?笑

私はぶっとびましたが笑、

しかし。この話をされているのが田坂広志教授という…ほぼ偉人…の方ですので、私自身は真剣に向き合っております。


ちょっと話は変わりますが…

私事で恐縮なのですが、私は前述のジル・ボルト・テイラー博士のTED Talkを2008年に聴いて大いなるインスピレーションを得ました。

そして、それまでは小児神経科医だったのですが、2009年より都立病院にて児童精神科外来を開始し、これまでに約1800症例ほどをカウンセリングしてきて、経験知を得てまいりました。

手前味噌ですが、非常に難治な症例について、母子カウンセリングのみで寛解に導いたケースも多数経験してきております。

そして私のカウンセリング手法ですが、

(前述の)キャラ1〜2であるクライエントに対して、私自身がキャラ4で向かい合うことで、

クライエントが「キャラ4である自分自身」を引き出せるようになり(左脳をオフラインにするスキルを高めていく)、回復していく…

という流れでした。

左脳をオフラインにするスキルを高めていく…と、心に奇跡のような現象が引き起こされる…

という症例を多数、経験してきたことになります。


では、話をもとに戻しますね。

再び科学的な「事実」まで戻りますが、

量子物理学的に見ると、この世界のすべては波動になります。

私たちが物質だと思っているものの実体はすべてエネルギーであり、波動です。

物質を構成する素粒子はエネルギーの振動であり、波動であるからです。

そして、私たちの意識や心や精神というものであっても、たとえそれらが脳内の神経細胞の電気信号であったり、なんらかの量子的な現象であったとしても、いずれも波動エネルギーに他なりません。

従って、この宇宙のすべての出来事は、それが銀河系宇宙の生成であろうが、地球という惑星の誕生であろうが、ローマ帝国の興亡であろうが、あなたがこの地上に生を授かったことであろうが、あなたの今朝の食事であろうが、その食事が美味しいと思ったことであろうが、そのすべての本質は量子物理学的に見るならば、すべて波動エネルギーになります。


ここからは再び「仮説」となります。

【ホログラム原理】とは、波動の干渉を使って波動情報を記録する原理のことなのですが、位相を変えた波動同士が互いに干渉する時に生まれる干渉縞を記録することによって高密度の情報記録を可能にし、鮮明な立体映像の記録も可能にする原理です。

①このホログラム原理は極めて高密度の情報記録が可能です(角砂糖ほどの大きさの媒体に国会図書館の全蔵書の情報が収められるほど)

②このホログラム原理を用いると、記録した情報が記録する媒体のすべての場所に保存されているため、媒体の一部からも「全体情報」が取り出せる(解像度は落ちるが)。


このホログラム原理は、私たちの生きているこの宇宙やこの世界の根底にある基本原理でもあります。

つまりこの世界のホログラム的構造とは、「部分の中に、全体が宿る」という不思議な構造になっている…ということです。

また、ゼロ・ポイント・フィールドという量子的な場においてはエネルギーの減衰が起こりませんので、ゼロ・ポイント・フィールドに記録された波動情報は永遠に残り続けます。


ここからは田坂広志教授の仮説になりますが…

「私たちの脳、そして私たちの身体も、量子的プロセスでゼロ・ポイント・フィールドに繋がっている可能性がある…」という仮説です。

ぶっとびませんか…?笑

たとえば、意識の不思議な現象って…ありますよね。

直観、以心伝心、予感、予知、占い的中、シンクロニシティ、コンステレーションなど…

私たちの多くが経験するこれらの意識の不思議な現象は、私たちの意識が、このゼロ・ポイント・フィールドと繋がることを通して、必要な情報や知識や叡智を引き寄せることによって起こり、

また、このゼロ・ポイント・フィールドを介して互いの意識が結びつくことによって起こる現象である…という仮説です。


意識には階層があり、

第一の階層は【表面意識】です。

これは私たちが日常生活を送り、日々の仕事に取り組む時に最も活性化している意識の世界ですが、この世界では私たちの自我(エゴ)が中心になって動くため、ネガティブな想念が生まれて渦巻く世界でもあります(キャラ1、2の世界)。

この表面意識のネガティブな想念は雑音となって、私たちの意識がゼロ・ポイント・フィールドに繋がることを大きく妨げます。


第二の階層は【静寂意識】の世界です。

これは私たちが日常の生活や仕事から離れて静寂を保っている時の意識の世界ですが、この世界では私たちの自我(エゴ)の活動は比較的静まっており、ネガティブな想念も消えています。

その結果、私たちの意識はゼロ・ポイント・フィールドに繋がりやすくなり、そこから適切な知識や叡智を得ることができるため、直観が降りてくるようになります。

田坂教授は「賢我」と呼んでいます。前述のキャラ3、4ですね。


第三の階層【無意識】では「無我」、

第四の階層【超個的無意識】では「超我」、

第五の階層【超時空的無意識】では「真我」…

と移行していくのですが、こうなるともはや悟りを得た徳の高い高僧のレベルに至りますので…私たち凡人は「第二階層の賢我(キャラ3、4)」に入ることが楽にできること…を目指すと良いのかもしれませんね。


いわゆる「引き寄せの法則」というものと絡めますと、何かを想うということは、その想念に関連した情報を探すことや集めることに他ならないため、

無意識の世界ではゼロ・ポイント・フィールドと繋がることで、ゼロ・ポイント・フィールドを通じて、類似の情報が集まってくるものと考えられます。

この意識の働きは「表面意識」の世界よりも「無意識」の世界での方が圧倒的に強くなっているようです。

そして無意識の世界では、表面意識の世界のように価値判断が入りません。そのため情報の引き寄せが圧倒的な速さで起こります。


【結語】

天才とは、

無意識がゼロ・ポイント・フィールドに繋がったときに、

フィールド内に存在する膨大な情報を、

瞬時に探索して「降臨」させることのできる存在である…

かもしれない。


【参考文献】

WHOLE BRAIN(ホール・ブレイン) 心が軽くなる「脳」の動かし方

死は存在しない ― 最先端量子科学が示す新たな仮説 (光文社新書)

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