第6回 比較心理学

心理学概論

第6回 比較心理学

人間は、どのようにして現在のような心の働きを持ちえたのだろうか。進化論を背景に、他の動物との比較を通じて、人間の心の働きを明らかにしようとするのが比較心理学である。比較心理学の基本的な考え方と具体的な研究をもとに、ヒトという動物の心を探求していく。

【キーワード】
進化論、弁別学習、期待違反法、マークテスト(ルージュテスト)、アイ・プロジェクト、マキャベリ的知性

森 津太子(放送大学教授)


1.比較心理学とは何か
2.動物を対象とした実験研究
3.霊長類の研究


1.比較心理学とは何か
(1)比較心理学研究の目的
広義には、文化心理学(第13回)又は、動物心理学
比較認知心理学と言われることもある。

(2)心の働きと環境への適用
人間にせよ、他の動物にせよ、それぞれが持つ心的能力は、それらの動物が暮らした外界の環境に適応するかたちで変化してきたものと考えられ、その意味で、心の働きに優劣はない。
色の知覚:視細胞には桿体(かんたい)、錐体(すいたい)の2種類がある。
ヒトの色受容細胞スペクトル感度曲線
色覚のしくみ
色覚が変化すると、どのように色が見えるのか?

(3)進化論と比較心理学
比較心理学を支えているのは、ダーウィンの「進化論」である。
自然選択(淘汰)、「種の起源」、「人間の由来」、「人及び動物の表情について」
ロマーニズ、「動物の知能」、逸話法
モーガン、節約の法則:「低次のの心的能力で説明できることを、高次の心的能力で解釈すべきではない」
モーガンの公準 モーガンの公準 – Wikipedia
動物に知能はあるか?比較心理学の大原則「モーガンの公準」

2.動物を対象とした実験研究
ソーンダイク、問題箱

(1)弁別学習を用いた実験
道具的条件づけを利用したハトを対象とした実験(第4回学習心理学)
ミューラー・リヤー錯視 ハトは人間と同じような錯視が生じていた。
エビングハウス錯視 ハトは人間と反対の錯視が生じていた。

(2)期待違反法を用いた実験
期待違反法:イヌは声を聞いた時点で、飼い主の顔を思い浮かべていたことが示唆されたのである。

(3)マークテスト(ルージュテスト)
鏡映像を認識できるかのテスト

3.霊長類の研究
(1)言語獲得の研究
音声に頼らなければ、チンパンジーにもある程度の言語が獲得できることが明らかにされた。
ガートナー夫婦:手話
プレマック:色を付けたプラスチック片を使った人工言語

(2)アイ・プロジェクト
人間よりはるかに優れた能力を示す物がある。
視覚的な記憶:一時的な記憶(作業記憶)の記憶容量は、人間をはるかに凌いでいる。
人間にとっては言語が、チンパンジーにとっては視覚的な記憶能力が生存のためにより重要な機能だったと考えられる。

(3)社会的知性への関心
社会脳仮説(マキャベリ的知性仮説)
マキャベリ的知性仮説 – Wikipedia
社会脳 – 脳科学辞典
Nature ハイライト:社会脳 – natureasia.com
脳の進化 | 認知心理学 – 科学事典
ヒトの友人は最大150人!?:人類の成功の秘密は、社会脳にあり


比較認知科学 (放送大学教材)
想像するちから――チンパンジーが教えてくれた人間の心
ピカソを見わけるハト―ヒトの認知、動物の認知 (NHKブックス)
心の発生と進化―チンパンジー、赤ちゃん、ヒト


 

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