
スティグマ
社会的に作られた否定的な意味を他者から付与されること
スティグマとは、社会的に作られた否定的な意味を他者から付与されることを指すもので、客観的属性がスティグマの対象となります。例えば、人種、社会的階層、職業、性嗜好、また病気や障害などを持っていることです。スティグマの対象となると、周囲よりも低く位置づけて見られ、偏見や差別によって不当な扱いを受ける可能性があります。スティグマは、ある社会内で多くの人が納得し、一致した見解として認識されます。そのため、そうした情報は人々の知識として定着し、その集団内で一般的に共有されている内容として取り扱われます。
古代ギリシャでは、奴隷や犯罪者などの皮膚に焼印を押して、他の人たちと区別できるようにしていて、この焼印のことを、スティグマ(烙印)と呼びました。
生まれつき奴隷や犯罪者という者は誰もおらず、これらは社会的に意味づけられた属性であると言えます。
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(3) スティグマ克服〜未来への課題
stigma 「烙印」 スティグマ スティグマとは? スティグマは、日本語の「差別」や「偏見」などに対応しています。 具体的には、「精神疾患など個人の持つ特徴に対して、周囲から否定的な意味づけをされ、不当な扱いことをうけること」です。
第15回 精神医学の過去・現在・未来 – LIFE-SHIFT
精神疾患の診断はスティグマ付与につながる危険を常にはらんでいる。
恥の意識(スティグマ)や家族に迷惑をかけたくないという気持ちから生活保護を受給していない人も多数いる。深刻なのは、後者の原告の陳述にあるように、支援が必要な人ほど、国に助けを求めず、自己責任論の呪縛にとらわれていることだ。なぜ、こうした事態になったのか。消費税の導入から、その経緯をたどってみよう。
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偏見
スケープゴート
コロナウイルス感染症の影響で世界中が大きな影響を受けていました。こうした大規模な感染症の流行や災害などが起きたとき、人は辛い気持ちのはけ口として誰かや何かを非難の対象にしたりすることがあります。こうした攻撃にさらされる対象をスケープゴートと呼びます。コロナウイルスは当初中国の武漢で確認されたため、武漢ウイルスと呼ばれることがあり、それにより中国人やアジア人が偏見によるスティグマを付けられ、スケープゴートにされる風潮も見られました。
ステレオタイプ
スティグマの対象とされた人たちは、周囲からステレオタイプ的な見られ方をし、社会的アイデンティティの価値が低下したように感じさせられたり、自分が汚れているかのように感じたりすることさえあります。
接触仮説
スティグマやステレオタイプを抑制する1つの方法として、その対象との接触機会を増やし、よく知ることが挙げられ、これは接触仮説と言われます。しかし闇雲に接するだけではかえって偏見を助長する場合もあります。時間をかけて接触機会を持ち、肯定的な関係構築を支持する背景があり、接触によって何かプラスになることが起きたりすると、否定的なスティグマが抑制される可能性があります。また、「若者」といった一括りの集団としてではなく、個々の人間として捉えることや、自分たちとスティグマの対象となる人たちとの間に共通点を見出すことなども有益だと言われています。
スティグマは、ステレオタイプ的な見方をする側が作り出しているかというと、必ずしもそれだけではなく、受け手側がスティグマを受容することで助長してしまう場合があります。
例えば「高齢者はパソコンが苦手」というスティグマ的な見方を、ある会社の若手社員たちが持っていたとします。
すると若手社員は、シニア社員はパソコンが苦手であろうという前提で普段から接するようになり、シニア社員の方はパソコンを使う業務に自信を無くし、わからないことがあったときに自分で調べることを諦めて、最初から若手に任せるようになっていきます。
その結果、若手社員は「やはり高齢者にパソコン操作は難しい」という思いを募らせ、シニア社員のパソコンスキルも伸びずに操作を忘れてしまい、「高齢者はパソコンが苦手」という仮定が現実になるという予言の自己実現が生じることがあります。