日本の低賃金のままの「労働力不足」が招く、低消費国家。

日本の「労働力不足」を嘆く必要はまったくない理由

ダイヤモンド・オンライン

写真はイメージです Photo:PIXTA

塚崎公義


労働力不足となっている現在、確かに企業は低賃金のまま雇用を維持したいがために、安い賃金の求人をしているため人が集まらないと嘆いている。

そんな企業、労働力が不足している職場で、安い賃金のまま雇用され労働している者は、人が集まらないと嘆いている雇用者より、非常に深刻な状況である。体は疲弊し、日々のムリが蓄積し、そのうち日本全体が精神病になってしまう、もう半分なっている状態である。

確かに、「安い賃金の求人をしているため人が集まらないと嘆いている。」なら賃金を上げて求人すれば話ではあるが、労働力不足のまま、我慢して働いている労働者の賃金は上げられるのだろうか、いや、その求人で増加する賃金よりもっと上げなければ、なにも知らない新人より賃金が下がってしまう。そんな状態で、新人が入社してきても、以前の労働力不足なうえに教育もしなくてはならないため、人が増えたことによるムリが増加するだろう。

求人を高賃金にして人を募集するなら、今残っている労働者の賃金を上げなければその労働者自体も退職してしまいその企業は生き残れなくなってしまうだろう。

早めに現労働者の賃金をアップし、そのアップ率より低い賃金で求人しなければならい。そのため現労働者の賃金を新しく入ってくる労働者より、高いものにしなければ、ワークモチベーションが無くなってしまい退職するのは目に見えている。そのため雇用者は、賃金アップに躊躇してはいけない。と思うのは間違ってはいないはずである。そこを、今の日本は、低賃金のまま、労働者をなだめすかしながら、また、「賃金を上げたいが、上げたら会社は潰れてしまう。」などと、脅しながら働かせているのが現状だろう。

このような状態で、日銀の黒川総裁がいう賃上げなんてムリな話である急激なインフレ、円安により日本が、労働者が潰れてしまうのが、先か、賃上げが先かを考えると圧倒的に前者が先であるように思える。


最近の若者は車を買わずギャンブルもしない!?損をしたくない気持ちが強くなっているのはなぜ?【ゼロからわかる知らないと損する行動経済学】

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近年広がる若者の損失回避傾向とは

損失回避傾向はシニア層と女性が強くもつ心理ですが、最近は10代、20代の若者の間にも広まっています。損失回避性が強い層を見ると、10代、20代と60代、70代が高い傾向にあります。人の損失回避性は幅広く広がっています。

最近の若者は車をもたない海外旅行に行かない高級ブランド品を買わない、またギャンブルをやらない傾向が顕著です。博報堂生活総研「生活定点1992-2020」によると、ギャンブルが好きなほうだと回答した20代は1996年では23.1%、2000年には19.0%、2010年には16.0%、2020年には8.0%と近年は低い水準で推移しています。

若者(特に男性)は以前に比べ「損をしたくない」という気持ちが強く育っており、ギャンブルのような構造はマッチしないのです。

金銭面・文化面での変化が影響!好景気の時代バブル景気とは?

こうした背景は不景気による雇用の悪化所得の低下があるでしょう。リスクが伴う娯楽よりもお金がかからない娯楽に気持ちが向くのは当然です。文化の変化もあります。昭和から平成にかけてのバブル景気では「ムダがカッコイイ」という風潮がありました。見栄で車を買って、博打をする。そうしたスタイルが景気の衰退とともに輝きを失ったのです。

日本におけるバブル景気とは1986年~1991年に起こった好景気と社会現象のことをいいます。株や不動産を中心とした資産の過度な高騰が起こりました。都心には「億ション」が並び、企業でも大量の雇用を生みました。実態と価値がかけ離れていることで泡(バブル)と称されました。

バブル経済期とは大きく異なる今、20代の男女は、損するものに対して興味がなくなり、ギャンブルなどリスクを伴うものを避ける傾向にあります。


最近の若者は車をもたない海外旅行に行かない高級ブランド品を買わない、またギャンブルをやらない!?損をしたくない気持ちが強くなっている、というか不景気による雇用の悪化所得の低下により損なんて出来る経済状態ではない、ましてや貯蓄なんてムリ、ムリ、ムリ、な生活をしている。

バブル期からの長期的な動きを振り返ってみましょう。終値ベースでみた日経平均株価の史上最高値は、バブル景気でつけた3万8,915.87円。1989年12月29日のことでした。バブル経済崩壊後、終値での最安値をつけたのは2009年3月10日。7,054.98円まで下げています。リーマンショックと呼ばれる、世界的な金融危機が発生した時期の出来事です。それらを理由に日本経済は、低成長というか、成長なんてしていない退化経済をしつづけている。その最たる理由が、雇用者による低賃金労働である。

そんなことを続けてきたツケが、最近の若者に消費しない行動として現れてきている。この低消費国家日本では、世界GDPランキングは、2位まで上げたがその後は中国に抜かれ、また、現在はドイツに向かれ、4位に転落、この先10位にすら入らなくなるだろう。

まっ世界の一人当たりの名目GDP(USドル)ランキングでは、もうTOP10なんて入っていないし(28位)、退化国家まっしぐらです。


Z世代の50%以上が「恋人がいたことがない」 結婚相手に求める条件は?

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BIGLOBEは、全国の18~25歳の男女に「Z世代の結婚に関する意識調査」を実施した

 結婚にあたり欲しいと思うもの、したいと思うことは

結婚観・結婚のかたちについて

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1990年代半ばまで、日本の賃金は世界トップクラスでした。ところが、その後今日に至るまで名目賃金はほとんど上昇せず、物価上昇分を差し引いた実質賃金は1997年を100として2016年には89.7に低下しています(OECD調査)。

また退職金も1997年の2871万円をピークに減少し続け、2018年は1788万円と、21年間で1000万円以上もダウン(厚生労働省「就労条件総合調査」)。

賃金上昇を阻む一つ目の構造問題は、中小企業です。中小企業では規模の経済(生産量が増えると単位当たりのコストが低下する効果)が働かないので生産性が低いからです。ただ日本で特徴的なのは、生産性の低い中小企業がなかなか淘汰されず、存続することです。
もう一つ大きな構造問題が、非正規労働者の増加です。厳しい経営環境の中で生き残るには「正社員をできるだけ雇用したくない」という事情があります。日本では、正社員の解雇が判例で厳しく制限されています。整理解雇の4条件を満たせば余剰人員を解雇できることになっているものの、適用条件が厳しく、労働者の働きが悪いという程度では解雇できません。企業からすると、いったん正社員として雇用したら解雇できないので、不透明な経営環境では解雇しやすい非正規労働者を増やそうとするのです。雇用形態別の賃金をみると、男女計では、正社員・正職員324.2千円(年齢42.2歳、勤続年数12.5年)に対し、非正規労働者214.8千円(年齢48.8歳、勤続年数8.7年)となっています(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2020年)。
国は、非正規労働者の待遇を改善するためにパートタイム・有期雇用労働法などを改正し、昨年4月から大企業に「同一労働同一賃金」を義務付けました(中小企業は今年4月から)。

これによって正社員と非正規労働者の非合理な待遇格差がなくなり、非正規労働者の賃金水準が上昇することが期待されています。

ただ、正社員の解雇規制がある限り、正社員の雇用をできるだけ抑制しようという企業の姿勢は変わらず、非正規労働者の正社員への転換が進むことはありません。もし非正規労働者の賃金が大きく上がったら、企業は非正規労働者の雇用を減らして外国人労働者などの雇用を増やすか、それも難しいなら事業所を海外移転させます。

したがって同一労働同一賃金で全従業の賃金水準が大きく改善することはないでしょう。経団連が過去3度にわたって政府に要望しているとおり、解雇規制を緩和することによって、初めて企業は安心して正社員を増やすことができ、平均賃金が上がります。

このように日本では、中小企業と正社員を守る法規制・政策支援が存在することで、なかなか賃金が上がらない構造になっているのです。
2020年における非正規労働者は2090万人で、雇用者全体5620万人に占める比率は37.2%に達しています(総務省「労働力調査」2020年)。1989年(平成元年)には約20%だったので、平成の期間に非正規労働者が激増しました。平成の時代に低賃金の非正規労働者が増えたことが、平均賃金を下押ししたのです。

このような低賃金が続いて、その間に成長した若者は、ますます、低所得、低消費国民となり、そのため車をもたない海外旅行に行かない高級ブランド品を買わない、またギャンブルをやらないだけではなく、恋人すらつくらなくなってきた。そのため結婚はしなくなり、婚姻率は低下し、それにより少子化がますます加速している状態である。その少子化にもとない高齢化が世界一の速度で進行している。

この低賃金による国民総奴隷労働をしている限り、日本は退化国家で一位になることは間違いないだろう。

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