第9回 ユング派心理療法の展開
心理カウンセリング序説(’21)
-心理学的支援法-
Introduction to Psychological Counseling (’21)
主任講師名:大山 泰宏(放送大学教授)
【講義概要】
この授業では、臨床心理学におけるカウンセリング、心理療法を中心とした、心理学的な相談・支援に関する基礎とその展開について講じる。対象者に対する心理学的な支援の中核にはカウンセリングがありつつも、それは、支援の形や対象となる領域によって、さまざまな展開をみせている。そこでは、どのような専門性が求められ、どのような学びをおこなっていけばいいのだろうか。こうしたテーマについて包括的に論じる。
なお本科目は,公認心理師学部カリキュラムのうち「心理学的支援法」に対応する。
【授業の目標】
・カウンセリングの基礎について学ぶ
・心理学的支援のさまざまな技法の基礎と特徴、その適用範囲について学ぶ
・心理学的支援をおこなううえでの心構えや責務について学ぶ
第9回 ユング派心理療法の展開
ユングの提唱した分析心理学に基づくユング派心理療法の展開について見ていく。個性化過程を理論的な中核とする分析心理学は、変容の段階を重視しつつ、古典派・発達派・元型派とわかれて発展してきた。わが国では、河合隼雄が箱庭療法を通して紹介し、彼によって、解釈を否定し、非個人的関係を重視する独自な立場が開かれたことを見ていく。
【キーワード】
分析心理学、個性化過程、変容の段階、古典派・発達派・元型派、河合隼雄、箱庭療法、非個人的関係
分析心理学
告解などの宗教儀礼から催眠に至るカタルシス法全般を告白の段階
精神分析を解明の段階
個人心理学を教育の段階
それらすべての段階を含みつつそれに変容の段階
「無意識の自己実現」
「自己実現」とはどういういうことか
ユングのいうコンプレックスとは、「感情に色付けされた心的複合体」
タビストクレチャー
ヨーガの究極の目的は、身体や心を健全にするだけでなく、人間の存在そのものを霊的に進化させ、宇宙の絶対者と一体にならしめるところにあるのです。この人間を霊的に進化させる方法は、古来から師子相伝の秘法といわれ、優れた弟子にだけ、師匠が直々に伝えたものです。本書は、この師子相伝の秘法の重要な部分を教えようという目的のものに記述したものです。
「一見、円の中に花のようなものが描かれているだけの絵が、ユングの手にかかると、深い意味が付与され、生き生きと立ち現われてくる。
「個性化とマンダラ」は、ユング心理学の中でも最高の秘儀とも言うべきものである。ここにわけても重要な5論文を収め、一書となす。
ユングのいう「個性化」とは、無意識を統合し、個性的で自立した個人をつくるということである。もともとサンスクリットで「円」という意味をもつマンダラこそ、この「個性化」のシンボルである。ユングは自分の分析を受けたX夫人や他の人々のマンダラの絵を数多く紹介し、卓抜な解釈を加えていく。マンダラに現われる元型の個性的な意味の解明は、人間の豊かな可能性をまざまざとわれわれに示している。心の核心に迫るユングの達人的なわざは、見事というほかない。」
哲学者の薔薇園 Rosarium Philosophorum,Frankfort,1550
心霊現象の心理と病理(C・G・ユング)
日本ユング派分析家協会 | AJAJ
認定心理療法士について
問題 3 ユング(Jung, C. G.)は,心理療法に四つの段階を考え,特にその中の一つを,自分の心理療法を特徴づけるものとして強調した。それはどの段階か。次の①~④のうちから,正しいものを一つ選びなさい。
① 解明の段階
② 教育の段階
③ 変容の段階 正解です。
④ 告白の段階
フィードバック 正解は③です。
【解説/コメント】
①自己の無意識的な欲望を理解する無意識への接近に取り組む段階で,精神分析による取り組みが該当します。
②アドラーの個人心理学など,社会的な現実へ向かうための教育に取り組む段階です。
③セラピストが,技法を自分自身に適用し,自己の変容を通して心理療法のプロセスに影響を与え,クライアントの変容を促す段階です。ここでは相互変容が重視されます。
④人には言えない欲望や衝動,罪の意識などを告白させ,抑圧された情動を解放させ,カタルシスを体験させる段階です。