第8回 統計的仮説検定②
統計的仮説検定の考え方を理解し、例として2つの母数の差についての検定について理解する。
【講師】秋光淳生(放送大学准教授)
【キーワード】帰無仮説、有意水準、2標本の母数の検定
1元配置分散分析について述べた次の4つの文の中に誤っているものが1つある。それはどれか。
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3標本以上の場合に、その中から2標本を取り出した組み合わせに対して比較を行うことを多重比較と言います。比較を繰り返すと、本当は差がないのに差があると判定される可能性が高くなります。そこで、分散分析を行います。
グループ間で平均に差がある場合には、群間での違いが大きくなるので、群内の平方和の割合が小さくなります。それをF値を元に検定します。F分布ではなく、指数分布としている点が誤りということになります。
正答: 自由度m1のカイ2乗分布に従う 確率変数 W1と自由度 m2 のカイ2乗分布に従う 確率変数 W2から計算される W1/m1W2/m2 は、指数分布に従うことが知られている
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次の文は適合度と独立性の検定について述べたものである。この中に誤ったものが1つある。それはどれか。
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観測度数が正規分布に従うとして、観測度数と期待度数の差を2乗したものを期待度数で割った値をすべて足したものが近似的にカイ2乗分布に従うことを利用して検定を行っています。
8-3
Rにおいて乱数を発生させ、その相関性の有無を検定した。
> x <- rnorm(10,0,1)
> y <- rnorm(10,0,1)
> x
[1] 0.79397566 0.12003014 -0.42167634 -0.08469753 1.85150380
[6] 1.80674504 -0.69158560 -0.85117806 -1.13299852 -1.08321274
> y
[1] -1.2663729 0.2970264 -0.7634148 -1.8710234 0.9401760 0.5051271
[7] 0.6495829 -0.5643450 0.3609686 -1.6630280
> cor.test(x,y)
data: x and y
t = 1.0912, df = 8, p-value = 0.3069
alternative hypothesis: true correlation is not equal to 0
95 percent confidence interval:
-0.3487034 0.8067418
sample estimates:
cor
0.3599512
これについて述べた次の文の中には誤っているものが1つある。それはどれか。
t=1.0912とあるが、自由度8のt分布で t< -1.0912 か t>1.0912 よりも大きくなる確率は Rでpt(-1.0912,8)+(1- pt(1.0912,8) ) で計算することができ、約 0.3069 となる。
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相関性の検定です。
信頼係数についての詳細は第6回で確認してください。相関係数とは、関係の強さを表したものです。-1や1に近いほど関係が強く、0に近いほど関係が弱いということになります。
cor.test は帰無仮説として相関係数が0 であるとして事象の確率を計算し、その確率が低いと対立仮説である相関があるということが採択されることになります。
また、XとYとの相関があるということは、XとYの関係が強いということを意味していますが、Xが原因でYが起こるという因果関係を意味しているとは限りません。