第7回 循環機能の障害
第7回 循環機能の障害
生命活動に不可欠な酸素や栄養を全身の組織に送るための仕組みである循環器系(心、血管)の主な疾患とそれによって生じる循環機能の障害について学ぶ。
【キーワード】
虚血性心疾患、弁膜症、不整脈、動脈硬化症、高血圧
1.循環器系の形態と機能
(1)心臓の構造
刺激伝導系
2.心臓の異常
(1)虚血性心疾患
a)狭心症
狭心症(angina pectoris:AP)
労作時狭心症:仕事をしたり、激しい運動をしたときに起こるものを労作性狭心症といいます。 冠動脈の動脈硬化によって血流が悪くなっているため、運動などで負荷がかかると十分な酸素を心臓に運ぶことができなくなり、胸痛が生じます。 痛みは多くの場合数分から数十分でおさまり、またニトログリセリンという薬を使うと痛みはすぐによくなります。
冠攣縮性狭心症(かんれんしゅくせいきょうしんしょう):冠動脈がけいれん性に収縮(攣縮)したために起こる狭心症。攣縮は運動とは無関係に起るために、安静時狭心症の大部分は冠攣縮性狭心症といわれている。動脈硬化による狭窄病変があってみられる狭心症は労作性狭心症とよばれる。。発作が起こっているときに検査しない限り異常が診断できないために、発作が起ったときの心電図や心エコー図をとるか、24時間ホルター心電図での監視、カテーテル検査でのアセチルコリン負荷試験などが必要となってくる。硝酸薬、カルシウム拮抗薬などの薬剤の内服が有効である。
b)心筋梗塞
心筋梗塞(myocardial infarction:MI):心筋梗塞とは心臓(心筋)が酸素不足になり壊死する病気です。 心筋を取り巻いている冠動脈は心臓に血液と酸素を送っています。 これが動脈硬化で硬くなりコレステロールなどが沈着すると血液の通り道が塞がれ、心筋に血液を送ることができません。 そのため心筋は酸素不足となり、心筋細胞が壊死を起こしてしまいます。
(2)弁膜症
僧帽弁、大動脈弁疾患
a)僧帽弁狭窄症
b)僧帽弁閉鎖不全症
c)大動脈弁狭窄症
d)大静脈弁閉鎖不全症
(3)不整脈
心室細動は全身に血液が拍出されておらず、非常に危険な状態でできるだけ早く電気的除細動が必要である。
(4)心不全
a)左心不全
b)右心不全
3.先天性心疾患
(1)胎児循環
卵円孔:(らんえんこう)卵円孔とは右心房と左心房の間の壁(心房中隔)の中央に組織が重なり合うようにできた穴のことで、母体から供給される酸素を多く含んだ血液を胎児の全身に循環させるためにあります。
動脈管:動脈管とは、胎児期の大動脈と肺動脈間の交通路です。胎児期は呼吸をしていないので肺動脈の血流は左右の肺に流れずに動脈管を介して大動脈へ流れています。出生後、呼吸を開始することで左右の肺動脈へ血流が流れるようになり、動脈管は自然閉鎖します。
(2)代表的な先天性心疾患
a)ファロー四微症 (ふぁろーしちょうしょう):四徴とは、①右心室から肺への血流が妨げられている(右室流出路狭窄)、②大動脈が左右の心室を隔てる壁に開いた穴の上に横たわっている(大動脈騎乗)、③右心室を作っている心筋の肥厚、④左右の心室を隔てる壁に穴が開いている(心室中隔欠損)、の4つの特徴をもった先天性心疾患のことです。