第6回 人生の途中で病・障害をかかえるということ
第6回 人生の途中で病・障害をかかえるということ
不測の事態により人生の半ばで自らが障害を負ったり、病に見舞われた人々、そしてそれを支える周囲の人々の心理と、その際の心理的な支援について論じる。
【キーワード】
中途障害、障害受容、脊髄損傷、高次脳機能障害、がん、心的外傷後成長
1.人生の途中で障害をかかえるということ
(1)中途障害による心理的影響
中途障害:事故や病気など不測の出来事により人生の半ばで障害を負うこと
障害需受容:障害を受け入れる心の作用Grayson(1951)
(2)障害受容の段階理論
Cohn(1960)の理論:障害受容のプロセスを段階として提唱したもの
有名な障害受容のプロセスの分類に「コーンの分類」というものがあります。
このプロセスは、突然の身体障害(後天性障害)を患った方の障害受容の過程を示しています。
【コーンの分類】
1.ショック 大きな混乱により、事態を理解できていない
2.回復への期待 障害がなくなり、すぐに治ると思っている
3.非嘆 希望を失い、無気力で回復意欲を失っている
4.防衛 「これまでと何も変わらない」と思いながら、それまでに行っていたことに執着する
5.適応 障害は「人と違う部分」であるだけで、悪いものではないと受容する
このように、障害を受容するためには、5つのプロセスを踏むと言われています。
ご家族からすれば、リハビリをして、どんどん回復して欲しいという気持ちがあるかと思いますが、「今は5つのプロセスのこの時期だから、あんまり無理はさせちゃダメかな?」と、考えることも大切なのかもしれません。
ご本人の1番近くにいるご家族だからこそ、障害を患ったご本人の理解者になってあげられるかが大切です。
(3)脊髄損傷の障害受容過程
「ショック」
「完治への期待」
「不治の否認」
「不治の確信」
「絶望」
「努力」
「あきらめ」
「解放」
「模索」
「受容」
2.高次脳機能障害の心理的反応と支援
高次脳機能障害:脳梗塞などの脳血管障害や、外傷性の脳損傷、脳炎などによる脳損傷に起因する認知機能全般の障害である。
3.がん患者の心理的反応と支援
4.逆境からの肯定的な心理的変化
ベネフィット・ファインディング(benefit finding)
本田圭佑さんの言葉ですが…
「きつい」というのを、「きついけど、それが報われたら楽しいよね」と文をつなげればポジティブになりますよね
本田圭佑
このように、ストレスの中にプラス面を見つける。それが、ベネフィット・ファインディング。簡単ですよね。
イチローの場合は、こうです↓
自信満々より、不安のほうがずっといいんです
イチロー
不安があるから、がんばれる。不安があるから、今の自分があるということでしょうね。
このように、ストレスの中にプラス面を見つけることが、ベネフィット・ファインディング。
心的外傷後成長(posttraumatic growth:PTG)
「人間としての強さ」は、他人からの評価を気にしなくなった。自分の気持に素直になれたなど。
他者の意向を意識した過度の抑圧からの解放という側面があるとされる。
「精神的受容」とは、超越的な力を感じるようになる、自然に対する感性が鋭敏になるなどの内的な変化が含まれる。
学習課題 これまでの自分自身の人生において、身体の不調や病の体験が、自分自身や周囲の人に対し、どのような影響を与えたかについて、心理的な側面や社会的な側面から考えてみよう。
人口動態統計月報年計 令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況
メランコリーは、哲学用語として、憂鬱な精神状態と、それを引き起こす性格ないし身体的規定や存在論的規定を指す英語の「メランコリー」はギリシア語の「μελαγχολία」(melagcholia) に由来する。七つの大罪の前身となった八つの枢要罪の一つ。
サイコオンコロジーサイコオンコロジー(Psycho-Oncology)は、
「心」の研究をおこなう精神医学・心理学(サイコロジー=Psychology)
「がん」の研究をする腫瘍学(オンコロジー=Oncology)を組み合わせた造語で、
「精神腫瘍学」と訳され、1980年代に確立した新しい学問です。サイコオンコロジーの臨床・実践活動に取り組む専門家をサイコオンコロジストといいます。
「動作法」って何ですか? 動作法は、脳性まひの子どもの動作不自由を改善するために開発された訓練技法です。 体の緊張を緩めることにより、自分の体の動きに気づいたり、動作をコントロールする力を育てることが目標とされてきました。服巻 豊(はらまき ゆたか)