第4回 心の構造をとらえる

フロイトは、心のはたらき方や構造をどのようにとらえたのだろうか。心のモデルである局所論と構造論を紹介し、快原理・現実原理を説明する。そして、不安から心をまもる自我のはたらきである防衛機制、心の組織化の問題を論じる。

【キーワード】
自我、エス、超自我、快原理と現実原理、自我の防衛機制


1.意識、無意識、前意識、:局所論モデル (フロイト)

自分の心といえどもそのすべてを知っているわけではない。

「トラウマを理解する」デェービット・ベル

ニューロ・サイコアナリスト 2000年に国際学会が設立されたニューロサイコアナリシス(神経精神分析)は、精神分析とニューロサイエンス(神経科学)を統合しようとする新たなムーブメントである。一方は心理学的視点から、他方は医学・生物学的視点から、夢や感情、意識といったこころの諸現象に、両者を照応しながらアプローチすることにより、新たな知見をもたらしつつある。

2.自我、エス、超自我:構造論モデル (フロイト)

エスは、欲動(リビドー)の貯蔵庫であり、完全に無意識の中にある。

「なんであるかしかと分かっていない無意識的な存在」

エスの発散を自我が阻止した不快によりそれは認識される「生の欲動」と「死の欲動」は融合したまま貯蔵庫にエネルギーを貯め込み愛は憎しみに変わる(あるいは混ざる)こともある。

・遺伝的な生まれながらもっているもの

・後天的に抑圧によるもの

3.心のはたらき方の二原理、事後性

心の機能には「一次過程」と「二次過程」がある。一次過程は、快-不快(苦痛)原理に沿った欲求-満足のシステムである。二次過程は、意識的な心のはたらきで外的現実と関わり、分別のある行動を維持しようとするシステムである。

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事後性(遡及作用)は、無意識的な意味を認識する時間差について、ある時点で知覚された印象が時間んを経て、それを理解させるような新たな経験によって意味合いが組みなおされることである。性的な事柄に限らず、認識の枠組みが獲得されていって、後に「ああ、そういうことだったのか」と驚き(おののき)とともにわかるという経験に思い当たる人はたくさんいるのではないだろうか。

4.自我の防御機制

不安に対する信号をもとに自我によって発動される、心を守る無意識的なメカニズムを防衛機制という。防衛機制は、自我が、自分の内側に向かってはたらいて適用を助けるメカニズムである。

原始的防衛機制は、発達的に早期にみられるものであり、安全感はもたらされにくく、過度に使用されることになる。高次レベルの防衛、神経症的防衛は、成熟したものであり、A.フロイトが「自我の防衛機制」で示した10種類を中心とする。

防衛機制は、意識的に対応する「対処(coping)」とは違い無意識的なところで自動的に作動する。

抑圧・・・基本的な防衛機制であり、受け入れがたい衝動や観念を無意識の中に抑え込むことである。

否認・・・不快で危険な外的現実に気づくのを避けることである。

置き換え・・・焦点や強調点を移動することであり、抑圧とともに基本的防衛機制である。

隔離(分離)・・・感情を考えから切り離すこと。

知性化・・・やかっいな気持ちを避けて過剰に抽象的な観念を用いること。

合理化・・・自分の行動や態度に対しても「もっともらしい」説明を加えて正当化すること。

反動形成・・・受け入れがたい願望や衝動をその反対のものへと変形すること。

やり直し(打消し)・・・出してしまった後にあらためてその逆の行為をして元々の欲動を否定すること。

同一化・・・他者の属性や性質を自分のものにすることである。「攻撃者への同一化」

取り入れ(摂取)・投影・・・防衛であるとともに、心を構築していく基本的な作用として発達の最初期からみられる。

退行・・・よりそう

 

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