第13回 福祉場面その他のアセスメント(1)

心理的アセスメント(’20)
Psychological Assessment (’20)

主任講師名:森田 美弥子(中部大学教授)、永田 雅子(名古屋大学教授)

【講義概要】
心理的アセスメントとは何をすることなのか? 心理的支援実践においてアセスメントは必須の行為である。クライエントがどういう人であるのか、どのような問題を抱えているのか、といったことを把握しないことには支援の方針計画をたてようがない。では、具体的にどのような方法があるのか、そこで何に留意するとよいのか概説する。

【授業の目標】
本講義を通じて、心理支援における心理的アセスメントの基礎知識を得ることを目標とする。

第13回 福祉場面その他のアセスメント(1)

子育て支援の領域におけるアセスメントの内容、対象、留意点などについて紹介する。特に発達や親子関係といった視点から解説を加える。

【キーワード】
子育て支援、障害児者支援、発達障害、親子関係のアセスメント

執筆担当講師名:永田 雅子(名古屋大学教授)
放送担当講師名:永田 雅子(名古屋大学教授)


福祉場面における現代的課題
子育て支援の領域におけるアセスメント
(1) 子育てを巡る社会状況
(2) 親のメンタルヘルスのアセスメント
(3) 子どもの行動や状態像のアセスメント
(4) 親子関係のアセスメント
(5) 乳幼児健診の場におけるアセスメント
障害児者支援
(1) 障害児者を巡る社会状況
(2) 発達障害のアセスメント
(3) ASDのスクリーニングツール
(4) 確定診断の補助的ツール
(5) 適応状況のアセスメント
多職種・多機関の連携とアセスメント


次の①~④の文章のうちから,最も適切なものを一つ選べ。

① どの年齢の子どもであっても,親の影響を排除して,正確にアセスメントをするため,検査を実施する場合は,母子分離で行う。

② 乳幼児健康診査では,多職種でカンファレンスが行われているが,守秘義務があるため心理の立場からアセスメントの結果を伝えることはしない。

③ 障害児者のアセスメントを行う際には,生育歴,障害特性,適応状況の 3 つの次元を把握することが必要である。

④ 障害児者の支援の必要性を検討するうえで,IQ 値だけではなく,社会適応の側面から検討を行うことが必要である。

フィードバック
正解は④です。

【解説/コメント】

3 歳までは親,子それぞれのみをアセスメントするのではなく,親と子のかかわりも含めてアセスメントをしていきます。検査を実施するときも,母子分離が難しいなど場合によっては,同席で実施し,親と子どもの発達の状況を確認することも有用です。印刷教材の第 6 章も参照してみてください。

②心理職はクライエントとの間で守秘義務を要していますが,個別で契約して心理面接を行う場合以外は,機関としての情報共有による集団守秘義務の対象となることがあります。乳幼児健康診査の中での面接は,健診の一環としてのものであり,多職種で方針を決定していくためのアセスメントとなるため,方針の決定に必要なアセスメントの結果を共有することは必要です。

③生育歴,障害特性,適応状況の 3 つの他,身体や精神の疾患がないか合併症についても把握しておくことが必要です。その人が呈している症状が,障害の特性からくるものなのか,二次的に生じているものなのか,また他の疾患が影響しているものなのか鑑別をすることが必要となってきます。

④これが「最も適切なもの」です。以前は IQ のみで障害の程度を判断し,福祉の場での支援が行われていましたが,現在は社会適応の側面から判断していくことが重視されるようになってきています。
印刷教材第 13 章を参照して,理解を深めてください。

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