第12回 訪問と地域支援
心理カウンセリング序説(’21)
-心理学的支援法-
Introduction to Psychological Counseling (’21)
主任講師名:大山 泰宏(放送大学教授)
【講義概要】
この授業では、臨床心理学におけるカウンセリング、心理療法を中心とした、心理学的な相談・支援に関する基礎とその展開について講じる。対象者に対する心理学的な支援の中核にはカウンセリングがありつつも、それは、支援の形や対象となる領域によって、さまざまな展開をみせている。そこでは、どのような専門性が求められ、どのような学びをおこなっていけばいいのだろうか。こうしたテーマについて包括的に論じる。
なお本科目は,公認心理師学部カリキュラムのうち「心理学的支援法」に対応する。
【授業の目標】
・カウンセリングの基礎について学ぶ
・心理学的支援のさまざまな技法の基礎と特徴、その適用範囲について学ぶ
・心理学的支援をおこなううえでの心構えや責務について学ぶ
【履修上の留意点】
この科目は、公認心理師の学部カリキュラム「心理学的支援法」に対応しています。他の関連科目も積極的に履修してください。
第12回 訪問と地域支援
心理学的支援は、面接室に対象者を迎え入れることだけでおこなわれるのではなく、支援者が対象者のもとを訪問したり、「現場」に入っていっておこなわれることもある。こうした支援において、支援者はどのようなことに留意すべきなのか、どのような意義があるのか、ということについて講じる。
【キーワード】
訪問支援、アウトリーチ、地域(コミュニティ)への支援、関係者への支援
執筆担当講師名:波田野 茂幸
(放送大学准教授)
放送担当講師名:波田野 茂幸
(放送大学准教授)
ゲスト:伊藤 匠
(放送大学准教授)
問題 7 地域支援の原理と実践に関して述べた,次の①~④の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
① 心理職が地域に出向いて支援を行っていく場合,伝統的心理療法と同様に,個人の内面に働きかけていく意識でアプローチをしていかなくてはならない。
② ユーリー・ブロンフェンブレンナー(Bronfenbrenner, U.)は,生態学的心理学という領域を確立した。
③ コンサルテーションでは,コンサルタントとコンサルティが課題解決に向けてどのように取り組むかについて焦点をあてていく。 正解です。
④ 職場におけるうつ病対策は地域支援での効果は低いと考えられる。
フィードバック 正解は③です。
【解説/コメント】
①心理職が地域に出向いて地域支援を行う場合,コミュニティ全体に関わっていく意識をもち,予防的な取り組みを重視する必要があります。
②生態学的心理学という領域を確立したのは,ロジャー・バーカー(Barker, R.)です。
③正しい記述です。
④地域支援は個別対応よりも地域や集団に働きかけていくことが効果的と考えられる活動であり,学校でのいじめや職場のうつ病対策などの集団の危機には有効な心理学的支援といえます。