第06回 パンデミックとレジリエンス
多様なステークホルダーが関わる危機としてパンデミックを扱う。パンデミックが災害としてとらえられることを示したうえで、主にCOVID-19パンデミックをとりあげながら、その災害特性ならびに緊急社会システムがあらたな平衡に至る様相と過程上の諸課題を検討する。さらに、時間的・空間的に大きな視点からも感染症およびその流行をとらえ、感染症に対するレジリエンスを考える。
1.災害としてのCODID-19パンデミック
(1)災害とは
(2)立ち上がる緊急社会システム
2.新たな平衡に至る様相
(1)COVID-19パンデミックの災害特性と平衡の得がたさ
(2)危機からの多様な乗り越え方
3.新たな平衡への移行と諸課題
(1)COVID-19パンデミックがあらためて浮かび上がらせた課題
①知識の不定性の高いリスクの対応
②リスク・トレードオフへの対応
③偏見・差別の問題への対応
④広報・広聴・対話としてのリスクコミュニケーション
(2)次なる危機に備えるー平常時の重要性
4.パンデミックからのBuild Back Better
(1)感染症と人間社会との相互作用
(2)感染症を乗り越えながら、新たなレジリエンスを獲得する
(3)ワンヘルス(One Health)という考え方 ー 人間、動物、環境の健全性はひとつ ー
1.災害としてのCODID-19パンデミック
(1)災害とは
国際防災機関・・・国連防災機関(United Nations Office for Disaster Risk Reduction (UNDRR))は、1999年に設立された国際連合事務局の組織[1]。本部はジュネーヴ。2019年5月1日から機関の名称が「国連国際防災戦略事務局」(United Nations International Strategy for Disaster Reduction (UNISDR))から「国連防災機関」(United Nations Office for Disaster Risk Reduction (UNDRR))へ変更された
UNDRR – ホームページ |国連人権侵害対策(UNDRR)
(2)立ち上がる緊急社会システム
2.新たな平衡に至る様相
(1)COVID-19パンデミックの災害特性と平衡の得がたさ
COVID-19は、新興感染症である。 (Emerging Infectious Disease)とは、その発症がにわかに注目されるようになった感染症に対する総称である。通常は新興感染症例は局地的あるいは、人物の移動による国際的な感染拡大が公衆衛生上の問題となるような感染症について取り上げられる。
病原体としてはウイルス、細菌、スピロヘータ、寄生虫など様々で、ウイルスによるものとしてはエイズ、エボラ出血熱、ラッサ熱などがある。
世界保健機関(WHO)の定義によると、新興感染症は「かつては知られていなかった、この20年間に新しく認識された感染症で、局地的に、あるいは国際的に公衆衛生上の問題となる感染症」とされている。この定義は1990年に初めて発表されたものであり、1970年以降に発生したものが新興感染症として扱われている。
自然災害は線形、感染症災害はらせん形である。
(2)危機からの多様な乗り越え方
パンデミック対策の戦略
A:封じ込め(Containment)中国
社会経済活動の抑制:大 医療負荷の増加:小
B:感染抑制(Suppression)欧米や日本など多くの国が該当
社会経済活動の抑制:中 医療負荷の増加:中
C:被害抑制(Mitigation)代表例はスウェーデン
社会経済活動の抑制:小 医療負荷の増加:大
社会経済活動の抑制と医療負荷の増大とのトレードオフに悩まされることになる。
3.新たな平衡への移行と諸課題
(1)COVID-19パンデミックがあらためて浮かび上がらせた課題
①知識の不定性の高いリスクの対応
「作動中の科学」・・・「確立された知識」から演繹できることは、非常に少なく、実際にはさまざまな仮定、仮説、観測などを組み合わ派生的な知識が生産され、また利用されている。 これらを「作動中の科学」と呼ぼう。 作動中の科学にもほとんど確かなものから、まだ論争中のものまで、さまざまなレベルがあるが、いずれ決着がつくと期待できる。 科学的な問いではあっても、科学だけでは回答することいはできない問い(トランスサイエンス)も存在する。
②リスク・トレードオフへの対応
二次リスク・・・二次リスクとは、リスク対応を行ったことで直接生ずる別のリスクのこと。火事のリスクを転嫁するため、火災保険に入ったまではいいが、保険費はキャッシュフローを圧迫するリスクとなる。
③偏見・差別の問題への対応
ハンセン病患者への偏見が長く続いていた。アリストテレスが「サテュリア」と呼んだものは、ハンセン病であったかもしれない。また、エフェソスのルフスによれば、ギリシアの医者エラシストラトスの弟子ストラトンが「カコキミア」と呼んだものは「象皮病」(後述)であったというが、いずれの場合もはっきりしない。アリストテレス
MRSA・・・メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 – Wikipedia
④広報・広聴・対話としてのリスクコミュニケーション
リスクコミュニケーション・・・社会を取り巻くリスクに関する正確な情報を、行政、専門家、企業、市民などのステークホルダーである関係主体間で共有し、相互に意思疎通を図ることをいう。合意形成のひとつ。
(2)次なる危機に備えるー平常時の重要性
新型インフルエンザ(A/H1N1)対策総括会議報告書・・・新型インフルエンザ(A/H1N1)対策総括会議 提言(案) (mhlw.go.jp)⇒「国民への広報やリスクコミュニケーションを専門に取り扱う組織を設け、人員体制を充実させるべきである。」→実際、対応はされていなかろった。
東京感染症対策センター・・・東京都感染症情報センター (tokyo.lg.jp)
「東京 i CDC」とは|iCDC(東京都公式) (note.com)
4.パンデミックからのBuild Back Better
「より良い復興」(ビルド・バック・ベター、Build Back Better[1])とは災害の復旧・再建・復興について発災前より準備をし、災害リスク削減を開発施策に取り込むことなどを指す言葉である
(1)感染症と人間社会との相互作用
(2)感染症を乗り越えながら、新たなレジリエンスを獲得する
(3)ワンヘルス(One Health)という考え方 ー 人間、動物、環境の健全性はひとつ ー
「ワンヘルス(One Health)」~次のパンデミックを防ぐカギ |WWFジャパン
ワンヘルス・アプローチに基づく人獣共通感染症対策|厚生労働省 (mhlw.go.jp)