発掘したら「なにこれ?」奈良の遺跡で見つかった“用途不明品”の特別展が興味深い!使い方を推理するのも楽しそう

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出土したのに、形や材質を見ただけでは使い方が分からない…。そんな用途不用品を集めた奈良市埋蔵文化財調査センターの特別展が注目されている。

Twitterでも、石武丈嗣さん(@_596_)が「今、奈良の奈良市埋蔵文化財調査センターで開かれている『使いみちや目的が分からない出土品展』ちょっと見に行ってみたい」などと、展示の様子を紹介したニュースの画像とともに紹介すると、約1万2000いいねがつくほどの話題となっているのだ(10月26日時点)。

特別展は「また!ナニこれ?-奈良市出土の用途不明品-」というタイトルで、たしかに出土品の画像を見ても「?」と思う展示品が並んでいる。

【画像】これは何?奈良で出土した用途不明品をもっと見る

最多来館者を記録した人気展の第二弾

紹介されている出土品の数々は、奈良の遺跡から発掘されたもの。実はこのような展示会は2回目となる。

初回は2020年度に開催した特別展「ナニこれ!?-平城京出土の用途不明品-」で、平城京跡から出土した用途不明品を展示したところ、SNSなどで大きな話題となり、なんと同センターの特別展では過去最多の来館者数を記録したという。

一方で奈良市には、平城京の他にも様々な時代の遺跡があり、そこからは研究者が首をひねる謎を秘めた品々が見つかっていた。そこで今回は「また!ナニこれ?-奈良市出土の用途不明品-」と題して取り上げる時代を広げ、奈良市内にある縄文時代から江戸時代までの遺跡から出土した用途不明品等を、次の4つのテーマに分けて展示している。

1.ナニこれ!コレなに?

似たような出土品も少なく、形や素材からでは使い方がよくわからない、ある意味「謎」を秘めた興味深い遺物を紹介。柱状突起がある土製品や杓子形木製品、刺突紋がある土器などが主な展示品となる。

2.ナニこれ!何を表現?どんな意味が?

何を表現したものかわからない造形、線刻画、墨書や、何を表現しているかはわかるものの、どんな意図が込められているものかわからない出土品を紹介。展示品は絵画土器、石見型埴輪などとなる。

3.ナニこれ!どのように使ったの?

通常とサイズが違うもの、必要な部分が無いもの、何かが付属しているものなど、何であるかは分かるがどう使われたか、よくわからないものを紹介。半分となった蛭藻金などが該当する。

4.ナニこれ!どんな願いが?

考古学があまり研究対象とはしない、様々な祭祀や宗教関係遺物などを紹介。密封した土器を重ねた埋納遺構や焦がして描かれた人形(ひとがた)、犬形土製品などだ。

用途不明品が大好きな担当者が発案

特別展は11月30日までの開催(10月全日開館、11月土日祝休)で、入館は無料。また館内には、使い道などのアイデアを共有できる「ご意見板」が設置してあり、展示物を見てひらめいた場合はコメントを残せるようになっている。

研究者も分からない出土品の展示ということだが、そもそもどのようにして用途を推測するのだろうか? また、これまでに実際に研究者も驚くような「ご意見」が寄せられたのだろうか?

特別展の担当者に聞いた。

――なぜ「用途不明品」を展示しようと考えた?

展示担当が、用途不明品が好きということです。用途は不明なモノですが、その魅力、そしてそれを考える楽しみを紹介できてよかったです。

――そもそもとして、研究者は出土品の用途をどのように推測している?

その出土品の形状・材質・使用痕等を調べ、考古資料だけでなく文献史料・民俗資料も含めた類例調査をし、推測している例が大半でしょう。

――まだ確証はなくてもおよその用途が分かっている展示物もある?

あります。例えば「球状土製品」に関しては、類例は他にみつからず、「蝋燭立てぐらいしか思いつきません」と紹介しています。

――「ご意見板」を設置した狙いは?

来館者にもその用途等について考えて頂く企画ですから、来館者に用途・類例といった意見を出して頂き、その意見も展示させて頂くという展示があっても良いのではないかという思いから設置しました。前回も設置してご好評頂きました。

――「ご意見板」で参考になったご意見はある?

最近出された意見では「紀年銘の墨書がある石」について。「嘉祥元年」(848年)の墨書がある石ですが、「その用途や、なぜ年号が墨書されているのか不明です」と紹介したところ、「酒や漬物等を仕込んだ年を書いて、その甕の上においたもの」という意見がありました。ありえない話ではないと思います。

たしかに見ただけではよく分からない数々の出土品が展示されているようだ。紹介した写真を見て何かひらめいたり、興味を持った人は展示会を訪れてみてはいかがだろうか。もしかしたら「ご意見板」に残したコメントが、いつか歴史の常識になるかもしれない。

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