影響力の武器: なぜ、人は動かされるのか
影響力の武器: なぜ、人は動かされるのか
「ふとした隙につけこまれ、あれよあれよという間に欲しくもないものを買わされてしまった」
「ひっかかるはずのない怪しい〈儲け話〉に乗せられてしまった」
「人気商品なのに品薄なことが多い」・・・・・・
本書の著者は、街頭や個別の訪問販売、怪しげな宗教の寄付などで苦い思いを味わった経験から、セールスマンや広告主の世界に入り込み、人がどのような心理的メカニズムで動かされるのか解明した。
社会で騙されたり丸め込まれたりしないために、私たちはどう身を守れば良いのか? ずるい相手が仕掛けてくる“弱味を突く戦略”の神髄をユーモラスに描いた、世界でロングセラーを続ける社会心理学の名著。
待望の第三版は新訳でより一層読みやすくなった。楽しく読めるマンガを追加し、参考事例も大幅に増量。ネット時代の密かな広告戦略や学校無差別テロの原因など、社会を動かす力の秘密も体系的に理解できる。
【目次】
第1章 影響力の武器
カチッ・サー/思考の近道に賭ける/ 誰が得をしているのか?/ 柔 道/ まとめ
第2章 返報性―昔からある「ギブ・アンド・テイク」だが
返報性のルールはどのように働くか/ 譲り合い/ 拒否させた後に譲歩する/ 防衛法/ まとめ
第3章 コミットメントと一貫性―心に住む小鬼
一貫性のテープが回る/ コミットメントが鍵/ 防衛法/ まとめ
第4章 社会的証明―真実は私たちに
社会的証明の原理/死因は……不明(確なこと)/ 私のまねをしなさい……サルのように/ 防衛法/ まとめ
第5章 好 意―優しそうな顔をした泥棒
友達になるのは、影響を及ぼすため/ あなたを好きになるのはなぜ? その理由を考えてみよう/ 条件づけと連合/防衛法/ まとめ
第6章 権 威―導かれる服従
権威のもつ影響力の強さ/ 盲目的な服従のもつ魅力と危険性/ 重要なのは中身ではなく外見/ 防衛法/ まとめ
第7章 希少性―わずかなものについての法則
少ないものがベスト 失うことはワースト/ 心理的リアクタンス/ 最適の条件/ 防衛法/ まとめ
第8章 手っとり早い影響力―自動化された時代の原始的な承諾
原始的な自動性/ 現代の自動性/ 近道は神聖なもの
第1章 影響力の武器 カチッ・サー
判断のヒューリスティックである簡便法「高価なもの=良いもの」
「専門家がそう言うなら、正しいに違いない」という原則、話の論点には注意を向けない。
問題が、身近なものである場合、話し手が専門家であるかどうかに関わりなく、内容そのものに影響を受ける傾向がある。
問題があまりに複雑で、時間が切迫し、気を散らせる刺激が溢れ、情動が強く喚起され、心理的な疲労感が強いのでよく考えた上で反応するという頭の状態にはありません。問題が重要であろうとなかろうと、私たちは簡便法を選択するのです。
エソロジスト (エソロジー)動物(ヒトを含む)の行動を研究する生物学の一分野。行動学、動物行動学、行動生物学、比較行動学とも訳される。
感冒 感冒(かぜ)、かんぼう(かぜ)、Common cold(呼吸器の病気)
コントラストの原理
「販売における説得と動機づけの新しい心理学」→おもしろいことに、スーツを買う目的で洋品店に来た人でも、スーツを買う前よりも、買ったあとに小物類を見た方が、必ずといっていいほど多くの金を支払う。
不動産会社の人が使う承諾誘導法でもいえることである。→ひどい家をいくつか最初に見せておくと、次に見せる家が本当に立派に見えるものだ。
自動車のディーラーもコントラストの原理を使う→交渉で新しい車の売値を決めたあとで、オプションを次から次へと客に勧めるのです。
文明が進歩するということは、考えなくても出来ることが増えていことを意味する。 アルフレッド・ノース・ホワイトヘッド (英語: Alfred North Whitehead, 1861年2月15日 – 1947年12月30日)は、イギリスの数学者・哲学者である。論理学、科学哲学、数学、高等教育論、宗教哲学などに功績を残す。ケンブリッジ大学、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン、インペリアル・カレッジ・ロンドン、ハーバード大学の各大学において、教鞭をとる。哲学者としての彼の業績は、ハーバード大学に招聘されてからが主であり、その時既に63歳であった。
第2章 返報性―昔からある「ギブ・アンド・テイク」だが
心理学者デニス・リーガン「美術鑑賞」実験
大きな要求の後に小さな要求を出すというやり方が効果を発揮する理由
返報性のルール 「拒否したら譲歩」
知覚のコントラストの原理 コントラスト効果(contrast effect)とは、「対比効果」または「知覚のコントラスト」「コントラストの原理」とも言い、2つ以上の物事を比較した時に差があると、その差が実際の差より大きな差として感じられる心理的な現象です。
返報性と、知覚のコンストラクトの原理の影響が組み合わされると、恐ろしいほどの強力な力が生み出される。
人は他人から何らかの施しを受けた場合に、お返しをしなければならないという感情を抱くが、こうした心理をいう。この「返報性の原理」を利用し、小さな貸しで大きな見返りを得る商業上の手法が広く利用されている。
身近な例では、試食がある。試食は本来、無料で食品を提供し、その味を客が確かめ、購買に値すると判断した場合に買ってもらうプロモーション戦略のひとつであるが、客は店員から直接食品を手渡されることによって、味が良いかに関わらず商品を買わなければいけないという気持ちになることが多い。但し、客が求めていない状況で積極的に試食や購入を促す場合は、「返報性の原理」よりは「一貫性の原理」が強く働くことになる[1]。また、高額商品を勧めて断られた後に、低額商品を勧めると客は断りにくくなる心理が生ずる。これは、高額商品を売ることを諦めて低額商品に切り替えるという相手の譲歩に対して、こちらも譲歩しなければという心理が働く、返報性の原理による。この心理を応用した交渉術を「ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック」(譲歩的依頼法)と呼ぶこともある[2][3]。 こうした心理は、詐欺師や組織犯罪、催眠商法にもしばしば利用される。 なお、返報性の原理は自己開示の際にも当てはまる[4]。
一貫性の原理(いっかんせいのげんり)は、人間の持つ心理の一つである。この用語はマーケティングでも応用されることがある
人には、自身の行動、発言、態度、信念などを一貫したものとしてあらせたいという心理があり、これを「一貫性の原理」と呼ぶ。この心理の根底には、一貫性を保つことは社会生活において他者から高い評価を受けるという考え、複雑な要因の絡み合った社会生活での将来的な行動決定においてより簡易に行動を決定することができるなどの要因があるといわれる[1]。
例えば買い続けている月刊誌が内容が面白くないと感じても、新刊が出るとつい買ってしまったり、好きな歌手のCDだからという理由だけで買ってしまうという行動などである。また一旦観だした映画はたとえ途中で面白くないと感じた場合でも、最後まで見てしまうなどなどが例として挙げられる[1]。
「自らが何らかの物事にかかわりを持っている」場合と「他人に注目されている」場合には特に一貫性の原理が働きやすい。前者では人から手伝いを頼まれ引き受けると2度目以降も断りにくくなるといった例、後者では禁煙を実行する際に一人でするよりは家族や友人、同じ目的を持つサークルなどの中で宣言して行う場合のほうが成功しやすいなどがあげられる[1]。
マーケティングやビジネスへの応用
「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」と呼ばれる手法は「一貫性の原理」を利用しているビジネスの例である。これは、顧客に対して小さな(一般的には顧客にとって損失のない)要求を行い、それが受け入れられてから大きな要求を行うという手法である。試食というプロモーション戦略には「返報性の原理」が働く場合もあるが、客が求めていない状況で積極的に試食や購入を促すケースでは、試食を受け入れた顧客が、自身の行動の一貫性を保ちたいがために購入の要求も受け入れてしまうという、「一貫性の原理」も働いている場合がある[2]。「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」という名前は、訪問販売員が開いたドアの間に足を入れ、話だけでも聞いてほしいという小さな要求を足がかりに販売成功に持っていくという話に由来する。
また、「ローボール・テクニック」(特典除去法)と呼ばれる手法も「一貫性の原理」を利用している例である。これは、悪い条件を隠しておき、顧客が購入を決定した後で条件を出すという手法である。中古車ショップなどで掲げられている金額が車体本体の価格のみで、重量税などの諸経費が含まれていないことが購入を決めた後で判っても、一度購入すると決めた後ではその決定を覆してまでキャンセルしようとはなかなか考えない。購入を決めた後で、手違いにより在庫がないと伝えられ、ワンランク上の商品なら多少金額が上乗せになるが在庫があると伝えられると、仕方がないとして購入してしまう。こういった手法を指す言葉である。不動産業をはじめ多くのビジネスで広く「おとり広告」というこの心理を利用した販売テクニックが利用されてきた。「ローボール・テクニック」という名前は、キャッチボールで、初めは取りやすい高さの低い球筋のボールを投げ、徐々に高い球筋のボールに上げていくと、高い球筋のボールでもキャッチできるようになるという話に由来する[3]。
第3章 コミットメントと一貫性―心に住む小鬼
「コミットメントと一貫性」という社会心理学の法則がある。 これは、人間は一度、ある態度をとると、一貫性を保ちたがるというものです。 とくに大人は、自分が一度示した態度や発言に対して、その一貫性を保とうとする傾向が強いと言うことなんです。
5つのテクニックを1つずつ丁寧に噛み砕いてご説明していきます。感覚的にも理解できるよう、身近にある「コミットメントと一貫性のルール」も10個リストアップしてみました。