年収500万以上の会社員向け! 節税ベスト5

今回は、年収500万円以上の会社員に向けた節税対策の話をしたいと思います。こんなことを言うと、収入が多い人向けなんて、ひどい! って思う方もいるかもしれません。でもじつは年収500万円を境に、節税対策は大きく変わってくるんです。そこで今回は、年収500万円以上の会社員向けの節税対策ベスト5をご紹介します。

税金を減らす3つの選択肢

ランキングに入る前に、まず「税金」の仕組みからカンタンにおさらいしましょう。会社員の方にいちばん関係してくるのは、税金の中でも「所得税」です。この所得税の金額って、いったいどうやって決まるんでしょうか?

みなさん、毎月会社から働いた分の対価として給与をもらっていますよね。税金というのはですね、この給与やボーナスなどの「収入(入ってくるお金)」から、「経費」と「控除」というものを引いた残りの金額、それを「所得」というのですが、その部分にかかってくるものなんです。

なので結局のところ、この「所得」を減らせば、みなさんの税金(所得税)は減ります! じゃあ所得を減らすにはどうすれば良いのか? 答えは、この 3択しかありません。

1.収入を減らす
2.経費を増やす
3.控除を増やす

ただ、1の「収入を減らす」をしてしまうと、所得もたしかに減るのですが、同時に手取りの金額も減ってしまいます。全然おすすめできません! なのでここでは、「経費」もしくは「控除」を増やすことが重要になってきます。

じゃあまず「経費を増やす」ということですが、じつは会社員の方の「経費」というのは国の計算式によって自動的に金額が決まってしまうので、いじることができないんです。この”会社員の経費”を「給与所得控除」と言います。

この給与所得控除は、控除って名前ですが、これくらいの収入だったらこれくらいの金額までを「経費」として認めてあげるよ、というものなんですね。最低額が55万円で、上限が195万円になります。こちらの図を見てもらいたいのですが、要は年収によって経費額(控除額)が変わる仕組みです。

ということで少し遠回りしましたが、会社員の方の節税は1でも2でもなく、3の「いかに控除を増やすか」というところがポイントになってきます。控除を増やせば所得が減り、所得が減れば税金も減る、というカラクリですね。

この控除には、社会保険料や生命保険料、医療費、寄付金、配偶者控除、扶養控除、基礎控除など、15の種類があります。この控除は、みなさんの生活スタイルに合わせて計算します。なので、ここを工夫すれば、税金を減らすことができるんです。

年収500万の会社員に立ちはだかる重税の壁

ところでみなさん、そもそもの話なんですが、たくさん稼いでいる人ほどたくさん税金を納めているイメージってありませんか? なぜでしょう? それは、こんな計算式があるからなんです。

この表をご覧ください。表の税率は、所得税と住民税を足したものです。195万円までの所得は税率15%で計算していきます。まだまだ税率は低いですよね。でも195万円を超えてしまうと、超えた部分に関しては15%ではなく20%の税金がかかってきます。

1300円の商品を買ったら、1000円までは消費税が8%で、1001円から1300円までの300円分は消費税が10%になってしまうようなイメージです(この場合は、商品1300円に対して消費税は80円+30円で110円になります)。

そして、どんどん段階があって、330万円を超えたら30%、695万円を超えたら33%と、増えた所得の部分に対して税率が上がっていきます。これが「超過累進課税」という制度の仕組みです。

で、この表をよく見ていただけるとわかるかと思うんですが、いちばんデカイのが、「330万円のライン」になります。それまでは所得に対して20%の税率だったのが、330万を超えた部分については30%。つまり1.5倍にも増えてしまうんです! だから、所得が330万円のラインを超えたらなんとか節税しましょう、というのが今回のお話なんですね。

この330万円のラインを超える年収が、だいたい500万円台後半からです。年収から給与所得控除や社会保険料(社会保険の厚生年金や健康保険の料金)などの控除を引いても、所得が330万円を超えてしまうんですね。

というわけで、年収500万円以上の会社員のための節税対策を第1位から発表します!

所得が増えるほどお得な「ふるさと納税」

第1位は、ふるさと納税です!

1位と言っておきながら、じつは、ふるさと納税をしても税金自体は変わりません。でも年収が多い人ほど、有利な制度なんです

会社員の方は、毎月給料から天引きで、普段住んでいる市区町村に住民税を払っています。所得が400万円くらいの方は、だいたい住民税が年間で40万円になります。

ふるさと納税は、この住民税の一部を別の市区町村に納税する制度です。例えば、ある納税者が10万円を別の市区町村にふるさと納税したとしましょう。すると「ここへ10万円納められたよ」という連絡が税務署、もしくは市区町村から、その人の住んでいる自治体に連絡がいきます。

すると「あ、そちらで10万円払ってるんだ! じゃあこちらは、住民税を減らしてあげるよ」ということで翌年、普段住んでいる自治体の住民税が30万円に減らされるんです。

トータルの住民税額は40万円で変わらないのですが、本当は入る予定のなかった別の市区町村にとっては「え! うちに10万円くれるの! ありがとう!」ということで、返礼品として、肉や米や魚や家電などをくれるんです。だいたい3割返しです。10万円寄付を受けた市区町村は、約3万円で仕入れたものを返礼品として贈る。

つまり納税者は、納税する金額は変わらないのですが、ちょっとした手続きの手間だけで、10万円ふるさと納税すれば3万円くらいのものが手に入ります。これは非常にお得でしかないですよね。

(ちょっと細かいですが、ふるさと納税の内訳には、2000円の自己負担金が含まれています。この2000円は翌年の住民税から減らされません。なので厳密には、10万円ふるさと納税をした場合、2000円を引いた9万8000円が、翌年普段住んでいる自治体の住民税から減らされます)

ただ、これはあくまでもざっくりとした説明です。社会保険の加入の有無などで金額は変わるので、ご自身の上限金額は、さとふるや、ふるさとチョイス、ふるなび、あるいは楽天ふるさと納税などの、ふるさと納税の窓口となるサイトで確認してください!

上限金額が一気に増える所得ラインは?

とはいえ、一応カンタンに、上限金額の一覧をお見せします。

ここで注目したいのが、所得300万から350万に上がるところです。所得は50万円しか増えていないのに、一気にふるさと納税の上限額が2万5000円分増えています。

じつは、ここが分かれ目なんです。所得が300万円を超えるかどうか。せっかく枠が大きくなるくらい所得があり、税金を多く納めるなら、ふるさと納税したほうがいいんじゃないですか、というおすすめでございます。

ふるさと納税の注意点

ふるさと納税をするときは、下記に当てはまる人は気をつけてください。

1.確定申告をする、もしくは6団体以上にふるさと納税をする人
2.住宅ローン控除がある人

ふるさと納税をすると、納税したことを証明する手続きが必要になります。このとき便利なのが「ワンストップ特例制度」。会社員の方が確定申告をせずに済むという制度です。ふるさと納税をした自治体から送られてくる専用の申請書を返送するだけでOKです。

ただ、確定申告をする方や、6団体以上にふるさと納税をする方は、このワンストップ特例が適用されないので、ご注意ください

また、住宅ローン控除がある人は計算がややこしくなるので、住宅ローン控除を踏まえた、ふるさと納税の上限額をちゃんと計算するようにしてください。

ということで、第1位はふるさと納税でした。納税額自体は減りませんが、肉や米や魚や家電やフルーツが返礼品としてもらえるという制度です。ちなみに僕は、鹿児島市の「かるかん」というお菓子と、石川県金沢市の「中田屋のきんつば」をよくふるさと納税で選んでいます。

節税方法は他にもいろいろ!

といったわけで続いて第2位にいきたいのですが、長くなってしまったので、今回はここでお開きにさせてください。

よく考えたら、なぜ僕は1位から言い始めたんでしょうね。5位、4位の順に発表すれば、この先も興味を持つかもしれないのに。なぜか1位から言ってしまったので、もう興味のない方はこれで結構でございます(笑)。

まだまだ他にも節税対策はあるので、気になった方は、ぜひ僕のYouTube動画をご覧ください。それでは今回はこの辺で! ばいば~い!

本記事は、作成日現在、SMBC日興証券が信頼できると判断した情報源に基づいて作成されておりますが、内容の正確性あるいは完全性について保証するものではありません。
実務に際しては、税務署や、弁護士、公認会計士、税理士等の専門家にご相談いただきますようお願いいたします。
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