地球の内核で生じていた「奇妙な回転」が停止したと研究者が報告

地球は上部の地殻やマントルの下に直径約7000kmの

地球の内核で生じていた「奇妙な回転」が停止したと研究者が報告

地球の内核で生じていた「奇妙な回転」が停止したと研究者が報告© GIGAZINE 提供

を持っており、液体の外核が地下2900km~5100km、固体の内核が地下5100km~6400kmに位置していると考えられています。この内核は「地球の他の部分よりも速いスピードで独自に回転している」と考えられていますが、新たに発表された論文では、過去10年間で内核の奇妙な回転が停止したと報告されました。 Multidecadal variation of the Earth’s inner-core rotation | Nature Geoscience https://doi.org/10.1038/s41561-022-01112-z

地球の内核で生じていた「奇妙な回転」が停止したと研究者が報告

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Has Earth’s inner core stopped its strange spin? https://doi.org/10.1038/d41586-023-00167-1 Earth’s Inner Core May Right Now Be in The Process of Changing Direction : ScienceAlert https://www.sciencealert.com/earths-inner-core-may-right-now-be-in-the-process-of-changing-direction デンマークの地震学者であるインゲ・レーマンは1936年、地球内部における地震波の伝播(でんぱ)速度が5100km付近で急激に変化していることを発見し、地球の核が外核と内核の二層に分かれていることを突き止めました。地球の最も中心にある内核は月と同じくらいの大きさがあり、極めて高い圧力の下で96%が固体としての鉄で構成され、温度は6000度以上と太陽の表面温度に匹敵することが知られています。 1996年に、当時イリノイ大学の研究者だったXiaodong Song氏とコロンビア大学のPaul Richards氏は、「地球の内核はマントルよりも速いスピードで回転している」とする論文を発表しました。この研究結果は、特定の地域で発生した地震波が数千km離れた観測地点に到達する時間の変化について、1960年代以降のデータを分析した結果に基づくものです。内核が動いていなければ地震波の移動速度は変わらないはずですが、1960年代~1990年代にかけて地震波の移動時間が変化していたことをSong氏らは発見しました。 その後の研究では、内核はマントルに比べて、地球1周360度に対して年間10分の1度ほど速く回転することが示されましたが、すべての研究者が「内核はマントルより速く回転する」という説に同意しているわけではありません。別の研究では、内核の回転は恒常的な現象ではなく一時的なものだと示唆されているほか、内核の高速回転は存在せず、地震波の変化は内核表面の物理的変化によって引き起こされたものだとする論文も発表されています。 また、2022年に発表された論文では、1969~1971年にかけてアメリカの核実験で生成された地震波のデータから、地球の内核はこの時期に「逆回転」していたか、マントルよりもゆっくり回転していたと報告されました。この論文では、1971年以降になって内核の回転速度が上がり始めたと主張されています。

地球の内核で生じていた「奇妙な回転」が停止したと研究者が報告

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そして新たに、北京大学の地球物理学教授となったSong氏と研究者のYi Yang氏は、1995年~2021年にかけて観測された地震波のデータを分析した結果、2009年頃から地震波の移動時間に変化がみられなくなったことを発見しました。 地震波の移動時間に変化がみられなくなったということは、内核がマントルに対して高速で回転しなくなり、同じ速度で回転するようになったことを示唆しています。同様の結果は地球上のさまざまな地点で観測されていることから、Song氏らはこれが惑星全体の現象であり、内核表面の局所的変化ではないと主張しています。 データからは内核の回転速度が遅くなっただけでなく、逆回転する過程にある可能性も示唆されています。Song氏らは「内核の自転が最近の10年間でほぼ停止し、1970年代初頭以来の転機を迎えて数十年周期の折り返しを経験している可能性を示唆する驚くべき観測結果が示されました」と述べ、内核の回転が約70年間の周期性がみられる1日の長さや磁場の変化と関連している可能性があると主張しました。

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