ブラウン‐うんどう【ブラウン運動】
〘名〙 (ブラウンはBrown) 微小な物体の示す無秩序な熱運動。一八二七年、イギリスの植物学者ロバート=ブラウンが水中に浮く花粉の示す不規則な永久運動を発見し、はじめ花粉の生命と結びつけたが、これは無機物でも起こっており、後、真の原因は周囲の媒質の分子の熱運動による衝突であることがわかった。〔
原子の構造(1924)〕
分子,原子,コロイド粒子などが液体中で動く状態.不規則な熱運動.
花粉を水に浮かべておくと,破裂してたくさんの微粒子が出てくる。それを顕微鏡で見ると,ぴりぴり,ぶるぶると活発に動きまわっている。この運動を初めて観察したのはイギリスのニーダムJohn Tuberville Needham(1713‐81)で,1740年のことといわれているが,当時はこの動く微粒子が
動物の
精子にあたるのだろうと考えられていた。その後,1826年になって,イギリスの植物学者R.ブラウンがこの動く微粒子の運動をもっとよく調べようとした
動機も,植物の
受精の研究だった。
【アインシュタイン】より
…そこに7年間勤めたが,しごとの合間に行った理論物理学の研究は,20世紀物理学の基礎を築くことになった。すでに1901年から熱力学および統計力学に関する論文を発表していたが,05年に光量子仮説,ブラウン運動の理論,特殊相対性理論という,根本的かつ革命的理論を立続けに提出したのである。そのため,この年は〈奇跡の年〉といわれる。…
【アインシュタインの関係式】より
…原子力エネルギーは原子核の質量の1000分の1程度をエネルギーに変えて利用する。相対性理論【藤井 保憲】(2)ブラウン運動の理論において導いた関係式。例えば流体中のコロイド粒子などは不規則なブラウン運動を行い,しだいに位置を変えていく。…
【ウィーナー過程】より
…初め,イギリスの植物学者R.ブラウンが顕微鏡で水中にある花粉から出る微粒子を観測しているうちに,それらが激しい不規則運動をしていることを発見した。この運動は,後に水の分子が微粒子と無数といってよいほど頻繁に衝突することによって起こるものであることがわかり,ブラウン運動Brownian movementと呼ばれるようになった。A.アインシュタインは,1905年にこの運動の数学的記述を与え,一定時間内の変移はガウス分布に従うことを理論的に示した。…
【拡散】より
…この消え残った力は絶えずゆらいでいる。これによりコロイド粒子のブラウン運動が見られるのであるが,この運動は決定論によっては決められず,確率法則に支配されている。ここで,ある位置から出発したコロイド粒子が,時間が経つにつれ,空間の中でどんな確率分布をとっていくかを記述するのがスモルコフスキー方程式である。…
【拡散過程】より
…これを放置しておくと粒子は不規則に動きながらも,傾向としては濃度の高いほうから低いほうへ向かって広がり,ついには水全体に一様に分布するに至る。ブラウン運動はこのような現象をモデルとする拡散過程のもっとも重要な例である。一般に,ある区間の中で行動している一次元拡散過程が時間的に一様,すなわち推移確率が時間の差だけに依存するとき,その区間から外に出るまでの行動は,ブラウン運動から状態空間であるその区間の位相的変換と時間変更および粒子を消滅させる方法とで構成される。…
【確率過程】より
…その確率法則は,平均値m(t)=E{Xt(ω)}と共分散関数ρ(t,s)=E{(Xt(ω)-m(t))(Xs(ω)-m(s))}とで決まる。m(t)=0,ρ(t,s)=min{t,s}(=tとsの小さいほう)であるガウス過程{Xt(ω)(t≧0)}で見本関数が連続であるものをウィーナー過程,またはブラウン運動という。これはR.ブラウンが観察した花粉の微粒子の不規則運動や,A.アインシュタインが研究した分子運動の模型を,N.ウィーナーが数学的に厳密にしたもので,ウィーナーやP.レビの詳しい研究がある。…
【ブラウン】より
…ムラサキツユクサの細胞で複雑なタイプの原形質流動を観察し,原形質流動への関心を高めた。ブラウン運動も彼の発見になる。【佐藤 七郎】。…