「クワオアー」に謎の大きな輪=太陽系外縁天体―国際チーム

 太陽系の外縁で2002年に発見された天体「クワオアー」の周囲にちりや氷の輪を発見したと、国際研究チームが11日までに英科学誌ネイチャー電子版に発表した。この天体は大きさが冥王星の半分程度で、半径555キロ。これに対し、輪の半径は約4100キロと非常に大きく、維持されている仕組みが謎だという。

太陽系外縁天体「クワオアー」(画像中央)を取り巻くちりや氷の大きな輪の想像図(画像左は衛星)(欧州宇宙機関提供)

太陽系外縁天体「クワオアー」(画像中央)を取り巻くちりや氷の大きな輪の想像図(画像左は衛星)(欧州宇宙機関提供)© 時事通信 提供

 クワオアーの太陽からの距離は地球―太陽間の44倍もある。輪を直接観測するには遠くて暗いため、欧州宇宙機関の宇宙望遠鏡やスペイン領カナリア諸島にある大望遠鏡で間接的に観測した。クワオアーが遠くの明るい恒星の手前を横切る様子を捉えると、恒星の光が一時的に暗くなるが、その前後にも少し暗くなる瞬間があり、輪の存在が明らかになった。

 ちりや氷の輪は惑星の土星や木星、天王星、海王星のほか、土星と天王星の間にある小惑星「カリクロー」、太陽系外縁の準惑星「ハウメア」でも見つかっている。いずれも輪の半径は小さく、中心の星の重力を強く受けるため、ちりや氷が集まって衛星にまとまることができないと考えられている。

 ちりや氷がばらばらのままか、衛星にまとまるかの境界は「ロッシュ限界」として知られるが、クワオアーの輪はこの境界よりはるかに外側にある。もっと外側には小さい衛星も1個見つかっており、なぜ輪のちりや氷がばらばらのまま衛星にならないのか、メカニズムが分からないという。

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