第9回 仕事の能率と安全

産業・組織心理学(’20)

Industrial and Organizational Psychology (’20)

主任講師名:山口 裕幸(九州大学教授)

【講義概要】
産業・組織心理学は、①組織に所属する人々の行動の特性やその背後にある心理、あるいは人々が組織を形成し、組織としてまとまって行動するときの特性について研究する「組織行動」の領域、②組織経営の鍵を握る人事評価や人事処遇、あるいは人材育成について研究する「人的資源管理」の領域、③働く人々の安全と心身両面の健康を保全し、促進するための方略について研究する「安全衛生」の領域、そして、④よりすぐれたマーケティング戦略に生かすべく消費者心理や宣伝・広告の効果を研究する「消費者行動」の領域からなる。本講義は、それらを全体として統合しつつ、産業・組織心理学の理論と知見を体系的に解説する。

【授業の目標】
①組織における人間行動の特徴とともに、組織体全体に発生する現象の諸特性について理解し、概説できる。
②人材の育成や開発のために必要となる人的資源管理のあり方について理解し、概説できる。
②職場で発生する安全衛生の問題に対して、その解決のための行動や心理学的支援の方法について理解し、概説できる。
④消費者の意思決定や行動の特性ならびに、効果的な宣伝やマーケティングのための心理学的知識について理解し、概説できる。

【履修上の留意点】
本科目を履修する前に「心理学概論(’18)」を履修することが望ましい。また、「社会・集団・家族心理学(’20)」と関連が深い。
※この科目は、心理と教育コース開設科目ですが、社会と産業コースで共用科目となっています。

第9回 仕事の能率と安全

仕事の能率と安全に関わる人間の特性、および産業現場で取り組まれている方策について概説する。仕事の生産性と安全性を両立するために何が必要かを考える。

【キーワード】
作業研究、ヒューマンエラー、不安全行動、安全管理、安全文化


Reasonはヒューマンエラーを3つの分類としています。
 1.注意の失敗(SLIP)  
 2.記憶の失敗(LAPSE)
3.計画段階での失敗(MISTAKE)

 

安全管理

ハインリッヒの法則

 

スイスチーズ・モデル

スイスチーズモデルは、事故は単独で発生するのではなく複数の事象が連鎖して発生するとしたものです。


次の①~④の選択肢の中から,事故発生過程を説明するスイスチーズ・モデルの説明として,正しいものを一つ選びなさい。

選択してください:

① 安全のために多層の防護を設けることで,事故が防止できることを示している。
② 重大事故,軽傷事故,無傷の事故は,1:29:300 の比で発生することを示している。
③ 作業者の疲労軽減に有効な身体の使用,作業現場の配置,道具・設備の設計に関する指針を示している。
④ 事故原因として単一の問題点に着目するのではなく,多角的に要因を洗い出して検討する必要性を示している。 正解です。

フィードバック
正解は④です。

【解説/コメント】

①この記述内容は正しくありません。スイスチーズ・モデルでは,安全のための一つ一つの防護は完全ではなく,その穴(不備)が偶然重なったときに重大事故が生じうることが表されています。

②この記述内容は「ハインリッヒの法則」についての説明です。スイスチーズ・モデルは,安全のために設けられた多層の防護を危険がすり抜けて重大事故が生じる過程を表現しています。

③この記述内容は作業研究においてバーンズが提唱した「動作経済の法則」についての説明です。スイスチーズ・モデルは,安全のために設けられた多層の防護を危険がすり抜けて重大事故が生じる過程を表現しています。

④正解です。よく理解されています。スイスチーズ・モデルでは,安全のための一つ一つの防護は完全ではなく,その穴(不備)が偶然重なったときに重大事故が生じうることが表されています。

印刷教材の第 9 章(放送授業の第 9 回)を参照して,理解を深めてください。

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