第8回 離婚紛争と子ども

司法・犯罪心理学(’20)

Forensic and Criminal Psychology (’20)

主任講師名:廣井 亮一(立命館大学教授)

【講義概要】
公認心理師法における「司法・犯罪分野」の要点を踏まえて、少年事件、刑事事件、家庭紛争事件の3部で構成する。
第1部は、司法における犯罪心理学、非行臨床をもとに少年事件を取り上げる(第1回~第4回)。第5回では犯罪者・非行少年の更生に関わる専門家の活動を紹介する。
第2部は、児童虐待、高齢者虐待、離婚と面会交流などの家庭紛争事件、さらに体罰問題など学校に関わる問題への対応を解説する(第6回~第9回)。
第3部は、攻撃性をもとに犯罪の4類型を理解したうえで、ストーカー犯罪、凶悪事件の精神鑑定例、犯罪被害者への贖罪を取り上げる。また、司法における心理臨床家の活動も紹介する。最後に現在の司法の潮流である司法臨床、治療的司法、加害者臨床をもとに、司法・犯罪心理学の展望と課題を解説する(第10回~第15回)。

【授業の目標】
公認心理師法における「司法・犯罪分野」の要点である、少年事件、刑事事件、家庭紛争事件の3部門を学ぶ。そのうえで司法の枠組みを踏まえた、少年への非行臨床、成人への加害者臨床、家庭事件への家族臨床の展開を理解することを目的とする。

【履修上の留意点】
新聞等で少年や成人の事件、家庭での虐待事件等の報道を読み、現代の少年非行、成人犯罪、家庭事件の特徴を考えておく。
さらに、講義で関心をもったテーマを各自でさらに深く学ぶこと。

第8回 離婚紛争と子ども

・日本の離婚の現状と離婚の制度を解説する。
・少子社会における、離婚に伴う親権者の決定について説明する。
・面会交流の意味と子どもの発達に応じた面会交流について説明する。

【キーワード】
離婚、親権、面会交流、子どもの心の傷


日本の離婚に関する次の①~④の記述から,誤っているものを一つ選びなさい。

① 離婚総数のおよそ 9 割が協議離婚によるものである。

② 協議離婚は,夫婦双方が離婚に合意していなければならない。

③ 調停離婚は,地方裁判所に申し立てる。

④ 調停離婚の申立て理由は,性格の不一致などでも構わない。

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正解は③です。

【解説/コメント】

日本の離婚総数のおよそ 9 割が協議離婚によるものです。2016 年・平成 28 年の離婚手続の 87%です。夫婦双方が離婚に合意していなければなりません。
調停離婚家庭裁判所の調停手続によるものです。離婚を望む理由は,性格の不一致など何でも構いません。離婚を望まない当事者が,夫婦の仲をよくしてほしいという,和合調停を申し立てることもできます。


日本の親権,親権者に関する次の①~④の記述から,誤っているものを一つ選びなさい。

① 親権とは,子どもの最善の利益にかなうように,親が子どもを健全に育てる義務と権利である。

② 日本では,夫婦に未成年の子どもがいる場合,婚姻中は父母が共同親権者であり,離婚後はどちらか一方の単独親権者になる。

③ 協議離婚後に親権者を決めることができる。

④ 親権者でない親があらためて親権者になることを希望するときは,必ず家庭裁判所に「親権者変更」の調停を申し立てなければならない。

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正解は③です。

【解説/コメント】

民法では親権について,身上監護に関する権利義務,つまり子の監護及び教育をする権利義務と,子どもの財産管理に関する権利義務,があると規定しています。したがって親権とは,子どもの最善の利益にかなうように,親が子どもを健全に育てる義務と権利であると言えるでしょう。
夫婦に未成年の子どもがいる場合,婚姻中は父母が共同親権者で,離婚をする場合は,必ず父母のどちらか一方を親権者に決めなければなりません。離婚については合意していても,親権者が決まらなければ離婚はできません。親権者でない親があらためて親権者になることを希望するときは,必ず家庭裁判所に「親権者変更」の調停を申し立てなければなりません。


日本の面会交流に関する次の①~④の記述から,誤っているものを一つ選びなさい。

① 面会交流とは,離婚後や別居中に子どもを養育していない親が,子どもと面会や宿泊をしたりするために,面会交流権として定められたものである。

② 面会交流は,離婚後や別居中に子どもを養育していない親の主張が優先される。

③ 面会交流の実施において,父母の葛藤が激しく子どもの情緒の安定の影響を及ぼす場合などに実施することは好ましくない。

④ 忠誠葛藤とは,両親が面会交流で対立している場合,6 歳から 8 歳児ころの子どもが,別居親と会うことによって示す忠誠と,会わないことによって示す同居親への忠誠で悩むことなどをいう。

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正解は②です。

【解説/コメント】

面会交流とは,離婚後や別居中に子どもを養育していない親が,子どもと面会や宿泊をしたり,手紙や電話などでやり取りすることをいいます。平成 23 年の民法改正によって面会交流権として定められたものです。ただし,面会交流は子の利益を最優先に考慮しなければなりません。面会交流権や親権があるからという,親の権利で主張するものではありません。面会交流の実施で対立した場合,家庭裁判所は,父母の葛藤が激しく子どもの情緒の安定の影響を及ぼす場合などに面会交流を制限しています。
忠誠葛藤とは,父母が面会交流で対立している場合,6 歳から 8 歳児ころの子どもは別居親と会うことによって示す忠誠と,会わないことによって示す同居親への忠誠で悩むことになります。いずれにしても他方の親への忠誠を裏切ることになるからです。

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