第2回 心理学の研究方法

心理学概論
第2回 心理学の研究方法

向田久美子


1.心理学の研究方法
2.実験
3.観察
4.調査
5.面接
6.事例研究
7.研究における倫理


1.心理学の研究方法

心理学が研究対象とするのは構成概念であり、客観的な物理量を測定出来るものではない。
そのため操作的定義を決め、それに基づいてデータを収集することで実証を試みる。

■研究のステップ
(1)研究テーマ(Research Question)の設定
(2)仮説の立案(変数X→変数Y)
(3)研究デザインの策定
(4)データの収集と分析(第14回)
(5)考察
(6)論文の執筆(研究成果の公表)

■構成概念(construct)
行動の背後にあると考えられる抽象的な心理特性→理論的定義と操作的定義が必要
論理的定義:構成概念の意味内容を言語により定義
操作的定義:理論的に定義された構成概念の測定方法を定義

例)
■知能(Intelligence)
□論理的定義の例
目的的に行動し、合理的に思考し、環境を効果的に処理する
個人の総合的・全体的な能力(Wechsler,1936)
□操作的定義
知能検査によって測定されたもの
・ウェクスラー式検査(WAIS,WISC)言語理解・知覚推理・ワーキングメモリ・処理速度
・PMA(Primary Mental Abilities)言語理解・空間・帰納的推理・計算・語の流暢(ちょう)性・記憶・知覚の速さ(第8回)

例)
■攻撃(Aggression)
□論理的定義の例
他社に危害を加えようとする意図的行動(大淵,1993)
□操作的定義
ゲームの対戦相手に与える不快ノイズ(Anderson et al.,1998)
攻撃性尺度の得点(Buss&Perry,1992)
暴力的なモデルと同じ行動をとった回数(Bandura et al.,1963)

信頼性と妥当性
信頼性:測定結果に安定性、一貫性が見られるか
妥当性:測ろうとしているものを正しく測れるか

追試


2.実験

例えばミュラー・リヤー錯視(第3回)
鏡映描写→両側性転移

■実験計画に含まれる内容
個人か、集団か
実験の場所
実験器具の使用
課題の提示順序と実施回数
コンピュータによる制御か、紙と鉛筆によるテスト形式か
教示(インストラクション)
参加者の募集
実験者と実験協力者の選定

独立変数:原因
従属変数:結果

剰余変数:結果に影響すると思われる要因

生態学的妥当性の問題
要求特性によって実験結果が歪む可能性

実験者期待効果
ホーソン効果
二重盲検法


3.観察

「観察」観察対象の行動を記録したものがそのままデータになることもある。

■観察の種類
日誌法、場面見本法、時間見本法、事象見本法
参加観察法、非参加観察法
自然的観察法、実験的観察法


4.調査

■質問紙調査の特徴
・長所→・短期間で多くの人からデータを集めることができる。・参加者の内観(価値観、パーソナリティなど)を知ることができる。
短所→・質問の言い回しや順番などによって回答が誘導されることがある。・怪盗の社会的望ましさや虚偽などの歪みが入る可能性がある。・1回かぎりの調査では、因果関係はわからない。


5.面接

「面接」その場での言語的てきなやりとりを書き起こしたものがデータとして利用される場合も多い

■面接の種類
構造化面接→質問項目のその順番、教示、回答の選択肢(し)があらかじめ決められている
半構造化面接→前もって質問項目を準備するが会話の流れによって順番を変えたり、追加の質問を加えたりする。
非構造化面接→質問項目や順番を決めずに、柔軟に質問する。

発話


6.事例研究

□8 発達心理学 ピアジェの発達理論
□9 臨床心理学 フロイトの精神分析理論


7.研究における倫理

参加への同意(インフォームド・コンセント)
偽りの情報を与える(ディセプション)
事後に研究の真の目的をきちんと説明し(ディプリーフィング)


心理学概論
目次
1 心理学とは
2 心理学の研究方法
3 知覚心理学
4 学習心理学
5 生理心理学
6 比較心理学
7 教育心理学
8 発達心理学
9 臨床心理学
10 パーソナリティ心理学
11 社会心理学
12 産業・組織心理学
13 文化心理学
14 心理統計の役割
15 心理学を学ぶということ

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