第08回 発達心理学

心理学概論

第08回 発達心理学

発達心理学は、人の生涯にわたる心身の変化とそれが生じるしくみを研究する学問である。発達の研究対象はかつては子どもだけであったが、現在は大人も含むようになり、発達を多次元的・多方向的に見るようになっている。この回では、発達研究の歴史、発達研究の方法、遺伝と環境、発達段階と発達課題について概説する。

【キーワード】
生涯発達、縦断と横断、遺伝と環境、発達段階、発達課題

向田 久美子(放送大学准教授)
鈴木 忠(白百合女子大学教授)


1.発達研究の歴史
2.発達研究の方法:横断と縦断
3.遺伝と環境
4.発達段階と発達課題


1.発達研究の歴史

(1)20世紀前半まで
1877年 チャールズ・ロバート・ダーウィン(Charles Robert Darwin: 1809~1882)「マインド」を発表
1882年 ドイツの生理学者プライヤー(Preyer, W. T.)『児童の精神』(1881)は児童心理学の始まりを告げる著として歴史に名をとどめることになりました。

1880年 アメリカのスタンレー・ホール(G. Stanley Hall)アメリカに児童研究運動(Child Study Movement)を起こしました。

1905年 フランスのビネー 知能検査を発表
セオドア・シモン 知的障害児施設でインターン中のシモンはビネーに大層気に入られ、ビネーの指示を受けてその施設の入所者を対象に各種検査をしたりもした。

1916年 スタンフォード・ビネー検査 スタンフォード・ビネー式知能検査

1920年代から30年代
ジャン・ピアジェ ビネーの死後、シモンのもとで働いていたピアジェ 独自の手法(臨床法)を用いる 思考発達段階説  ピアジェの保存課題(誤答)
レフ・ヴィゴツキー
1925年、意識の問題が唯物論心理学の確立に重要な意味を持つことを指摘。さらに、10月に『行動心理学の問題としての意識』出版。

ダーウィンと発達心理学

(2)20世紀後半以降

1950年代
イギリス ジョン・ボウルビィ
精神医学に動物行動学(エソロジー)的視点を取り入れ、愛着理論(Attachment theory )をはじめとする早期母子関係理論を提唱した。
アメリカ エリク・H・エリクソン
エリクソンの心理社会的発達理論(ライフサイクル理論)を提唱した。

1960年代
アメリカの心理学界で行動主義から認知過程へと関心を移行。(第1回)
ローレンス・コールバーグ
アメリカの心理学者で、道徳性発達理論の提唱者。  (ピアジェの道徳研究を発展させたもの)

アルバート・バンデューラ
自己効力感や社会的学習理論で知られるカナダ人心理学者。 (観察学習もしくはモデリング 第4回)

1970年代
生涯発達心理学が台頭。
ドイツ ポール・バルテス   Paul B. Baltes(1939年6月18日– 2006年11月7日)はドイツの 心理学者であり、その幅広い科学的課題は人間開発の寿命志向の確立と促進に専念していました。彼はまた、老化の心理学の分野の理論家でもありました。彼はアメリカの心理学者によって最も影響力のある発達心理学者の一人として説明されています。

1970年代
レフ・ヴィゴツキーの評価が高まり、発達や学習が、他社との関係性や文化的文脈なしには成立し得ないとする社会文化的アプローチは、(第13回)文化心理学の成立にもも貢献した。

ピアジェ、エリクソン、バルテスの発達論を理解する
SOC理論|選択的最適化理論 バルテス
Baltesの生涯発達心理学において示された獲得と喪失の相互作用によって進行する成長と老化のダイナミクスの過程で生じる実際的問題に、人はいかに対処しているかに関する理論である。この理論では、加齢に伴う喪失に対する適応的発達のあり方として、獲得を最大化し、喪失を最小化するために自己の資源を最適化すると主張される。すなわち、若い頃よりも狭い領域を探索し、特定の目標に絞る(選択)、機能低下を補う手段や方法を獲得して喪失を補う(補償)、そして、その狭い領域や特定の目標に最適な方略を取り、適応の機会を増やす(最適化)のである。

(3)発達観の変化
発達には複数の側面があること、変化する方向性は上昇や獲得だけでなく、下降や喪失も含むこと、変化する可能性(可塑性)は生涯に渡って続くと言う見方が一般的になっている。

2.発達研究の方法:横断と縦断

横断的研究
縦断的研究
2005年 シャイエの分析
高齢期における知能の加齢変化 | 健康長寿ネット シアトル縦断研究

3.遺伝と環境

遺伝か環境か(第1回)
遺伝を重視する立場(遺伝説)     成熟優位説、
生後の環境を重視する立場(経験説)  ワトソンの行動主義

ドイツ ウィリアム・シュテルン(William Stern) 輻輳説 ウィリアム・シュテルン その業績と法心理学

アメリカ ジュンセン 環境閾値説 ジェンセン 心理学 人名事典

<輻輳説(ふくそうせつ)>
シュテルン、ルクセンブルガーらが唱えた説。人間の発達の諸要因は遺伝的要因のみによる
ものではなく、環境的要因のみによるものでもなく、両者の相互作用によるものであるということを
提唱した。

<生得説>
ゲゼルらが唱えた説。遺伝説ともいう。発達の諸要因に関して、個体の発達は個体内の
遺伝的素質によって規定されるという考え方。

<経験説>
ロックやワトソンらが唱える。環境論ともいい、発達の諸要因に関して、環境の影響が
子どもの発達にとって、決定的な力を持っているという考え方。

相互作用説(環境閾値説) interactional view ジェンセン (Jensen, A.R.)
遺伝要因と環境要因が互いに影響し合っている。
環境が相当悪くても遺伝的に持っているものが比較的そのまま発現しやすい資質と、
環境が十分整ってはじめて生まれ持っているものが発現する遺伝的資質があるとする。

ユリー・ブロンフェンブレンナー

ブロンフェンブレナーの社会システム ,   ブロンフェンブレンナーの生態学的システム理論

4.発達段階と発達課題

(1)子どもの発達
(2)青年の発達
(3)大人の発達

「補償を伴う選択的最適化(SOC方略)」


生涯発達のダイナミクス

 

Pocket
LINEで送る

“第08回 発達心理学” への1件の返信

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA