ケンブリッジ大学・人気哲学者の「不死」の講義

1回目は、「人は必ず死ぬ。しかし誰もが、自分の死を正しく想像できない」ということについて。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00421/011200001/

2回目は、人類の発達の原動力となった、「4つの不死への願望」について。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00421/011200002/

3回目は、「権力者による不老不死の追求と、科学が見せる夢」について。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00421/011200003/

4回目は、「必ず死ぬという現実を踏まえ、私たちはどう生きるべきなのか」について。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00421/011200004/

ケンブリッジ大学・人気哲学者の「不死」の講義

「今年も一歳、年を取った。自分は何歳まで生きられるのだろう」
――限りある人生をより豊かに生きるために、
ケンブリッジ大学の人気哲学者と旅立つ“知の冒険”
「死にたくない」
「長生きしたい」
これは、人間だけが抱く”特別な感情”です。

なぜ人類は、驚異的なスピードで発展をとげてきたのか。
文化・芸術から医学や遺伝子工学に至るまでの最新の知見を編み上げて人類史の壮大な謎に挑む。

コロナ禍のもたらした「生命の危機」―
それを原動力に、我々は、驚異的なスピードでのワクチン開発・医学の進歩を実現しています。
人類の進歩の裏側には、いつも、「死にたくない」「長生きしたい」という願望がありました。

古代エジプト時代から今に至るまで、
人類は何を恐れ、何を原動力として
科学技術や都市、文明を進めてきたのか。

イギリスの人気哲学者がひもとく、
「不死」への本能的な願望と
人類の知の進化の物語。

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目次
第1章 美女、来る――不死に向かって伸びる四つの道
アテン神の落日――古代エジプトの「最高神の時代」が終わるとき
「死のパラドックス」――人は必ず死ぬ。しかし誰もが「自分の死」は受け容れられない
不死への欲求は「人類の進歩」の原動力

第1部「生き残り」シナリオーStaying Alive―
第2章 「万里の長城」の究極目標――文明と不老不死の霊薬
古代日本人が手に入れた「不老不死の霊薬」とは?
霊薬(エリクサー)――「寿命の無期限の延長」という約束と錬金術 ほか

第3章 科学vs死神――ノーベル賞学者を虜にした不老不死のビタミン療法
たった一世紀で平均寿命は「倍増」――工学がもたらした「不死」
死を避けるための「やることリスト」――「寿命」からの解放は現実的か ほか

第2部「蘇り」シナリオーResurrection―
第4章 イエス・キリストの復活と食人――蘇りの台頭
死に、そして蘇るーー蘇りシナリオが人類にもたらした「進歩」
その細胞の「所有者」は誰か? ほか

第5章 フランケンシュタイン――現代の蘇生者
自然の征服――死を永遠に征服するための「生命の原理」
「私」がアバター化するとき ほか

第3部「霊魂」シナリオーSoul―
第6章 ベアトリーチェの微笑み――天国・楽園をめぐる問題点
天国はどこにある? ――未踏の地を信じる根拠
「時間の超越」としての永遠性の議論 ほか

第7章 「生まれ変わり」と「科学」――霊魂の消失
「ダライ・ラマ一四世」の誕生が示すこと
霊魂と科学――霊魂の住み処は心か身体か?
脳が単なる「物質」ならば、なぜ「思考」しうるのか? ほか

第4部「遺産(レガシー)」シナリオーLegacy-
第8章 不朽の名声――「心の中で生き続ける」の不死性と欺瞞
シンボルとして永遠に生きる――アレクサンダー大王の功績
肖像画・写真・SNS……私たちが「自己複製」をやめられない理由 ほか

第9章 遺伝という不滅――DNA,都市、生態系、ガイア、そして宇宙へ
「家族」はなぜ特別か?
都市形成、そしてこの地球を覆う「不死性」について考える ほか

不死探求――四つの道が導く結論―Conclusion―
第10章 生命の「深淵」を覗いた男――死の必然性と知恵
ヴィトゲンシュタインが「生に終わりはない」と結論づけた理由
「死への囚われ」に立ち向かう三つの戦略
生の意味と、人類の発展・未来 ほか

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「不死」を手に入れるための4つの道

「どのようにして不死を達成するか」という物語は見たところ多様であるものの、その根底には4つの基本形態しかない。私はそれを4つの「不死のシナリオ」と呼ぶことにする。

第一の道は、私たちの本能に直接端を発している。他のあらゆる生き物と同じで、私たちも死を避けようと懸命に努力する。永遠に──物理的に、この世で──死を避けるという夢は、不死のシナリオのうちでも最も基本的なものだ。この最初の道は単に、「生き残りのシナリオ」と呼ぶことにする。

第二の道が代替策を提供してくれる。それによれば、たとえ死が訪れても、やり直しが利くという。これが「蘇(よみがえ)りのシナリオ」で、私たちは物理的に死なねばならないとはいえ、生前に持っていたものと同じ身体で物理的に復活できるという信念だ。

テクノロジーが急速に発展するなか、なおいっそうハイテクの蘇りの形態も提案されつつある。自分をコンピューターにアップロードし、それから新しい身体あるいはデジタルアバターにリロードする可能性がその一例だ。

第三の道。来世では、たとえデジタル形式であってさえも、かつての身体を継承したがらぬ人もいる。物質界はあまりに当てにならず、永遠性を保証できないと思っているからだ。したがって彼らは、何らかの霊的存在、すなわち「霊魂」として生き延びることを夢見る。

第四の道である「遺産(レガシー)のシナリオ」には慰めを見出すことができる。霊魂の概念は東洋でも西洋でももてはやされてきたものの、この概念にも疑いを抱く人はいた。物質志向の人の場合には、特にそうだ。そのような人でさえ、おそらく最も広く普及しているシナリオ、

「誰もが死ぬ。したがって、私も死ぬに違いない。だがこれは想像できないので、私たちは不死を創出し、その所産が文明である」(ブライアン・アップルヤード)

死とは何か

 

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