
球状星団 globular cluster
球状星団globular clusterとは、数十万個の星が重力によって球状に密集した天体です。 これらの星団は、銀河の周囲に分布し、中心部に近いほど星の密度が高くなります。球状星団は主に古い星から構成されており、100億年以上の長い期間存在しています。また、中心には巨大なブラックホールが存在することもあります。
最も有名な球状星団には、
があります。
ハッブル宇宙望遠鏡が観測した“いて座”の球状星団「ESO 591-12」
こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡が観測した“いて座”の球状星団「ESO 591-12」。
「パロマー(Palomar)8」とも呼ばれています。
球状星団とは、数万~数百万個の恒星が重力によって互いに結びつき、球状に集まっている天体のこと。
天の川銀河では約150個が見つかっています。
一般的に、球状星団の星々は銀河の歴史の初期に、同じガス雲から形成されたと考えられています。
ハッブル宇宙望遠鏡によるESO 591-12の観測は、天の川銀河にあってハッブル宇宙望遠鏡がまだ観測したことがない34個の球状星団を対象とした取り組みの一環として、2024年3月に行われました。
この画像は、NASA=アメリカ航空宇宙局が2025年7月3日付で公開しています。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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こちらは「りゅうこつ座(竜骨座)」の方向約2万2000光年先にある星雲「NGC 3603」のクローズアップです。星雲の中央付近にある星団の星々がまばゆく輝いている様子を捉えています。

ガスを吹き払い姿を表した若き星団の星々
NGC 3603はガスと塵(ダスト)から活発に星が生み出されている星形成領域として知られています。誕生した大質量星は強烈な紫外線や激しい恒星風を発することで自らを生み出したガスと塵の雲を周囲から吹き払っており、その結果として雲の中から星団の姿が現れました。
また、大質量星は寿命が短く、質量が太陽の8倍以上あるものは超新星爆発を起こして恒星としての寿命を終えることになります。一見すると優雅な天界の光景に思えますが、実際は見た目ほど穏やかな環境ではありません。
こうした星団の星々はほとんど同じ時期に形成されますが、サイズ・質量・温度・色にはそれぞれ違いがあります。恒星の生涯は主に質量に左右されるため、星の年齢が揃っている星団で生涯の様々な段階にある星々を観測することは、恒星のライフサイクルを詳しく分析するための貴重な機会をもたらすのです。
この画像は「ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope: HST)」の「広視野カメラ3(WFC3)」で取得したデータを使って作成され、NASA=アメリカ航空宇宙局が2010年7月6日付で公開したもので、2025年4月のハッブル宇宙望遠鏡打ち上げ35周年を記念して改めてNASAが紹介しています。
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部
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