◆AI時代になってまで、私たちはなぜ「働くこと」にこだわるのか?◆

人生を毎日、楽しんで生きよう。仕事はそこそこに幸せに生きよう。

最近、仕事で無理な事は引き受けないで断るか、適当に答えるようにしていたら、自分の機嫌がいいことに気づいた。

WORK働き方全史「働きすぎる種」ほも・サピエンスの誕生

エルヴィン・シュレーディンガー「生命とは何か」エルヴィン・シュレーディンガー – Wikipedia

ジョージ・アーミテージ・ミラーは、シュレーディンガーが生命の定義に重要なことを書き残していると確信していた。ジョージ・ミラー (心理学者) – Wikipedia

生命が獲得したエネルギーの大部分は、五感を使って情報を探し求め、それを処理し、さらにもっと多くのエネルギーを見つけて獲得するために使われる。


ユヴァル・ノア・ハラリ(『サピエンス全史』著者)
アダム・グラント(『GIVE & TAKE』著者) 絶賛!◆AI時代になってまで、私たちはなぜ「働くこと」にこだわるのか?◆

経済学、社会人類学、物理学、進化生物学、動物学……
さまざまな学問分野の最新の知見をもとに、
「人と仕事」の深遠なる関係を縦横無尽に解き明かす!

「仕事には時間の大半を費やす意義があり、
人間の価値を決定し、人生の豊かさを左右する」
――それは『幻想』かもしれない」

◆「働かない」ことは悪なのか?◆
私たちが行なっている仕事が人格となり、
将来の展望を左右し、どこで誰と多くの時間を過ごすかを決定し、
自分の価値を伝え、多くの価値観を形成し、政治的な姿勢を方向づける。
そのため私たちは努力する人を賞賛し、怠け者を非難し、
万人の雇用という目標を、あらゆる種類の政治家がマントラのように唱え続ける。
――イントロダクションより

働き方全史

私たちは生きるために働き、働くために生き、そしてほぼどんな仕事にも──床のモップがけの単調なリズムから、納税の抜け穴を見つけることまで──意味や満足、誇りを見出すことができる。私たちが行なっている仕事が人格となり、将来の展望を左右し、どこで誰と多くの時間を過ごすかを決定し、自分の価値を伝え、多くの価値観を形成し、政治的な姿勢を方向づける。そのため私たちは努力する人を賞賛し、怠け者を非難し、万人の雇用という目標を、あらゆる種類の政治家がマントラのように唱え続ける。

この考えの根底にあるのは、人間は遺伝子レベルで仕事をするように生まれついているという強い信念である。人間という種の運命は、他に類を見ない目的意識と知性と勤勉さの融合によって形成されたもので、ただそれぞれを足しただけではない、もっと豊かな社会を構築できるのだと。(中略)

人類はまだ、これまで積み立ててきた集団的な年金を請求する準備ができていないようだ。その理由を理解するには、人間と仕事との関係が、従来の経済学者が私たちに吹き込んできた説よりも、はるかに興味深く、複雑であることを認識する必要がある。(「イントロダクション」より抜粋)

仕事と人間の歴史的関係

人間と仕事との関係の歴史を図に描こうとすると、途中で交わる二つの道筋にすぐに気づく。

一つ目は人間とエネルギーとの関係を示すものだ。突き詰めると、仕事とは常にエネルギー取引であり、ある種の仕事をできるかどうかで、生物と命のない無生物とが区別される。命を長らえ、成長し、繁殖するために能動的にエネルギーを求めて取り込むのは、生きているものだけだ。この道をたどると、日常的にエネルギーを浪費しているのは私たち人間だけではないことがわかる。また目的を奪われ、やるべき仕事がなくなると、元気がなくなり、落ち込み、やる気をなくしてしまうのも人間だけではない。そうなると仕事の本質や仕事と私たちの関係について、他にも疑問がいくつも生じる。たとえばバクテリア、植物、荷馬車馬などの生物も仕事をするのだろうか。もしするのなら、人間や人間がつくる機械が行なう仕事と、どのように違っているのだろうか。そしてそれは私たちの仕事のしかたについて何を語っているのだろうか。(中略)

二つ目の道は、人類の進化と文化の変遷に従うものだ。時代の節目を示す重要なものとしてあげられるのは、大昔なら荒削りな石器、古代の囲炉裏、壊れたビーズ玉などだ。近年なら強力なエンジン、巨大都市、証券取引所、産業規模の農家、国家、エネルギーを大量に消費する機械の巨大ネットワーク。 この道には、目に見えない重要なものもたくさん散らばっている。アイデア、概念、野心、希望、習慣、儀式、慣習、制度、物語──これらは文化や歴史の基礎を成すものだ。この道筋をたどっていくと、私たちの祖先が多くの異なるスキルを習得する能力を向上させるにつれて、人間の意志というものが研ぎ澄まされ、なぜピラミッドを建造したり、穴を掘ったり、落書きをしたりといった行動にも、意味や喜び、深い満足感を見出せるようになったのかがわかる。また彼らが行なっていた仕事と身につけたスキルにより、まわりを取り囲む世界での経験や相互作用が、どのように形成されていったかも示されている。(「イントロダクション」より抜粋)

現代の人間と仕事との関係を理解するうえで最も重要な、2つの道筋の合流ポイント

炎

耕作

都市

工場

最初のそのようなポイントは、人類が火を使いこなせるようになった100万年前だろう。

エネルギー需要の一部を炎から得られるようになると、食料調達から解放される時間、寒さの中で暖をとる手段、食生活を大幅に向上させる力を手に入れることで、脳がさらにエネルギーを消費し、活発に動く方向へと成長した。

二つ目の重大な合流ポイントはもっと最近のことで、はるかに大きな変化をもたらすものだったのはほぼ間違いない。約1万2000年前、私たちの祖先の一部が日常的に食料を貯蔵し、耕作を試みるようになったときで、そこから環境との関係、互いとの関係、欠乏との関係、仕事と の関係が大きく変化した。

三つ目の合流ポイントは、人々が都市や町に集まるようになったときから始まった。これは約8000年前、一部の農耕社会が大規模な都市人口を養えるだけの、食料余剰を生み出せるようになったときだ。最初の都市の誕生は、自給自足の農業や採集社会では想像もできなかった、まったく新しいスキル、職業、仕事、商売を生み出す土台となった。

四つ目の合流ポイントは、巨大な煙突から煙を吐き出す工場や製造所が出現した時代である。西ヨーロッパの人々が、古代から蓄えられていた化石燃料エネルギーを開拓し、そこから想像もしていなかった物質的繁栄が生み出された。

【目次情報】
イントロダクション 人類と仕事の複雑な歴史第一部 始まり
第一章 生きることは仕事をすること
第二章 仕事せずにはいられない
第三章 道具とスキル
第四章 火の恵み

第二部 豊潤な環境
第五章 独自の豊かな世界
第六章 森林の幽霊

第三部 畑で骨折って働く
第七章 崖から飛び降りる
第八章 ごちそうと飢饉
第九章 時は金なり
第一〇章 最初の機械

第四部 都市の生物
第一一章 明るい光
第一二章 果てのない野心という病気
第一三章 トップタレント
第一四章 あるサラリーマンの死
第一五章 新しい病気

著者について

ジェイムス・スーズマン
社会人類学者、ケンブリッジ大学ロビンソンカレッジフェロー
南部アフリカのコイサン人の研究を専門とする人類学者。ケンブリッジ大学でアフリカ研究のスマッツ英連邦フェローシップを受け、現在は現代の社会・経済問題の解決に人類学的手法を応用するシンクタンク、アントロポス社のディレクター。英国ケンブリッジ在住。渡会 圭子(ワタライ ケイコ)
翻訳家
1963年生まれ。翻訳家。上智大学文学部卒業。主な訳書に、スコット・ギャロウェイ『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』(東洋経済新報社)、ロバート・キンセル/マーニー・ペイヴァン『YouTube革命――メディアを変える挑戦者たち』(文藝春秋)、マイケル・ルイス『後悔の経済学――世界を変えた苦い友情』(文春文庫)、エーリッヒ・フロム『悪について』(ちくま学芸文庫)などがある。

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