50代を「人生で一番愉快な黄金期」にできる人は何が違うのか
人生100年時代で差がつく!50代からの人生マネジメント【最終回】
50代を「人生で一番愉快な黄金期」にできる人は何が違うのか
2021.9.16
アンチエージングではなくウエルカムエージング
▼枯れる人=自分の種を信じていない
人は生まれてきたからには花を咲かせて、実をならせたいものです。
実った人生にしたいものです。
私も30年間、教育事業にいそしんできましたが、年々ハッキリと思うことがあります。
それは誰でも、いつか、必ず、その人なりの花が咲く! という感覚です。
その花というのもバラやヒマワリのような目立つ花じゃないかも知れませんが、野に咲くスミレやレンゲのような花も味わいが深いし、心を奪われることがあります。
花にはトゲや毒を持つものまでありますがそれも個性です。
人も、咲く時期が早い人、遅い人、また長く咲く、瞬時に咲いて閉じるなどの違いはありますがその人なりの花を必ず咲かせていることがわかります。
室町時代に能狂言を完成させた世阿弥の『風姿花伝』にもありますが、その道を極めるには心に秘めること。それは志を持つこと。
そして日々の水やり、日を浴びる、風雪に耐えるなどの精進、工夫のみが「まことの花を咲かせる奥義」と教えてくれています。
ぜひ、ご安心ください。
私たちは生きているだけで花を咲かせ、実を結ぶ生命活動を行っているのです。
枯れること、散ることを恐れずにアンチエージングではなくウエルカムエージングの気概を持って、これからまだまだ長いこの人生を謳歌しないことには神様にも申し訳ありません。
なによりもこの自分という唯一無二の花に出逢えた感動と感謝を大切に生きていきたいものです。
「ささやかだけど盛大な人生」を愛している
▼枯れる人=自分の人生を愛せない
私が兄のように慕う人が先日、奥様(享年66歳)を亡くしました。
約2年に及ぶ闘病生活の末に息を引き取ったそうです。
亡くなる直前に旦那が奥様に「今までの人生でなにが楽しかった?」と聞いたら、「全部……」との答えが返ってきました。
その時、旦那は生まれて初めて涙が前に飛ぶということを知ったそうです。
私もこの話を聞きながらもらい泣きをしましたが、人生ってささやかな様で実に盛大である! と心に大きく響くものがありました。
素晴らしきかな人生! です。
不思議な感覚かも知れませんが、自分が魂になったイメージで今を頑張る自分に話しかけてみてください。
私なら、まずは「あなたは私のかけがえのない存在だよ。私にはあなたしかいないよ」って語ります。
たくさんの思い出があるね。
いろんなところに行ったし、いろんなことを一緒に体験したね。
よく笑ったし、よく泣いたもんだ。
本当にありがとう。ありがとう。
もし生まれ変わっても、またあなたに逢いたいよ。
また一緒に生きようね。
こんな自分との対話がありありと思い浮かびます。
自分で自分が愛おしくて仕方ない気持ちになります。
江戸時代の平均寿命から考えると50歳なら長生きの部類かも知れません。
あの昭和の大スター、石原裕次郎さんも美空ひばりさんも奇しくも52歳でこの世を去っています。
生老病死は怖く、つらいものですが、そういう意味ではここまで生きてきたのだから、かなり「生」を味わってきたものです。
本当に良く頑張っている自分がいます。
それぞれの生き様はきっと必ずこの宇宙に刻まれていると思います。
誰の人生も「ささやかだけど盛大な人生」なのです。
50代にとって、社会は受難のシステムである
人生、「出逢いがすべて」と感じています。
この連載を読んでくださったあなたは、「理想の50代以降」を送りたいと願うと同時に、徐々に忍び寄る危機に漠然とした不安も抱えているのではないでしょうか。
確かに50代は、人生の最大の分水嶺ともいえ、舵取りが難しい年代です。
50歳を過ぎる頃から潮流が激しくなるものです。
・責任ある大きな仕事を仕切る
・子供の教育の総仕上げ
・親の介護、看病、見送り
こういった大きなライフイベントが迫ってきます。
身を任せたままだと遭難してしまいます。
また、55歳くらいになると、仕事面でもこれまでとは違った変化が現れます。
・役職定年を迎える
・別会社へ転籍になる
・給与が3〜4割程度減らされる
・自分の部下が上司になる
こうして徐々に「助言とサポート」しか仕事がなくなるつらさに直面し、社内からもなにとはなしに「早く去ってもらいたい」という力学を感じるようになってきます。
会社をたんに給料を得るところと割り切っている人は耐えられますが、生きがい・働きがいを求めている人からすると、50代はとても受難な時期です。
そして、この受難の波は40代の人たちにも広がってきています
40代でこの本を手に取られたあなたにとっても他人事ではありません。
体力も落ちてくる、経済的な不安も増してくる、人付き合いにも疲れてくる。
悩み、苦しみ、くすぶることは仕方ありませんが、自分の中の希望、可能性、そしてあらたな選択肢を手に入れる行動変容が求められるのが50代です。
それはつまり、あなたの中に「再起する力」があるか、ということでもあります。
私は26歳で教育事業を起業して、約30年間「人間育成」に取り組んできました。
私自身が本当に未熟者でしたが、コツコツと続けてきたことによって、お蔭様で「人材育成のエキスパート」と呼ばれるようになり、多くの現場やたくさんの人と出逢うことができました。
そんな今だからこそ、50代で実る人・枯れる人という顕著な違いを感じています。
〝実る人〟の特徴として…
「エリート、金持ち、有名」ではなく、「いい人間関係、元気、心の平安」の3つのポイントの実現を挙げています。
枯れかけていた人が、この3つのギフトを手に入れることで、見事に実るケースをたくさん見てきました。
50代は人生のマネジメント次第で、今まで育てた果実を手にできる一番愉快な黄金期です。
そして、そのためには、人生の思考、感情、言葉、行動を自分で整えていくことが大切なのです。
松尾 一也
株式会社ルネッサンス・アイズ