50代で将来に焦る人の一発逆転ははたして可能か
社会人大学、資格取得…いろいろ手段はあるが
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50代で“一発逆転”はありえるのか?
年齢を考えると、夢を見たり現状が変わることを祈ったりするのではなく、やるべきは現実的な選択肢の列挙と行動です。キャリアとは地道な毎日の積み重ねの結果でしかありませんから、一発逆転という考え方はありえないとまずは心得ましょう。
考えるべきは、積み重ねたキャリアを前提として、そこにいかに工夫を加えて改善の方向に持っていけるか、です。
現在と将来の自身の姿は過去の自分の積み重ねでしかありません。
キャリアにしてもそうですし、人生にしてもしかりです。いきなり明日から別人になることはできませんし、明日からいきなりまったく違うキャリアで成功したり、スーパーマンに変身できたりするわけではありません。
自身と自身の労働市場における立ち位置を鑑みずに、または変えることなく、輝かしい将来を目指すこと自体が間違っているのです。
20代であれば話は異なりますが、TAさんは50代とのことですから、なおさら過去の積み重ねを前提とした将来像を見据えることが大切です。
その際、相談に書かれているような社会人学校や資格取得は、過去のキャリアと関係のない分野であれば、まったく役に立たないことをまずは理解しましょう。現状の延長では将来が見えないからといって、未経験の分野で資格を取得しさえすれば逆転できるという考え方は間違っています。まったくの未経験の分野であれば、例えば同じ資格取得者なら、若い人のほうが採用面を含め有利であることは否めません。
もっと言うと、TAさんの年齢ぐらいの方に求められるのは、単なる勉強から得た知識ではなく、知識と実経験による知恵であり、実務能力であり、マネジメント能力なのです。
したがって、TAさんはまず思考回路を現在の「現状に満足できない→現状とは異なる分野でより活躍したい」ではなく、「現状に満足できない→過去のキャリアを前提に、どの分野であればより活躍できるか」に切り替えるべきなのです。
やるべきは自身の経験とスキルの棚卸
年齢だけでなく、職業人として残された時間を考慮すると、やはり過去の積み重ねを活用する以外は、現実的な選択肢ではないはずです。ですから、やるべきは、一発逆転を狙おうと現状と異なる分野に目を向けるのではなく、自身の経験とスキルの棚卸です。
自分は何ができて、何ができないのか。そして、自分が持っている不満や不安はどこから来ているのか。なぜ毎日が代わり映えがないと考えるのか、代わり映えのない毎日のどこに不満を感じているのか、人生を謳歌していると思える他人はなぜそう見えるのか。
そういったことを理解したうえで、どうするかを考えるべきなのです。そうすることで、今後ご自身がどんな分野に注力するべきか、またはどんな職場で働くべきなのかが、より明確に見えてくるはずです。
要は、キャリア上や人生を歩むうえでの「志」や「軸」のようなものを、自身の性格や思考を理解したうえでキチンと構築しよう、ということです。漠然とした不安や不満、思考ではアクションにはつながりません。志や軸が不在のまま人生を生きるというのは、地図を持たないで旅に出るようなものです。
もちろん、そういった行き当たりばったりの人生を歩みたい、そのなかで新しい発見を通じて自分自身を成長させたいというのであれば、それでまったく構わないのですが、相談を拝見するに、TAさんの場合、地図がないがゆえに迷子になってしまっているように思えます。
そうであれば、まず進むべき人生の旅におけるご自身オリジナルの地図を入手することが大切です。人生変わろうと思えばいつでも変われます。要は、やるか、やらないか。どれだけ現状を変えることに真剣になれるか。まずはそこからです。
TAさんがこれを機にご自身の人生に対して真剣になり、生きるうえでの軸を構築し、よりよい人生に向かって歩み出されるであろうことを応援しております。