運のいい人の法則【リチャード・ワイズマン】
『運のいい人の法則』、私はやっぱり運がいい?
勝間和代のフシギ投資本発見!
今回から始まった私の新連載は題して「フシギ投資本、発見!」。投資とは直接関係なさそうな本なのに、書いてある内容を参考にすると金融投資のリターンも上がっていく、そんな「フシギ」な投資本を毎月1冊紹介していきます。
数値化できる運の強さ、「私はやっぱり運が良かった!?」
栄えある初回の本はリチャード・ワイズマン博士の『運のいい人の法則』。私のイチオシ本です。投資成績の良しあしには運がつきものですが、「運を天に任せる」という言葉のように、運はランダムなものと思っていませんか? でも運の良さ、悪さというのは実は私たちの行動パターン次第で驚くほど変わってしまうというのです。
著者のリチャード・ワイズマン博士は、プロ・マジシャンとして活躍した後、大学で博士号をとって心理学者に転じた変わり種です。そのため、研究内容も少し変わっています。ワイズマン博士は運がいい人と悪い人の違いを四つの項目から分析して、数値化しました。
皆さんの周囲にも「やけに運が良くてどんどん成功が集まってくる人」と「やることなすこと裏目に出ている人」はいるはず。その裏側を博士は解明しました。運がいい人と悪い人は、思考や行動に明確に異なる特徴があったのです。
この本の冒頭には、12問の質問があります。YESが多いほど、運がいい傾向があるというものです。
私は12問中、11問がYESでした。自分はすごく運がいい方だと思っていましたが、根拠があったようです。1問だけノーとなった項目も、イエスのように行動を変えていったら、なるほど、確かにますます運が良くなった気がします。知り合いにもやってもらいましたが、運がいい人たちはものの見事にフルスコアに近い数値でした。皆さんにもぜひやってみていただきたいです。
幸運な人の四つの資質で投資力を鍛えよう
この運の強さを確かめる12の質問には次のような四つのテーマがあります。
(1)チャンスを最大限に広げる
(2)虫の知らせを聞き逃さない
(3)幸運を期待する
(4)不運を幸運に変える
(1)は幸運な人には「人なつこさ」や「挑戦心」が備わっているということです。例えば、銀行のATM(現金自動預け払い機)やスーパーのレジの列、あるいは新幹線や飛行機でたまたま隣り合った人と会話をする人はどのくらいいますか? 思い立ったが吉日、新しいことをすぐに行動できる人はどのくらいいるでしょう。視野を広く持った分だけ、すぐに動く分だけ、機会は増える。これは優良投資先の発掘、分散投資の発想にもつながります。
(2)は直感の鋭さです。私たちは自分で一度下した意思決定にどうしても固執します。「間違った」と直感の鐘がガンガン鳴っていても、あらゆる理由をつけてそれを無視してしまいがちです。ところが運がいい人は、直感に素直に従います。優れた投資家の多くが、直感を鍛えるために瞑想(めいそう)を重視するのにはちゃんと理由があるわけです。まずいと思ったときに、すぐに「損切り」する勇気が持てるかどうかが問われます。
(3)の資質は行動に移る機敏さをもたらしてくれます。何か行動しようと思ったとき「それがきっと成功する」と思っている人ほど動きやすくなるということです。
最も大事なのは私は(4)ではないかと思っています。どんな行動だって、不運と幸運が入り交じります。不運の結果を見据えて理由を考え、そしてさらにそれを逆手に取ったり学習したりして、どうやったら幸運につなげられるか、常に考え続ける力です。
この四つに沿って日常から行動して思考できているという方は「運がいいため」、投資の場合でも良い銘柄や投信を発掘でき、まずいと思ったら早めに損切りができているはずです。四つの行動が十分でない場合は「運が悪いため」、投資の本を一生懸命読んで勉強して、銘柄も吟味をしているはずなのに、なぜか下がっていく銘柄をつかんでしまっているでしょう。
お気づきだと思いますが、つまり「運」とは簡単な心がけと行動次第で向上可能なのです。「スーパーのレジの列で隣の人に話しかける」。それも投資力向上の第一歩ですよ。
自己充足的予言
瞑想、冥想(めいそう、英: meditation、英: contemplation)とは、心を静めて無心になること、何も考えずリラックスすること、心を静めて神に祈ったり、何かに心を集中させること、目を閉じて深く静かに思いをめぐらすことなどとされている。
9.11テロの後、世界貿易センタービルにオフィスを構えるある企業が、何らかの理由で生き残った役員や従業員を招いて、その体験を語ってもらいました。
人は些細な理由で生きのこっていました。それはこんなことだった。
- ある会社の役員は、息子の幼稚園の入園式で遅刻した。
- ある人は、目覚ましが時間通りに鳴らなかったために遅刻した。
- ある人は、事故のあった道路で立ち往生してしまい、遅れてしまった。
- また、ある被災者はバスに乗り遅れた。
- 誰かが食べ物を投げつけたので、着替える時間が必要だった。
- ある人は、車のエンジンがかからないというトラブルがあった。
- また、ある人は電話に出るために戻ってきました。
- また、ある人は息子ができた!
- またある人は、タクシーに乗らなかった。
しかし、一番印象に残ったのは、その日の朝、新しい靴を履いて出勤したところ、水ぶくれができてしまった男性の話です。薬局で絆創膏を買っていたので、今こうして生きている。
そして今、私は渋滞に巻き込まれたとき、エレベーターに乗り遅れたとき、電話に出られないとき、その他、いろいろなことに絶望したとき、私はまず考えます。
「今、いるべき場所は、まさにここなんだ」と。
あなたの朝が狂いそうな時、子供が着替えるのが遅い時、車の鍵が見つからない時、赤信号ばかりのとき──怒ったり、イライラしたりしないでください。
あなたは正しい場所にいます。
ちょうど”その時”にいるのです。