苦境の楽天、携帯料金「0円」断念 契約者の反発も
楽天グループは13日、国内携帯電話サービスの目玉だった「0円」でも利用できる料金プランを7月から廃止すると発表した。収益改善を重視する戦略にかじを切る。ポイント還元策を充実させるなどして競合他社への顧客流出を抑えるという。ただ、割安感が薄まるほか、通話品質に課題もある。契約者の反発も予想され、収益性を高められるかは不透明だ。
「980円は妥当。他社と比べてもアグレッシブだ」
楽天の三木谷浩史会長兼社長は強気の姿勢を崩さない。月間1ギガバイト(ギガは10億、GB)までは0円で利用できるプランを廃止し、新たに最低料金が980円(税抜き)のプランを導入する。20GB超は容量無制限で2980円という設定は据え置いた。
「月額0円」は21年4月に導入した。菅義偉前政権の携帯料金の引き下げ要請を受け、携帯大手3社が20GBで月額3000円未満(税抜き)の低価格プランを投入。既に2980円で提供していた新規参入の楽天は見直しを迫られ、最低料金を0円としてデータ量に応じて料金が段階的に上がるプランに変更した。
ユーザー獲得の要ともいえるプランを廃止するのは収益改善を優先したからだ。三木谷氏は「タダで提供してきたユーザーに980円を負担をしてもらうことで財務は改善するし、サービス品質の向上に再投資できる」と理解を求めた。
「財務は改善するし、サービス品質の向上に再投資できる」それは、ユーザーにとって、わたしにとっても、理由にならない。
楽天の基地局数は4万局を超え、通信規格「4G」で人口カバー率96%という計画を4年前倒しして達成した。だが、設備投資の費用は重く、携帯事業は22年1~3月期に過去最大となる1350億円の赤字を計上。楽天の連結最終損益も914億円の赤字(前年同期は367億円の赤字)と赤字幅は広がった。
楽天は当初、最低980円の新料金プランと並行して、新規契約の受け付けを停止したうえで0円の旧プランも当面は継続させたい考えだった。ところが法律に抵触することがわかり、2つの料金プランを併存させることは難しくなったという。
MM総研(東京・港)の横田英明研究部長は「0円を前提に契約したユーザーが失望し、離脱するリスクがある」とみる。楽天の発表を受け、SNS(交流サイト)上では契約者とみられるユーザーから「楽天モバイルの契約をやめます」といった書き込みがある。
楽天は通信回線の一部をKDDIから借りてきたが、順次自社回線に切り替えている。通話品質への不満を抱えるユーザーもおり、競合他社のなかには「楽天からユーザーが乗り換えてきている」(NTTドコモ幹部)との声もある。
ユーザーが離脱するリスクを抑えるために、7月から4カ月間は移行期間として1GBまでの料金をゼロにするほか、ポイント還元率を高める施策も打つ。三木谷氏は影響は少ないとみる。
楽天の0円廃止に競合他社は冷静な目を向ける。格安スマホを手掛けるインターネットイニシアティブ(IIJ)の勝栄二郎社長は、「そもそも0円のサービスに無理があった」とみる。各社は低価格プランを用意しており「以前は楽天は強敵だったが、今は我々も競争力を回復してきている」と話す。
楽天の株価は収益性の改善期待から一時前日比79円(10%)高の868円まで上昇した。岡三証券の小川佳紀氏は「プランの見直しがどこまで業績を押し上げるかが不透明で、株価低迷のトレンドが変わるかどうかは判断できない」という。
「官製値下げ」が始まってから格安プランを競ってきた携帯業界で、月額0円の廃止は初めての「値上げ」となる。楽天は、通信の専用機器をクラウド上のソフトウエアに置き換える独自の「仮想化」技術を海外展開するなどして、携帯事業の収益性を高めていく方針だ。月額0円廃止からは、収益改善への楽天の苦境が透ける。(西城彰子、宮嶋梓帆、伊藤威)
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2205/13/news204.html
去年は、
それのどこがおもしろいなんて言っていたのに。
三木谷はこう答えた。
「自前ネットワークの人口カバー率が97%になる2022年3月から、ローミング費用(楽天のネットワークが届かない場所をカバーするためにKDDIから借りているネットワークの使用料)が大幅に減る。世界中の携帯キャリアからRCPを検討したいとコンタクトもある。その間に、皆さんがあっと驚くようなパートナーとの提携がまとまるかもしれない。来年の春を境に、大きく景色が変わるでしょう」
楽天モバイルは、失敗に終わったということだろうか。景色が変わるということは、有料にしてお金をとるから「驚くよ」といっていたのかよ。