翅 (はね)
wing
多くの昆虫の成虫には翅が4枚(中・後胸部に各1対)ある。体壁の背側部が左右に伸長してできたものであるが,一般に薄い膜質で,その中には筋肉がなく,気管から変化した脈が走っている。古生代に生息した原始昆虫のなかには前胸も伸長しているものがあるが,翅は広げたままで,滑空できる程度であった。その後,しだいに前翅(ぜんし)・後翅に分化が起こり,たたみこめるようになり,飛翔(ひしよう)能力を獲得することによって生活圏や分布を広げ,昆虫類の現在の繁栄をもたらした。現存の無翅昆虫のなかでも,個体発生のある時期(ノミではさなぎ期)には小さい翅状突起がみられる。甲虫目(鞘翅(しようし)目)では前翅が硬化して翅鞘,直翅目(バッタ類)ではやや硬化して覆翅,半翅目(カメムシ類)では基半部だけが硬化して半翅鞘となる。双翅目(ハエ類)では後翅が平均棍となり,飛行中の平衡を保つのに役だつ。トンボやバッタは前翅・後翅を別々に,チョウやハチは同時にはばたく。
昆虫の起源・進化の過程を解説~鱗翅目(チョウ目)はどうやって進化した?~ | 蝶と昆虫のWEBメディア