細胞小器官

細胞小器官 さいぼうしょうきかん

細胞内にあり、原形質の一部が特殊に分化した構造物の総称で、オルガネラともいう。細胞小器官は普通、後形質は含まず、次のように2大別される。(1)DNAをもち自己増殖を行うもの、すなわち核、ミトコンドリア葉緑体など。(2)DNAをもたない小胞体微小管リソゾームゴルジ装置ミクロボディなど。以上の2大別のほか、場合によっては(1)のDNAをもつもの、および(2)のうちの膜によってほかの部分とくぎられているリソゾーム、ミクロボディなどに限定することもある。細胞小器官という語はもともと、原生動物のように個体が1細胞からなる場合に、個体内の器官がそのまま細胞内構造となっているのでつけられた。[大岡 宏]

細胞小器官

細胞内で一定の機能を果たす構造体の総称。ミトコンドリア、光合成にかかわる葉緑体やその他の色素体細胞分裂にかかわる中心体、細胞内の伝達システムを構成するゴルジ装置や小胞体、ミクロボディー、分解消化にかかわるリソソームリボソームなどを指すが、繊毛鞭毛を含めることもある。

さいぼうしょうきかん【細胞小器官 cell organelle】

単に細胞器官,あるいはオルガネラと呼ぶこともある。細胞内で一定の機能をもつ機能的・構造的に分化した有機的単位の総称。真核細胞の原形質は生物個体における器官と同じように,複雑で高度な機能を分業分担するため,各部分の形態が特殊に分化して特定の機能を担う有機的単位となっている。 核,ミトコンドリア,葉緑体,小胞体,ゴルジ体,リソソームなどは膜構造によって機能的に分化した細胞小器官であり,中心粒,リボソームなどはタンパク質や核酸の複合集合体が細胞小器官として働いている例である。

… なお,単細胞生物では運動,感覚,消化,排出などの作用をもつ器官に類似した特殊な構造が原形質から分化していることが多い。これらは細胞小器官,細胞器官,類器官などとよばれ,細胞生物学の重要な研究対象となっている。【田隅 本生】。…

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

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中心体(読み)ちゅうしんたい

動物細胞の分裂期において、分裂装置星状体紡錘体よりなる)の形成中心となる顆粒(かりゅう)状構造体をいう。有糸分裂に重要な働きをするので、有糸分裂中心、分裂中心などともよばれる。その構造は中央部に一対の中心子(中心小体、中心粒)centrioleと、それを取り囲む顆粒状または繊維状の中心子外周物質pericentriolar materialからなる。中心子は、直径約200ミリミクロン、長さ約700ミリミクロンの円筒状を呈する。その構造は、9本の3連微小管が筒状に並んだもので、その円筒状構造の先端部と基部にはそれぞれ特殊な構造がみられる。哺乳(ほにゅう)動物の培養細胞で、細胞サイクルの間期の状態では、中心体はに接している。細胞がS期に入ると、中心体の自己複製が始まる。中心体内の2個の中心子はそれぞれの基部近くに娘(じょう)中心子をつくる。S期の後期では、その一対ずつが分離して移動を始め、核の両側に位置するようになる。有糸分裂前期になると、微小管の形成が中心子外周物質を核として始まり、二つの星状体が成長する。やがて核膜が消失すると、星状体の間に紡錘体が形成される。また、繊毛や鞭毛(べんもう)の基部にある基底小体も微細構造は中心子と同じで、同じく中心子ともよばれる。なお、植物細胞には、コケ、シダ、ソテツなどの特殊な例を除いて中心子はみられないが、核内での微小管形成中心の働きで紡錘体が形成される。

[酒井彦一]

中心体 ちゅうしんたい centrosome

一般に動物や下等植物細胞質内で,核の近くにあり,細胞分裂の際に中心的役割をすると考えられている小構造体。中心体の中に普通2個の短円筒形の中心粒があり,両者は直交した位置にある。その周辺を中心球という。核分裂が始ると1個の中心体は分裂して2個になり,それぞれ核の両極に移動し,そのまわりに星状体が発達してくる。2つの中心体の間には紡錘体が発達してきて核分裂が行われるようになる。 

多くの下等植物や一般の動物細胞の細胞質内にみられる小体。普通,核の近くにあり,中心にある1〜2個の中心粒とまわりの基質からなる。中心粒は9本の短い管が縦に環状に並んだ円筒状をなす。細胞分裂の際,2分して両極へ移動し,二つの中心体の間に紡錘体が形成される。
→関連項目細胞質  

〘名〙 細胞内小器官の一つ。細胞分裂のさい、二つに分かれて細胞の両極に行き、これを中心として染色体群が移動するので細胞分裂の中心的な役割を果たすと考えられる顆粒。
 動物細胞などの細胞質にある細胞内器官の一つで,細胞分裂のとき,染色体を引っぱるチューブリン糸(紡錐体)の起点のようにみえる構造体.細胞運動の統御中枢とされる.
細胞内小器官の一。細胞分裂の際にだけみられる顆粒かりゅうで、二つに分かれて細胞の両極に行き、これを中心として紡錘糸ができ、染色体を移動させる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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