第9回 身体疾患と精神疾患
第9回 身体疾患と精神疾患
精神医学における心身相関現象に注目し、双方向的に検討する。身体疾患に起因する精神疾患の例として症状精神疾患や器質性精神疾患について学ぶ。また、心理社会的要因に影響される身体疾患の病態、すなわち心身症について学ぶ。
【キーワード】
器質性精神障害、症状性精神障害、てんかん、心身症、ライフイベント・ストレス
1.身体疾患による精神の変調
(1)歴史的意義と今日の重要性
- コンサルテーション・リエゾン精神医学
(2)器質性精神障害と症状性精神病障害
- 肝性脳症(かんせいのうしょう) 肝性脳症は、重度の肝疾患がある人において、正常なら肝臓で除去されるはずの有害物質が血液中に蓄積して脳に達することで、脳機能が低下する病気です。 肝性脳症は、長期にわたる(慢性の)肝疾患がある患者に発生します。 肝性脳症は、消化管での出血、感染症、処方薬を正しく服用しないこと、その他のストレスによって誘発されます。
(3)代表的な症状
- a.意識障害とせん妄 せん妄とは、時間や場所が急にわからなくなる見当識障害から始まる場合が多く、注意力や思考力が低下して様々な症状を引き起こします。 通常は継続しても数日間ですが、まれに数ヵ月間続く場合もあり、的確な処置が行えないと昏睡や死に至ることもあります。 1日の中でも症状の強弱があり、夕方に悪化する傾向がみられます。
- b.認知症とパーソナリティ変化
- c.その他の症状
- SLE(systemic lupus erythematosus)全身性エリテマトーデス
2.てんかんと脳波異常
(1)てんかん発作とてんかん
(2)てんかんと脳波検査
(3)代表的な発作型と治療
- 焦点発作と全般発作
3.ストレスと心身症
(1)ストレス理論の過去と現在
(2)心身症の概念と実際
(3)ストレッサーと個体側の要因
- アレキシサイミア(alexithymia:失感情言語症) 失感情症(アレキシサイミア)はシフネオスが提唱した性格特性です。 自分の感情(情動)への気づきや、その感情の言語化の障害、また内省の乏しさといった点に特徴があると言われています。