第9回 対人行動
第9回 対人行動
私たちが他者に対して行う行動には、社会的に見て望ましいものと望ましくないものがある。ここでは、反社会的行動の代表である攻撃行動と、向社会的行動の代表である援助行動を取り上げ、これらの行動がいかに実行され、抑制されかを考える。また、より日常的な対人行動として対人コミュニケーションを取り上げ、それにまつわるトピックについて概説していく。
【キーワード】
対人行動、攻撃行動、援助行動、言語コミュニケーション、非言語コミュニケーション、スモールワールド
1.攻撃行動
反社会的行動(攻撃行動)と向社会行動
(1)攻撃行動の形態
- 攻撃とは「他者に危害を加えようとする意図的行動」
- 身体的攻撃と言語的攻撃
- 能動的攻撃(積極的攻撃)と受動的攻撃(消極的攻撃)
- 直接的攻撃と間接的攻撃
- 敵意的攻撃と道具的攻撃
(2)攻撃行動を説明する代表的理論
- (a)本能説 攻撃行動を引き起こす内的衝動を人間は生まれつき持ち合わせている
- (b)欲求不満ー攻撃仮設 攻撃行動の目的は、欲求不満を解消すること(カタルシス)、欲求不満(フラストレーション)は目的の達成が阻害される。スケープゴート
- (c)学習説 攻撃行動は観察学習によって生じる。
- (d)一般攻撃モデル
(3)攻撃行動を促進する要因
(a)個人要因
(b)状況要因
(4)攻撃の社会的機能と名誉の文化
- ①回避・防衛としての攻撃(他者の攻撃を回避し、自己を防衛するための攻撃)
- ②強制としての攻撃(他者の態度や行動を意図した方向に強制的に変化させるための攻撃)
- ③制裁としての攻撃(規範を逸脱した者、被害の責任を負う者を制裁するための攻撃)
- ④印象操作としての攻撃(対面を保ったり、相手に特定の印象を与えるための攻撃)
「名誉の文化」ニスべットとコーエン
なめんなよ! 社会・文化 環境が生み出す名誉と暴力
【38人見ていたのに誰も助けなかった】 キティ・ジェノヴィーズ事件
1964年3月 ニューヨーク 35分間の暴行されたが38人の住民がいたが通報されなかった
冷淡者 → 基本的な帰属のエラー
傍観者効果 → 傍観者が増えるほど、援助行動が抑制されるのではないか?
(2)傍観者効果を促す要因
(a)責任の分散 自分が助けなくても誰かがたすけるだろう(自分が助けなくても非難されることはないだろう)
社会的手抜き
(b)評価懸念 自分の行動は他者の目にどう映るだろう
規範的影響
(c)集合的無知(多元的無知) 状況把握のために他者の行動を指針にしようとすると、誰もその状況を正しく理解できない。周囲にいる他者が同じような感情、思考を抱いているにもかかわらず自分とは違うと取り違えてしまう。
情報的影響
(3)援助行動が生じるプロセス
ラタネとダーリーはこれらの研究から、人が援助行動に至るまでの過程を意思決定モデルとして提示した。これによれば、以下のような5つの段階に分けられる。
- 異常な事態が発生しているという認識
- それが緊急事態であるという認識
- 援助するのは自分の責任であるという認識
- 援助方法を自分は知っているという認識
- 援助を行うことの決断
(4)援助行動の動機
自覚的に区別するのは難しい。
(5)被援助者からの援助要請
ソーシャル(社会的)・サポート
3.対人コミュニケーション
(1)対人コミュニケーションの種類と機能
(2)情報の伝達
オルポートとポストマン 【流言の発生】 オルポートらは,流言を情報が伝達される過程で変容したものと考え,伝達ゲームの実験から,伝達の過程で起こる変容を平均化leveling,強調化sharpening,同化assimilationで説明する。平均化とは,流言に含まれる多数の内容が,少数の要素に減少し,より平易な表現に変化すること。強調化は,平均化した要素が今度は逆にその中の一部の特徴が強調されること。そして,同化は,変容した要素間で意味の統合が起こる過程であり,伝達者にとって全体として意味のある内容に変容するとした。
(3)スモールワールド
スタンレー・ミルグラムのスモールワールド実験
傍観者効果
監視カメラ、三都市(ケープタウン、アムステルダム、ランカスタ)で実施される。
全体の9割で介入が起きている。
危険な状況の方が、介入が起きる。
援助行動の動機、利他的な行動が社会的人間でどうして起きるのか
介入過程の行動を取る、大勢の傍観者がいる場合、助けてくれる場合が高まる。