第8回 対人関係
第8回 対人関係
社会的動物である人間は、日々、他者との関係性のなかで生活をしている。私たちはどのような人に魅力を感じ、どのように関係を築いているのだろうか。また、対人関係は私たちの生活にどのような効用をもたらしているのだろうか。対人関係にまつわる社会心理学的事象について考える。
【キーワード】
対人関係、対人魅力、社会的交換、社会的スキル、ソーシャル・サポート、ソーシャル・ネットワーク
1.対人魅力
第2回 対人認知
対人魅力
(1)近接性と塾知性
物理的距離が近く、よく接触する人、よく知っている人には魅力を感じやすい(cf.単純接触効果 第3回)
(2)類似性/相補性
自分とよく似た特徴を持つ人には魅力を感じやすい(類似性-魅力仮説)
性格は相補的な特徴を持つ人が好まれることもある。
(3)外見的魅力
外見が良い人には魅力を感じやすい(cf.第2回ハロー効果、美人ステレオタイプ)
(4)返報性(互恵性)
好意を示された人には、魅力を感じやすい(好意の返報性)
2.対人関係の過程
(1)対人関係の進展
SVR理論(Murstein,1977)、刺激(stimulus)、→価値観(value)、→役割(role)
初期(近接性・熟知性)→中期(態度の類似性)→後期(返報性が重要視される)
(2)関係性の維持と崩壊
社会的交換理論 社会的交換理論では人間は有形無形の様々な“報酬”の交換によって人間関係を形成・発展していくと説明しています。 例えば,ノートを貸すと,そのお礼に食事をおごる。 食事をして楽しい時間を過ごすことに対して,親しみを感じ困った時に相談に応じる,などです。2019/07/31
a.衡平モデル 他者と交換する財の価値が等価であるとき、関係性は継続する
b.投資モデル 関係性の継続には、関係満足度、投資量、選択比較水準(代替関係の存在)の3つが関係する
c.互恵モデル 互恵(返報性)を伴う相互循環関係によって、関係性は継続する。
d.共同的関係 親密な対人関係においては、見返りを期待しない関係が成立することがある。
(3)関係葛藤への対処
(4)社会的スキル(ソーシャルスキル)
・人の話を聴くスキル
・自分を主張するスキル
・対人葛藤に対処するスキル
社会的スキルトレーニング(SST:Social Skill Training)
3.対人関係の効用
(1)社会的孤立の心身の健康
ソシオメータ理論
社会的なつながりの少ない人は死亡リスクが高いことを明らかにしている。
(2)ソーシャル・サボート(社会的サポート)
援助行動と関連が深い
a.道具的サポート
・問題解決を直接的に促すために必要な資源を提供する
・情報的サポートを区別して分類することもある。
b.情緒的サポート
・共感や励まし、慰めなど、否定的な感情の制御を促す
→心身の健康の維持・増進 間接効果(ストレス緩和効果)と直接効果
(3)社会的ネットワーク
社会関係資本(ソーシャル・キャピタル) ロバート・パットナム ソーシャル・キャピタル(英語: social capital)、社会関係資本(しゃかいかんけいしほん)とは、社会学、政治学、経済学、経営学などにおいて用いられる概念。人々の協調行動が活発化することにより社会の効率性を高めることができるという考え方のもとで、社会の信頼関係、規範、ネットワークといった社会組織の重要性を説く概念である。人間関係資本(にんげんかんけいしほん)、社交資本(しゃこうしほん)、市民社会資本(しみんしゃかいしほん)とも訳される。また、直訳すると社会資本となるが、概念としては区別される(以下参照)。
基本的な定義としては、人々が持つ信頼関係や人間関係(社会的ネットワーク)のこと、と言って良い。上下関係の厳しい垂直的人間関係でなく、平等主義的な、水平的人間関係を意味することが多い。しかし、この語には実に多様な定義がある。以下のPortes (1998) の文献によれば、共同体や社会に関する全ての問題への万能薬のように使われている言葉である。1990年代終わりからは学会外でも社会的に有名な語となった。
結合型と橋渡し型
弱い紐帯の強さ
近接性の研究
最初に仲良くなったのはお隣さんだった。
対人関係(対人魅力、社会的交換、関係の発展、対人的葛藤)
対人関係は大きな喜びの源泉であると同時に、苦痛の源泉でもある。友人係や恋人関係のような非公式な関係では、喜びを与えてくれる人との関係は成されやすく長続きするが、苦痛をもたらす関係は忌避される。